資本の動きが相場を決める
機関投資家の投資動向を掴もう
経済の基礎的要因に基づいて相場を分析するァンダメンタルズ分析に対して、国際資本移動の需給が為替相場を決定するという考え方がアセットアプローチです。国際間での資産売買が年々増加する中、後者が注目されるのは当然のことと言えるでしょう。
証券売買は財の売買よりスピードがあり、金額も巨額に上ることが少なくないため、中長期の為替相場を決定付けてしまうことがあります。従って、投資関連の動きは為替相場を予測する上では欠かせません。
ただ、国際投資に絡む為替取引は複雑であり、これに関する基本的知識は欠かすことが出来ません。
機関投資家の雄である「生保のドル買い」は必ずしも新規対米証券投資に絡む為替取引とは限らないなど、複雑な中身が含まれています。
今回は、その点の知識を習得するためのものです。
以下の「1.投資と為替取引」で大枠を掴んだ上で、「2.海外投資の為替市場への影響」を読むと理解がより深まります。
1.投資と為替取引
為替取引の中身を掴もう
1.機関投資家のドル買いは新規米国証券投資とは限らない、 またドル売りが資産売却とは限らない。
2.こうした情報(アドバイス)を提供してくれるFX業者を選択しよう。
2.海外投資の為替市場への影響
【図1】直接投資(FDI)
対米直接投資の例・・・米国企業買収、米国内での法人等の設立
円売りドル買い→買収資金(ドル取得)・・・投資が失敗しない限り(工場運営、買収企業が良好である限り)反対取引は発生しない
【図2】証券投資
①証券投資と為替取引:米国証券投資の例・・・円売りドル買い(投資スタート)→投資成果に関わらず、証券売却(レパトリ)時に反対取引(ドル売り円買い)が発生
②証券投資と為替取引(為替ヘッジ取引)
米国(ドル建て)証券なのでドルの下落を回避するため、(エクスポージャー:為替リスクに晒されている金額)の一部ないし全額のドル売り(通常は先物為替でヘッジ)
A:ドル高が予測される時
ヘッジ率の縮小→ドル買いを行い(ドル需要増)、ノンヘッジ部分を増やす
重要:この場合のドル買いと新規投資時のドル買いとの見分けが難しい
B:ドル安が予測される時
ヘッジ率の増加→ドル売りを行い(ドル供給)、ヘッジ部分を増やす
重要:この場合のドル売りとレパトリ時のドル売りとの見分けが難しい