焦点は米金融政策の着地
米株が下げ足を速める
先週1週間の主要通貨の対ドルでの騰落は、全ての通貨が下落となり、ドル買いの流れが続いています。
日銀金融政策決定会合の結果が発表され、「毎日指し値オペ」が実施されることが決定され、事実上『半永久指し値オペ』の宣告であり、円売りが加速しました。
一方で、米国では5月以降、急速な金融引き締めが想定され、景気敏感株主導で米株が下げ足を速めました。ナスダックの年初来から4月末までの-19.8%の下落率は史上最大。
月間の-13.3%の下落率も、2008年のリーマンショック以降では最大であり、投資家の警戒感から株式を手放す動きが続いています。
こうしたことから、リスク通貨である資源国通貨、特にオセアニアを売る動きから、先々週に続き、先週の下落上位を独占しています。
迫る金融緩和の縮小から、米株を筆頭に一部の株式市場は調整を始めており、この余波が為替市場に波及、全般IV(予想変動率)は高止まりしたままです。
FOMC金融政策の行方
今週最大の注目は5/3-4の日程で開催予定のFOMC( 連邦公開市場委員会)で、メインシナリオは政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利の50bp(0.50%)の利上げ、月額950億ドルの資産圧縮発表です。
昨年、FRBのパウエル議長が加速するインフレに対して一時的(transitory)という文言を使ってきましたが、11月に封印、現在のその物価は依然高進中であります。
誰の目にも、金融引き締めが後手に回ったことは明らかで、確実にいえることは経済を冷ましも過熱もしない中立金利(2.40%)以上になるべく早くFF金利を引き上げたいのでしょう。
FRBの責務は、デュアルマンデートと呼ばれる雇用の最大化と物価の安定です。今週5/6に発表予定の4月の雇用統計では失業率は3.5%まで低下する見込みで、完全雇用に戻ります。
物価はどうか、3月のCPI(消費者物価指数)は+8.5%まで上昇しており、2%程度まで低下させるには、単刀直入に景気を冷やさなければならないのです。
足元で、金利先物市場が織り込む2022年末時点のFF金利は2.76%とこの先の急速な利上げを相当分織り込んでいます。
これは、ここから通常の1回分である25bpの利上げを10.04回分織り込んだ水準、つまり、年内残された6回のFOMCのなかで4回以上50bpの利上げを織り込んでいます。
今回のFOMCから、2年2か月ぶりにパウエル議長は対面での記者会見に戻りますが、どんな見通しを示すのか、余程タカ派でないとこれ以上織り込むは厳しいかもしれません。
おそらくメインシナリオとしては、材料出尽くし、ドル反落のイベントだと思っています。
今週は月初でもありイベント多数、5/3のRBA(豪州準備銀)は15bpの利上げ(0.10%⇒0.25%)、5/5のBOE(イングランド銀行)は25bp(0.75%⇒1.00%)がほぼ織り込みずみ。
セル・イン・メイの格言がありますが、今年の場合は特に、コロナ後の金融緩和の大幅縮小が予想され、調整はすでにキックオフとなっています。
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