ヨーロッパ深刻なガス不足
日本ではどうかわかりませんが、ヨーロッパではエネルギー(特にガス)不足で、本来であれば削減に向かっていた石炭や原発の再開が勢いを増しています。
ロシアからのガスが大幅削減されただけでなく、6月9日に起きたアメリカ・テキサス州の(輸出向けに米天然ガスの液化加工を手掛ける)フリーポートLNGガス工場が、火災と爆発の影響で稼働停止していることも、さらにガス不足を招いていると言われています。
EUでは、いかにしてガス依存を減らすか、連日話し合いが持たれているようですが、例えばオランダでは石炭使用量の上限が35%引き上げられました。この引き上げにより、今までのガス使用量の46%がカバーできるそうです。
フランスでは、56の原発のうち、24箇所が稼働停止しているそうです。もしこれら全てが稼働していれば、ガス不足分を完全にカバーできると、ある報道で読みました。
ベルギーは現在7箇所の原発があるそうですが、この7箇所を100%フル稼働すれば、ガス不足分はカバー可能とのこと。しかし残念ながら、このうち2箇所は近い将来(1つは年内、もう1つは来年中)、稼働停止となることが決まっており、なかなか思うように上手くいきません。
ドイツでも現在まで残っている3箇所の原発は年内に稼働停止することが決まっています。
個人的には、ここまでの緊急時であれば、このような稼働停止を「なかったことに」できないのか?と素人ながら疑問でいっぱいです。
石炭火力発電所は地球温暖化対策で、年々、数が減ってきており、残っていてもフル稼働はしていません。私はこの手の情報は完全に素人ですが、報道を読み比べてみると、ガスでなく石炭による発電はポーランドとドイツでは十分に可能。ポルトガルやスペイン、オランダでもたぶん可能だそうです。
ガスと比較して、石炭を使うことにより炭素排出量は2倍になってしまうそうですが、配給制になるほどガスが足りないのであれば、脱炭素/CO2削減目標を一時的に遅らせることは仕方ないと考えてしまうのは、私だけなのでしょうか?
マーケットはガス次第
ノルドストリーム1のガスパイプのメインテナンス
独ユニパーの救済とその資金の出所
ガスプロムの供給6割カット
日を追うごとにガスを取り巻く悪環境がエスカレートしています。本日(7/5)は「ヨーロッパのガス不足=リセッションリスク」ということで、ユーロも株も売られ、国債が買われて長期金利が低下するという典型的なリスク・オフ相場となっています。
そして先ほど出てきたニュース。米CNBCからです。
この記事によると、ロシアによるガスパイプのメインテナンスは、7月11日から21日までとなっているが、プーチン大統領が意地悪をして、そのままガス供給を停止してしまうリスクもあるということです。
これでは株価もユーロも下がって、リスク・オフになるのは仕方ありませんね。
ドイツのエネルギー庁のトップによると、メインテナンスの間は「ガスの供給は100%停止される」そうです。完全に停止というのもキツイですが、これが期間を過ぎても政治的目的で永遠に停止されてしまえば、ヨーロッパは完全にアウトでしょう。
読み進めていくと、昨年も同時期にパイプのメインテナンスをしたそうですが、その時には7月末にガス供給が完全に復活したそうです。このガス問題が解決しなければ、ユーロの買いが出てこないかもしれません。
2022年7月5日 のイーグルフライ掲示板より抜粋しています。
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