ユーロ円も一緒に下がるリスクも想定を
ファンドマネージャーズ・サーベイ
私が以前働いていたメリルリンチ(今はバンクオブアメリカ銀行) のファンドマネージャー・サーベイが今月も発表されました。
主な内容は、
- 株のアロケーションは、5ヶ月ぶりの高さ
- ただしキャッシュの比率も5.6%と依然として高い
- クレジットクランチ等のリスクは、商業用不動産セクターからの可能性を危惧している
- 71%のファンドマネージャーが、期限前に米債務上限問題が解決すると予想
- テクノロジー関連株へのアロケーションが増えており、2021年12月以来の高さとなった
- それ以外にアロケーションを増やしたのは、ヨーロッパと株
- ロケーションを減らしたのは、コモディティと公共株
- 最もポジションが混み合っているのは、
「テクノロジー株ロング+金融株ショート」「ドル売り」 - 逆張りポジションとしては、
REITs ロング
金融機関株ロング
国債ショート
テクノロジー株ショート など - 65%が、景気は下向きと見ているが、ソフトランディングを予想
ドル売りポジションがそこまで大きいと言う事がわかってよかったです。
シカゴIMM通貨先物ポジションを見ると、円売りとユーロ買いのポジションが非常に大きい事がずっと気になっていましたので、あくまでも憶測ですが単純に組み合わせると「ユーロ買い/ドル売り」ポジションが大きいのかもしれません。
今後発表される経済指標で、アメリカでのインフレ鈍化が止まったり、労働市場がさらにタイトになれば6月FOMCでの利上げ観測が浮上しないとも限りません。
或いは6月は予想通りに据え置きしても、その時のFOMCで公表されるドット・チャートのターミナルレートが追加利上げを示唆していたり、マーケットが織り込んでいる年内3回の利下げや来年の利下げ幅が思ったほどではなければ、溜まりに溜まったドルのショートが炙り出されないとも限りません。
特にユーロ/ドルでの大規模な調整(この場合はユーロ売り/ドル買い方向)が起き、ユーロ円も一緒に下がるリスクも想定しておくに越した事はないでしょう。
食料品価格高騰に政府介入か?
先進国の中では唯一、イギリスのインフレ率は未だに2桁のまま。その中でも特に食料品の値上げは悲鳴を上げるレベルまで来ています。
政府はこの国の食料品価格は、この1年間で2倍になったと分析していますが、一消費者としては2倍以上のものがかなり多いイメージです。
食料品の販売価格が妥当なものなのか?
今週に入り、英国消費者団体「Which?」がスナク首相に介入を要請したと報道されました。
私も知らなかったのですが、今週水曜日に農業関係者のサミットが開催されており、そこにはイギリスの全ての大手スーパーの会長レベルの人達が集まっているそうです。
そこで、このタイミングにあわせ、「Which?」はスナク首相に対し、大手スーパーマーケットの食料品の販売価格が妥当なものなのか?
商品の値段のつけ方がバラバラで、100g単位の表示であったり、1個の価格で表示されていたりで消費者にとってわかりにくい。この物価高で少しでも安い商品を買いたいため、全スーパーで表示を統一してもらえるようも頼んでいるようです。
本来ならばお得感たっぷりの各スーパーの自社製品の値上がりも相当ひどく、「Which?」はもっと自社製品の選択肢を広げるなどの工夫もお願いした模様です。
個人的には果たしてこれでどこまで改善されるのか、あまり期待していません。
私のように高い高いと文句を言っているうちはまだマシですが、子供に食事を食べさせられない世帯数が、この1年間で2倍に増えたそうです。そこは本当にどうにかして欲しいと思います。
政府がどのような介入をするのか?
引き続きスーパーでの価格チェックを続けようと思います。もし本当に政府の介入が効果を発揮すれば英国のインフレ率は下がり、政策金利の引き上げも必要なくなるでしょう。
2023年5月21日 のイーグルフライ掲示板「松崎美子さんの欧州関連ニュース」より抜粋しています。