タリバン復権アフガン戦争終結で激震?
アフガン戦争が振り出しに戻る
20年間続いたアフガン戦争が米国の敗戦という形で一旦終決しました。日本では、ほとんど報道されませんが、世界では報道が多い、かなり大事な事件です。
アフガニスタンの反政府武装勢力であるタリバンが8月16日、アフガニスタンの首都カブールを制圧しました。ガニー大統領は外国逃亡し、タリバンが新国家の実権を握りました。
タリバンが10日で全土を掌握できたのは、米国が撤兵し、米国傀儡(かいらい)のアフガニスタン政府軍が使い物にならなったからです。
アフガニスタンのガニー大統領は、国民や取り巻きを見捨てて国外逃亡する際に、車4台とヘリコプター1台に現金6000万ドル(約66億円)を詰め込んで持ち逃げしたようです。現金が全部入りきらずに一部の現金が駐機場に放置されたとのこと。この大統領の逃亡の姿がアフガニスタンの腐敗と汚職体質を表しています。
今回、約20年間続いたアフガン戦争が米国の敗戦確定となりました。
もともとアフガニスタンで政権を握っていたタリバンは、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件(911)の首謀者とされたオサマ・ビンラディンとアルカイダをかくまっているということで対テロ戦争の対象とされました。
アメリカ主導で組織された各国の軍隊によってアフガニスタン戦争が始まり、タリバン政権は崩壊しました。(日本の自衛隊も米軍艦艇に給油する役割などで協力しました)米国主導でアフガニスタンに新しい政権が樹立し、その後20年間、タリバンとの対テロ戦争が続きました。
今回、タリバン政権がアフガニスタンに復権したことにより、振り出しに戻ったことになります。
アフガニスタン政府軍に供給されていた大量の米国の兵器がタリバンのものになりました。
また、バイデン大統領は米軍が必ず撤退することと、報復しないことを明言していたことから付け込まれたことも大きく、脇の甘さにバイデン氏の支持率は急落しました。米国の政治に対しても大ダメージとなりました。前大統領トランプ氏の空爆をしながら撤兵していったのとは対照的です。
ベトナム戦争との類似性とドルショック
今回、20年間続いたアフガン戦争の米国の敗戦はベトナム戦争との類似性が高いです。報道ではサイゴン陥落の再現ともいわれています。
歴史は繰り返すといわれるようにベトナム戦争も20年間続き、泥沼化して米国の敗戦となりました。
そして多額の軍事費による財政悪化やインフレなどからニクソンショック(ドルショック)が起きたのです。
米ドル紙幣と金(ゴールド)との兌換停止を宣言したことで世界に激震が走りました。 ドルショック は金融の歴史的にも大きな事件でした。
1971年8月15日のドルショックからちょうど50年後、
2021年8月16日にタリバンが復権したのです。
ベトナム戦争の戦費は約2400億ドル、
アフガン戦争の戦費は2兆ドル以上と膨大です。
歴史が繰り返すとすると今後、金融に激震が走るのかもしれません。
米国の捏造
ちなみに、米国が開戦する時の原因はどれも捏造だったり捏造疑惑があります。
ベトナム戦争 トンキン湾事件
1964年8月、北ベトナムのトンキン湾で北ベトナム軍の哨戒艇が米軍の駆逐艦に魚雷を2本発射したとされるのがトンキン湾事件で、これが開戦の原因です。
事件から40年後の2011年6月に機密指定が解除され、米国の捏造だったことが公文書として公開されました。
イラク戦争
フセイン政権が大量破壊兵器保有をしているという情報が開戦の原因です。いくつもの捏造疑惑が表面化しています。
結局、大量破壊兵器は見つからないで終結しました。
アフガン戦争
アメリカ同時多発テロ事件は疑惑が多い事件です。
今年で事件発生後20年になるため、遺族たちから政府が国家機密としてきた事件に関する文書や情報を開示するよう求められています。
中東の激動がスタート
反米同士の中国とタリバンは協力関係にあり、7月28日にはタリバンのトップが中国を訪れ王毅外相と会談しています。敵の敵は味方という関係が長く続くかどうかは不明です。
今後の世界の一番の激震の舞台は中東だと判断していますが、現在、反米勢力の中国、ロシアが中東に対して影響力を大きくしています。
中国も一帯一路構想を実現するために、アフガニスタンやイスラエルは地政学的に重要です。
タリバンの復権により今後、金融だけではなく、中国、ロシア、トルコ、パキスタン、イラン、インド、イスラム諸国などを巻き込んで激動が加速していくと判断しています。
基軸通貨ドルの力は軍事力
米ドルが基軸通貨であるのは世界最大の軍事力を持っていたからです。強大な軍事力がないと基軸通貨の維持が難しくなります。
米国は中東で力を持ち原油をドルでしか決済できない状態にすることで原油が湧き出ることはドルが湧き出るのと同じ状態を実現したのです。
最近は原油決済がユーロや人民元でもできるようになってきたことと米軍の撤兵でドルの基軸通貨としての立場が弱くなってきています。
基軸通貨を狙っているのは中国、EU、ロシアです。基軸通貨のメリットをよく理解している米国が、簡単に基軸通貨の地位を他の国に渡すことはないと思います。それゆえ第二のドルショックのような大きな激震がある可能性があります。
今後、何が起きるか見えてきましたら、イーグルフライで、お知らせしていきます。