公開日 2022年12月6日

ドル円相場 地合いが変わった!

来年に向けて米国で利上げ休止との見解にある筆者だが、「当面は高水準米日金利差が維持される」との見方から、円安ドル高が持続するとの見方も根強い。
ドル円相場 地合いが変わった!

円キャリーの死角が一気に浮上

11月10日号で予測した通り、ドル円は130円台に突入してきた。11月10日~11日にかけては2日間で7円以上という歴史的と言える幅での円高ドル安となり、市場の円先安観測は一気に低下した感がある。

外為関係者には、いろいろな理屈をつけて円高に反転したことを立証しようとしているが、円キャリートレードに対するリスクを一気に強めたことが、主因とする見方が説得力を持っているような気がする。

来年に向けて米国で利上げ休止との見解にある筆者だが、「当面は高水準米日金利差が維持される」との見方から、円安ドル高が持続するとの見方も根強い。

金利差目的での円キャリートレードが円安を持続させるとの考え方だ。

確かに、今年に入っての円安ドル高はG10通貨におけるキャリーバスケット、(低金利3通貨のショート、高金利3通貨をロングにしたポジション)の上昇と、歩調を合わせて進んできたことが確認される。

主要通貨のG10通貨キャリーバスケットへの感応度(対ドルでの増原価率)を見ても円はスイス・フラン、ユーロとともにマイナス感応度となってきて、キャリートレード期待の活発化が円安圧力となってきた可能性が示唆される。

ECBやスイス中銀もマイナス金利を脱却している一方、日銀は現時点では緩和維持のスタンスを崩していない。

円がキャリートレードの調達通過として選好されやすい状況が続く可能性はあろうが、キャリートレードの魅力は金利差だけで決まるわけではなく、そのパフォーマンスによっては低ボラティリティも重要な要素となる。

リーマンショック前には円キャリートレードが活発化し、06年の米国の利上げ休止後も、円安ドル高が1年程度継続したが、当時は為替市場のボラティリティが低下。

キャリートレードの妙味が高い局面にあった。

しかしその後、ボラ(ボラティリティ)の上昇とともにキャリートレードのパフォーマンスは低迷、ボラ急騰に伴いG10通貨キャリーバスケットは急落の途を辿った。

金融市場のボラは世界の景況感サイクルと逆相関の関係が強く、今後の主要先進国の景気後退入りが、為替市場を含む市場ボラの高止まりをもたらす可能性が高まっていく確立が高い。

景況感悪化局面では、米CPI公表後のよう1日で4%といった、ドル円相場の値動きが起こりやすくなり、金利差の魅力は低下してしまう。

景気サイクルやボラティリティの観点では、今後半年程度は円キャリーが活発化しにくい環境となる公算が大きい。

今局面では、やや例外的に為替市場のボラ上昇の中で10通貨キャリーバスケットが上昇してきたが、これは金利差目的でのキャリーポジションが積み上がってきたというよりは、米国を中心とした急速な利上げが市場の主要テーマとなり、金利差拡大という方向感に沿った通貨の値動きが強まったことによるものと考えられる。

金利差拡大から縮小へと転じれば、その方向転換が円高ドル安圧力を強めることになりやすいのは言うまでもない。

10月の米CPI後には米ターミナルレート(利上げ最終局面でのFF金利)の織り込みが、やや低下しすぎの感もあり、金利差拡大期待の再燃が短期的な円安ドル高につながる局面は、まだあるかもしれない。

しかし、FRBピポット(政策転換)への期待は着実に高まる方向にあると思われ、ドル円にとって重要な5年物金利差の拡大は一巡、徐々に円高ドル安圧力が強まっていく可能性が高い。

キャリー目的での円売り期待は根強いが、米10月CPI後の値動きや、足元のドル円のボラの高さは、円キャリーポジションのリスクの高さを改めて印象付ける値動きと言える。

今局面では金利差の絶対水準ではなく、その方向性に着目すべきであろう。

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(この記事は 2022年11月29日に書かれたものです)

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プロフィール

金森薫

金森薫

国際エコノミスト。元外為・債券・株先ディーラーという実践経験を生かした経済分析、マーケット分析。

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