米国株価は最低でも後15%調整する
インフレ動向は株価に影響しない
米S&P500種株価指数は、先週も大幅に下落し、「弱気相場入り」の目安とされる「高値から2割下落」に迫ったが、「弱気相場入り」目前で株価は反発した。
株価は弱気相場入りとなり、さらに下落するのか?下落するとすれば、何に注目すれば良いのか?
結論から言えば、
(1)米国の実質金利がどこまで上昇するのか、
(2)米国景気の後退局面入りがあるかどうか、が株価に影響する。
しばしば、米国のインフレ懸念の高まりによって、米国の金利が上昇し、そのために株価が下落しているといわれるが、理屈の上では、インフレやインフレ懸念は株価に影響しない。
詳しく、式を使って説明すれば、以下の通りになる。
株価を企業が現在から将来にかけて生み出す利益累積額の割引現在価値だとする。
株価の理論値=P
企業の1株当たり当期利益=A
利益成長率=g
割引率=r
P=A+A×(1+g)÷(1+r)+A×(1+g)2÷(1+r)2
+A×(1+g)3÷(1+r)3
+A×(1+g)4÷(1+r)4
+・・・・・+A×(1+g)n÷(1+r)n
nを無限大にすると、最終的に
P=A×(1+r)÷(r-g)、と書ける。
P÷Aは株価収益率(=株価÷1株当たり利益)であり、
株価収益率=(1+r)÷(r-g)だ。
株価=企業の当期利益÷(割引率-予想利益成長率)、であり、
当期利益を株価で割った株式益回りについては、
株式益回り=割引率-予想利益成長率、と書ける。
ここで、割引率=金利+リスクプレミアム、と2つに分け、
さらに、金利=実質長期金利+インフレ期待、
予想利益成長率=予想実質利益成長率+インフレ期待、
にそれぞれ分けると、最終的に、
株式益回り=実質長期金利+リスクプレミアム-予想実質利益成長率、となる。
結局、株価収益率の逆数である株式益回りは、インフレ動向などには影響されず、実質金利と予想実質利益成長率に影響される。
以上の通り、式を使って「インフレが株価に影響しない」ことを回りくどく説明してきたが、簡単に言えば、インフレが加速してそれによって名目金利が上昇しても、インフレが加速した分、企業の名目売上高や名目企業利益の伸びが加速するため、名目金利上昇と名目企業利益増加が打ち消し合って、インフレは株価にとって中立的な要因になる。
実質金利の0.1%ポイント上昇、予想実質利益成長率の0.1%ポイント低下は株価を2%下落させる
結局、株式益回り=実質長期金利+リスクプレミアム-予想実質利益成長率、が重要となる。ここで、リスクプレミアムが一定という前提に立てば、実質金利が上昇すれば株式益回りは上昇(株価は下落)し、また、予想実質利益成長率が上昇すれば株式益回りは下落(株価は上昇)する。
現在の株式益回りは約5%(株価収益率は約20倍)であるため、例えば、実質金利が0.1%ポイント上昇すれば、株価は約2%下落する(株式益回りは5.0%から5.1%に上昇し、株価収益率は20倍から19.6倍に低下するため、19.6÷20.0≒0.98)。
同様に、予想実質利益成長率が0.1%ポイント下落すれば、株価は約2%下落する。
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2022/05/16の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
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