手法に2つのポイントをプラスして勝ちパターンを見つける
実際に勝ちパターンを見つけるために、本を読んだりネットで調べたりしている人もいるだろう。しかし、出てくる情報では「イマイチしっくりこない」「満足できない」という人も多いのではないだろうか。
実は、巷に出回っている情報は間違いではないものの、それだけでは勝ちパターンにはなりにくい。今回はそんな情報に2つのポイントをプラスすることで、自分の勝ちパターンを見つけやすくする方法を紹介していこう。
世の中に出回る勝ちパターンとは?
まず世の中に出回っているFXトレードの勝ちパターンとは、いったいどんなものがあるのかを見てみよう。実際に、ネットや書店で調べてみると、多くの場合は「勝ちパターン」=「トレード手法」の紹介となっているのがわかるだろう。
具体的には、「ローソク足がこの形になったら…」「移動平均線がクロスしたら…」「ボリンジャーバンドにタッチしたら…」といった類のものだ。誰もが知っている「ゴールデンクロス」のような有名なものから、FXトレードの教材として高額で販売されている複雑なものもある。
確かに、これらは有効な「トレード手法」である。しかし、実際にトレードしてみても勝ちパターンと言える程までにはならない、という苦い経験をしている人も多いことだろう。
ここで、手法が間違っていると思い、他の手法を探す人が出てくるが、そこは少し待っていただきたい。「聖杯探し」という言葉があるように、確実な手法探しを始めてしまうと終わりのない旅に出ることになってしまう。その先にどんな結果が待ち受けているかは、想像に難くない。
手法と勝ちパターンの関係
トレード手法を知ったところで勝ちパターンにはならないという意見がある一方で、巷で紹介されている手法をそのまま使って利益を出しているトレーダーがいるのも事実だ。
スゴ腕トレーダーに話を聞いてみると、実際にやっているのはシンプルなライントレードだけ、という話を聞いたことがある人もいるかもしれない。勝ちパターンを見つけられていないトレーダーからするとすぐには信じられないような話だが、実際にはよくあるケースだ。
これらの事実からわかることは、同じ手法を使っても勝ちパターンになる人と勝ちパターンにならない人が存在するということだ。要は、手法が悪いわけではないが、手法を知っているだけでも勝ちパターンにはならないのである。では、どうしたらトレード手法を勝ちパターンにできるのか?
ここからは、勝ちパターンに一歩近づくために、手法にプラスしてみてほしい2つのポイントについて紹介していきたい。もちろんこれが全てという訳ではないが、もしあなたが勝ちパターンを見つけるのに苦労しているのであれば、ぜひチェックしてみてほしい。
手法にプラスすべき2つのポイント:その1「相場のTPO」
私たちは普段からTPOをわきまえた行動をとっている。例えば、上司と話すときには敬語で話すし、葬式ではしゃいだりはしない。常に時と場合、前後の文脈情報を正しく汲み取ったうえで、行動しているはずだ。では、トレードではどうだろう。あなたは相場のTPOをどれだけわきまえているだろうか?
マーケットの違いによるTPO
相場のTPOとして、まずはマーケットによる違いを見てみよう。世界の為替市場はおおまかにオセアニア市場、東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場の4つの市場に分かれている。それぞれの市場ごとに値動きに特徴があり、それをTPOとして意識しないとトレードで勝ちパターンを見つけるのは難しくなる。
例えば、動きが少なく、レンジ性のチャートを形成しがちな東京時間を考えてみよう。東京時間で高値や安値を更新していくことを想定したトレンドフォローの手法を使うと、どうしても負けが多くなってしまう。逆に、ブレイクアウトが起こりやすいロンドン時間で、それまでの時間帯の高値・安値を意識した逆張りをするような手法を使うと、やはり負ける確率が高くなってしまう。
もし、どの時間帯でも同じ手法を使っているならば、どのマーケット時間でその手法が機能しやすいのかを今一度見直してみるのも手だ。その上で、マーケットのTPOにあわせた手法にだけ絞ってトレードすることで、勝ちパターンを見つけやすくなることもあるだろう。
文脈情報としてのTPO
次に意識すべき相場のTPOの概念は相場の文脈情報だ。ここでいう文脈情報とは、直前までどのような動きを見せて現在の状況にたどり着いているのかの時系列情報の事と考えてもらえればいい。例えば、激しく値動きを見せた後なのか、ほとんど値動きがない状態がしばらく続いているのか、などがこの文脈情報にあたる。
