市場の焦点 円から欧州通貨に移行!?
今週の展望
今週は、ジャクソンホール会合後に一段と加速したドル買いの継続性を広く試す週となりそうです。
まず、週明け9/5の米国市場はレイバー・デーの祝祭日であり、米株と米国債の取引は休場、為替市場で大きな動きが期待されるのは火曜以降となる可能性があります。
今週は主要中銀では、それぞれ、RBA(豪州準備銀)⇒9/6、BOC(カナダ中銀)⇒9/7、ECB(欧州中央銀)⇒9/8に政策金利を発表予定です。
RBAは50bp(0.50%)の利上げ(1.85%⇒2.35%)、BOCは75bpの利上げ(2.50%⇒3.25%)、ECBは75bpの利上げ(0.00%⇒0.75%)がほぼ100%織り込まれています。
このなかで、最大の注目はECBで、半ばグローバル・スタンダードとなる複数会合続けての大幅利上げが確実視されています。
英国では先日発表された7月のCPI(消費者物価指数)が前年同月比で+10.1%まで上昇、シティ・グループなどは来年初には+18.0%を超えると予想し始めています。
景気の拡大を犠牲にしてもCPIの伸びを止めることが中銀の喫緊の課題となっており、景気減速や景気後退が視野に入り「利上げがむしろ通貨安」に波及しています。
これは欧州、つまりECBも全く同じで、前回市場予想を上回る50bpの利上げを発表した7/21当日の引けはEURUSDでは1.0235、通貨高とはなっていません。
おそらく今週の会合で75bp利上げのカードが切られても(あくまで短期的にはラガルド総裁の会見次第という側面はりますが)、ユーロの継続的な買いにはつながらないと思います。
こうした中銀イベントの他に、今週は週明けの9/5には英国ではジョンソン首相の後任を選出する与党保守党の党首選が実施予定、トラス外相の勝利が濃厚となっています。
ただ、これまでトラス氏は側近と繰り返し、中銀であるBOE(イングランド銀行)の政策を批判、中銀の独立性を害すような政策にも言及しています。
トラス氏の勝利は、金融市場はネガティブな要因ととらえていますので、この結果には要注目。
9/25にはイタリアで総選挙が実施予定、これまでメローニ党首率いる極右政党「イタリアの同胞」が支持率で首位、保育園の無償化や給付拡大などのバラマキ政策を展開しています。
こうした財政拡大的な政策を提示しながら、財源への言及はなく、再び財政規律を重んじるEUとの距離が広がり、イタリア国債離れを起こしかねません。
今週以降、欧州の利上げに加え、こうした欧州政治の不確定要素が為替市場に重くのしかかり、市場の焦点がこれまでの円から欧州通貨に移行する可能性があります。
特に今週は円やドル単体の特有のイベント等は少なく、潮の流れに変化が生じる可能性もあります。
それ以外では、9/10のブラックアウト期間入りを前に、FRBパウエル議長がケイトー研究所(シンクタンク)の40周年金融会議でディスカッションにのぞみます。
金融政策にトピックが移行すれば、おそらくタカ派の議論を展開すると思われますので、こちらも注意しておきます。
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