ドル高は継続するか?
米雇用統計を終えた市場
市場予想を大幅に上回る米7月の雇用統計の発表を受け、金利は2年程度の短期の金利が急上昇、この先の利上げの織り込みも急回復しています。
為替市場ではドルが買われ一段高。同時に積極的な金融引き締めが将来の景気を冷やすとの見方も強まり、長短金利差(10年-2年)が今回の引き締め局面では最大の40bp(0.40%)を超えて拡大してきました。
こうした動きを株式市場はあまり好感せず、値動きが小幅にとどまり、米株3指数はまちまちの展開で引けています。
先週はドルが全面高
先週1週間の主要通貨の対ドルでの騰落は、2週続いたドル売りが一変、全ての通貨が下落に転じ、ドルは全面高の展開となっています。
下落上位よりJPY(-1.38%)、AUD(-1.12%)、CAD(-1.10%)、CHF(-1.06%)、GBP(-0.88%)、NZD(-0.79%)、EUR(-0.42%)と続いています。
先々週のFOMCの結果や米国のGDP発表の余波から、週明けもドル売りが続き、USDJPYが瞬間風速で昨年来高値139.39から130.41まで8円98銭の下落。
ISM非製造業景気指数に続き、ISM製造業景気指数が市場予想を上回りセンチメントが一変、とどめは米雇用統計の上振れからドルが急速に買い戻されました。
週を通じてみれば、週初まで上昇幅の一番大きかったJPYが一転して下落の最上位となり引けています。
先週予想した値幅と実際の値幅
USDJPY
予想した値幅 520pts
実際の値幅 509pts
EURUSD
予想した値幅 290pts
実際の値幅 171pts
EURJPY
予想した値幅 510pts
実際の値幅 436pts
USDJPYの週間の値幅が5円を超え、予想値に限りなく近づく結果となっています。
今週予想する値幅 68%/95%の下限/上限
USDJPY
予想する値幅 460pts
68%下限/上限 132.76/137.36
95%下限/上限 130.46/139.66
EURUSD
予想する値幅 276pts
68%下限/上限 1.0045/1.0321
95%下限/上限 0.9907/1.0459
EURJPY
予想する値幅 444pts
68%下限/上限 135.26139.70
95%下限/上限 133.04/141.92
今週も物価関連指標の発表を控え、全般IV(予想変動率)は高止まりしたままです。値幅の概念、考え方はこちらの動画からご確認ください。
https://youtu.be/77AfCia_GjE
今週の展望
ドル円8月のアノマリー
まず、8月は円高となるアノマリーが存在し、1992年以降の直近30年を振り返ると、12勝18敗で終値が始値を下回る傾向が鮮明となっています。
この背景にあるのがおそらく特殊な資金フローで、それは
(1)お盆前の日本の輸出企業のドル売り、
(2)中旬の米国債の大量償還に伴う利金の円転などといわれています。
ただ、今年の場合は先々週までのUSDJPYの下げもあり、始値が133.23とかなり低い水準から取引を開始していますので、微妙なところでしょうか。
時期的に日本のお盆に象徴されるように夏休みをとる市場関係者も増え始め、さらに中銀の金融政策の発表も先週でおおむね終了、この先は徐々に材料難となっていきます。
エネルギー価格上昇後の
ガソリン価格下落の影響が出始めるか
こうしたなかで、今週は8/10の米7月のCPI(消費者物価指数)の発表が最大の注目。前年同月比では6月の+9.1%からわずかに鈍化する+8.8~8.9%が予想されています。
コロナ後の需要爆発から、家賃の高止まり、エネルギー価格の上昇と広範に物価は上昇してきたわけですが、ここにきて原油先物価格の上昇が一服してきました。
その水準は、ロシアのウクライナ侵攻前を下回る90ドル割れ、これに伴い、ガソリン価格が大幅に下落、今月以降、この影響が広く出始めると想定されています。
7月の波及経路を振り返ると、
6月の堅調な米雇用統計
⇒CPIの大幅上振れ
⇒7月FOMCでの100bpの利上げの織り込み
⇒USDJPYが昨年来高値139.39まで上昇でした。
今月の場合はどうか、CPIが同じように上振れるか、それ以上の結果とならないと同じ展開を予想するのは厳しく、さらにそのハードルは高くなっていると思います。
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ドル円8月のアノマリーについては、動画でも解説しています。