相場は基本的に拡散と収縮を繰り返す性質がある。激しく値動きした後には、相場は徐々に値動きが収まり沈静化する。そして、時間をかけてエネルギーを蓄え、再び拡散する。この性質を踏まえた上で、今の状況がどのような文脈情報にあるのかは非常に重要な相場の環境認識である。
高値や安値をつかむエントリーをしてしまいがちという人は、この相場の文脈情報が上手に読み取れていない可能性が高い。もちろん相場に絶対はないので、文脈情報が裏切られることもある。しかし、確率的に一方向に動きっぱなしということは通常起こりにくいし、同じように値動きがあまりない状態が延々と続くということもない。相場の文脈情報をしっかりとつかむことができれば、「場違い」なエントリーが減らせる可能性がある。
このように2つの相場のTPOを意識し、それに合わせた適切なエントリーができるようになるだけでも、今までより勝ちパターンを見つけやすくなるだろう。
手法にプラスすべき2つのポイント:その2「自分を知る」
次に見ていくのは、ほかでもない自分自身についてだ。あなたはトレードにどれだけ自分という要素を考慮にいれているだろうか。人はそれぞれ性格も体力もライフスタイルも違う。これらの要素はトレードと関係ないものとして見落とされがちだが、実はトレードにおいて非常に重要な要素である。他の人が稼いでいるからといって、同じ手法を真似しても同じような結果にならないのは、この部分の違いが原因になっている場合もある。
これも実生活で考えてみれば明白で、絵を描くのが下手なのに絵描きになろうとか、運動が苦手なのにプロスポーツ選手を目指そうとしないのと同じことだ。しかし、トレードになると、意外と自分に向いているか、向いていないかを無視して取り組もうとしてしまう人がいる。
例えば、ライフスタイルを取り上げてみよう。サラリーマンの人もいれば、自営業、専業主婦の人もいるかもしれない。トレードに使える時間の量も違えば、トレードに使える時間帯も違う。いくら魅力的に見える手法でも、このような要素を無視して取り組んでもなかなか勝ちパターンにしていくのは難しいだろう。
性格も同じだ。その場の流れや勢いに乗るのが得意な人もいるだろうし、逆にじっくりと待つことが得意な人もいる。体力面でも、深夜まで元気にトレードできる人もいるだろうし、深夜起きているのがつらい人もいる。
感情の癖であれば、感情的になりやすい、怖がりなど、そもそも兼ね備えている素質が人それぞれで異なるのは当たり前のことだ。だからこそ自分をしっかりと知り、トレードに必要な関連要素として取り込む必要がある。
売買日誌は認知バイアスを越えて自分を客観的に知るための重要アイテム
トレードはそもそも継続していくことを大前提にして取り組む必要がある。「今日は無理をしてなんとかできたけれど、明日できるかわからない」という状態では勝ちをパターン化することは到底できない。だからこそ冷静かつ客観的に自分を評価しながら取り組む必要がある。とはいえ、自分を冷静に観察できるかというと、「なかなか難しい」という意見も当然出てくるだろう。
「認知バイアス」という言葉をご存知だろうか。認知バイアスとは人が物事を認識したり、思考したりする際に、どうしても偏った見方や考え方をしてしまうというものだ。認知バイアスには様々なものがある。例えば、「人は自分の能力を高く見積もる傾向がある」というものや、「自分に有利な部分ばかり見て、不都合な部分は見ないようにする」といったものだ。要はできると信じたいがために、事実を客観的に見ることができなくなるのだ。これは人間の性質として避けることができないが、トレードで勝ちパターンを見つけようとする時には不利に働くことがある。
その時に役に立つのが売買日誌だ。売買日誌をつけていれば、客観的なデータとして分析ができる。つまり、データというフィルタを通して自分を客観的に見られるようになるのだ。そうすれば、自分にとっての勝ちパターンの形が見えやすくなってくる。実際に、売買日誌をつけることで、「自分でも気づかなかったような意外な場所に勝ちパターンを見つけた」「自分の感情の癖に気づいた」という声も多い。
勝ちパターンを見つけることは決して難しいことではない
勝ちパターン=手法と考えていると、出口のない迷路に迷い込んでしまう。なぜなら必ず勝てる手法は存在しないからだ。もちろん手法は必要な要素ではあるが、トレードの勝ちパターンにおいては全てではない。では、何が手法を勝ちパターンに変えるのか?
その中の一つとして、今回は手法にプラスすべき2つのポイントを紹介した。どんな手法であっても「相場のTPO」「自分を知る」という2つのポイントをプラスすれば、やみくもにトレードしていた時よりは格段に自分の勝ちパターンを見つけやすくなるだろう。