根本的解決は未だ進まず…米中貿易交渉の合意に騙されるな
過去の交渉の流れを見ると、メディアが合意方向と報道して株価は上昇し、トランプ大統領が否定して株価下落という動きを何度も繰り返してきました。
また、トランプ大統領が合意方向と発言することで、株価上昇の局面もありました。それが株式相場を動かすのにいいタイミングである株の寄り付き前の時間だったりするので、株価操作しているように見えます。本件以外でもトランプ大統領は、ツイッターのつぶやきで株価操作をしてきた感が強いといえます。
根本は何も解決していない
今回の米中貿易交渉では、中国寄りのメディアであるブルームバーグも、合意内容を実現するには数年かかるだろうとしています。
ロイターでは次のような記事になっています。
「ライトハイザー氏(米国通商部代表)は、通商合意の成功は中国当局者の決定に左右されると発言。『最終的にこの合意が完全に機能するかどうかは米国ではなく、中国で誰が決定を下すかにかかっている。強硬派が決定を下すのと、われわれが望む改革派による決定では、別の結果がもたらされる』と語った」
今回の合意については、まだ調印されていません。
調印は、米国では来年1月の第1週予定としていますが、中国では明確に示されていないこともあり、調印されない可能性もあります。
過去の歴史を見ると、中国は合意事項を反故にすることも多く、米国は中国が合意事項を反故にしたら制裁するという発言もあります。
合意事項に「中国が2020年に500億ドルの米農産物を購入する」項目がありますが、中国は、それほど需要がないと主張してきています。実現できないことを合意している感が強いです。
米中貿易交渉とはいうものの、通信インフラの5Gの主導権をどちらが握るかだったり、IT技術の漏洩を防ぐことが目的だったりします。そもそも世界の覇権争いなので、今後も両国の争いは続くと判断しています。
米国が中国を育ててきたのに、中国は自分たちが世界の中心という意識が強く、米国に対抗して覇権を握ろうとしているため米国が怒っている状況です。
今回の米中貿易交渉はいったん、第1弾として手打ちし、交渉が進んでいるように見えるだけです。基本はほとんど進んでないということです。
相場的には今後も突然はしごを外されたり、さまざまな報道で乱高下することが多いと思っておくといいでしょう。
日刊ゲンダイWEB版にも掲載