米株価はリセッションを織り込んだのか?
リセッション懸念が高まるなかで株価は上昇、すでに織り込み済みとの見方も
10月18日時点で、ブルームバーグ・エコノミクスの予測モデルが米国経済のリセッション確率をはじき出したところ、2023年10月までに景気がリセッション入りする確率は、前回分析の65%から100%に上昇した、と言う。
また、ブルームバーグが10月7日から12日にかけ42人のエコノミストを対象にした調査によると、今後12カ月のうちに米国経済が景気後退入りする確率は60%と、9月時の調査50%から上昇した。
米国の景気先行指数は今年2月をピークに10月にかけて下落傾向を辿っている。同先行指数の8か月間の累計下落率は3.8%となった。
過去8回のアメリカ景気のリセッションと景気先行指数との関係をみたのが表1だ。
8回のうち、イラクのクウェイト侵攻による原油価格上昇(1990年7月時)によるリセッション、新型コロナウイルス感染(2020年2月時)によるリセッションの2事例は先行指数の動きでは予想できない、想定外の要因によるリセッションだった。
この2事例を除く6例を平均すると、先行指数の下落率が5.1%に達したところで、リセッション入りしていた。
また、過去のリセッション時には、先行指数が下落に転じてから、平均して11か月後にリセッション入りしていた。
22年2月をピークに8か月連続で下落している先行指数の下落テンポは月平均0.48%だった。
仮に、このペースでの下落傾向が続けば、来年1月には「11か月」をクリアし、また累計下落率が5.1%となって「5.1%」もクリアする。
景気先行指数の動きから言えば、来年初めのリセッション入りは十分ありうる。米国経済がリセッション入りするというシナリオは、ほぼメインシナリオになったと考えていいだろう。
こうしたなかで米国株は反発しており、株式市場は米国経済のリセッション入りを織り込んだという見方もある。果たしてそうだろうか。
株価は実質金利上昇分も織り込んでいない
株式益回り(株価収益率の逆数)、実質金利と期待成長率の関係から、リセッション入り時における株式益回りの適正水準がどの程度になるかを考えてみよう。
収益還元モデルによると株価は、
株価=企業の当期利益÷(割引率-予想利益成長率)であり、
当期利益を株価で割った株式益回りは、
株式益回り=割引率-予想利益成長率となる。
割引率を金利とそれ以外の投資家が要求するリスクプレミアムに分け、さらに金利と予想利益成長率について、実質金利とインフレ期待、予想実質利益成長率とインフレ期待にそれぞれ分けると、最終的に、
株式益回り=実質金利+リスクプレミアム-予想実質利益成長率・・・①
という式になる。
つまり、株式益回り(その逆数の株価収益率)は、実質金利、リスクプレミアム、予想実質利益成長率の3つの指標で説明できることになる。
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2022/11/28の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
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