FXの利益に直結するスプレッドとは?仕組みを知って有利にトレードしよう
この記事では、FXトレードでのスプレッドの仕組みや注意点、スプレッドを安く抑える方法などについて詳しく解説します。
★今回のポイント!
・スプレッドはFXトレードをするためのコストである
・スプレッドはFX会社や時間帯によって変動する
・スプレッドを安く抑えるためには、FX会社選びと通貨ペア選びが重要ポイントになる
FXのスプレッドは実質の取引手数料となる
FXトレードにおける取引手数料は無料となっていることが多いです。しかし、実は取引の際にFX会社に支払っているコストがあります。それがスプレッドです。ここでは、その仕組みや計算方法などを詳しく解説していきます。
スプレッドの仕組み
FXトレードをするとき、トレーダーには買値と売値の2つのレートが提示されます。通常、買値は売値より高く設定されており、この差をスプレッドといいます。
例えば、ドル/円で買値の提示が100円30銭、売値の提示が100円20銭だったとします。このレートで買って、仮にすぐに決済するとしましょう。そうするとレートは一切動いていないにも関わらず、損益はマイナス10銭になります。これがスプレッドの仕組みです。
スプレッドは実質的にFX会社の利益になるので、トレーダーにとっては実質FX会社に支払う取引手数料ともいわれています。エントリー直後はスプレッドがあるため、それ以上にレートが有利な方向へ動いて、初めて利益が出る仕組みになっているのです。
スプレッドによるコストを計算する方法
実際のトレードでは、スプレッドとしてどれくらいのコストを支払っているのでしょうか。スプレッドで生じるコストの計算は、「スプレッド×取引通貨数」で計算できます。例えば、ドル/円のスプレッドが0.3銭で、1万通貨取引したとします。1通貨あたり0.3銭のスプレッドが発生するので、実際に支払うコストは0.3銭×1万通貨=30円となります。
一回の取引では小さい額に思えるかもしれませんが、取引を繰り返せば繰り返すほど支払うコストも増えてきます。当たり前のようですが、トレード手法の中でも短期的に売買を繰り返す場合、年間にスプレッド分として数万円払っている場合もあるのです。一回一回は少額でも、あなどれないコストといえるでしょう。
スプレッドの値幅の読み方「pips」と「銭」の違い
実際にスプレッドを調べてみると、値幅が「pips」や「銭」などと異なる単位で表示されています。銭については日本人にとってなじみのある単位ですが、pipsがわかりにくいという人もいるかもしれません。
為替相場ではレートが変動する最小単位があり、対日本円の通貨であれば1銭の10分の1までレートは細かく変動します。この最小単位がユーロ/ドル、ポンド/ドルなど外貨同士の場合にpipsと呼ばれます。従って、ドル/円やポンド/円など対日本円の通貨で0.3銭と書かれているのは、0.3pipsと表示しても全く同じ意味になるのです。
スプレッドはFX会社や相場の状況で変動する!
スプレッドにはもう一つ重要な側面があります。それは「変動する」という点です。ここからは、スプレッドの変動について詳しく解説していきます。
FX会社によってスプレッド幅が異なる
スプレッドの値幅は世界共通ではなく、FX会社が独自に設定します。例えば、ドル/円の場合、各社のスプレッドは0.09銭~1銭と大きく差があります。もし10万通貨取引した場合、スプレッドにより支払うコストは最安で90円、最高で1,000円になるので、大きな違いといえます。
このように、スプレッドは会社ごとに異なっているので、まずその点に注意が必要です。他にも「この通貨に関してはこの会社が特に有利」など各社の特徴もあります。同じ会社でも一つ通貨ペアのスプレッドが狭いからといって、他の通貨ペアも同じように狭いとは限りません。
「固定スプレッド」と「変動スプレッド」がある
スプレッドは各会社が決めるだけでなく、他にも変動要素があります。それが「固定スプレッド」と「変動スプレッド」です。変動スプレッドは海外のFX会社によく見られ、 銀行間市場の流動性に連動して変わります。。
一方、固定スプレッドはいつも同じスプレッド幅で取引ができる制度です。ただし、「原則」固定であり、相場の急変時や取引量が少ないときは一時的に変動するのが特徴です。現在、国内のメジャーなFX会社であれば、原則固定が採用されているのが一般的です。どんな時に変動しやすいかについては、のちに詳しく解説していきます。
スリッページにも注意が必要
トレードのコストは実はスプレッドだけではありません。例えば、トレードで「今この価格で買おう」と注文ボタンを押したときのレートではなく、違うレートで約定してしまっていたという経験はないでしょうか。
この現象はスリッページと呼ばれています。原因は諸説ありますが、基本的に注文ボタンを押してから約定する間も相場は変動し続けているので、そのタイムラグにより発生するものといわれています。
自分が思った値段と違う値段で約定してしまうので、有利に働く場合もありますが、不利に働く場合もあります。不利に働いた場合もほんの少しの差なら問題ありません。しかし、頻繁に起こったり、大きな差になったりすると見過ごせないコストになってしまいます。
対策としては、ほとんどの業者では自分の許容以上のスリッページが起こった場合は、取引を成立させないように設定できます。また、約定力の高い業者を選ぶことも考慮にいれましょう。
FXのスプレッドが変動する原因とは?
前述したとおり、原則固定であっても相場の状況次第でスプレッドは変動します。では、実際にどんな時に変動するのでしょうか。
取引量が少ない時間帯
まず、スプレッドが広がりやすいのは相場の取引量が少なくなる時間帯や日です。為替相場も基本的には買う人と売りたい人のマッチングができなければ取引は成立しません。売りたい価格と買いたい価格がうまくマッチングできなければ、その分スプレッドが大きくなってしまいます。
取引量が少なくなる場面としてまず挙げられるのは、世界の主要マーケットが開いていない時間帯です。以下の表で紹介している主要マーケットの時間以外は基本的に取引量が少ないと考えましょう。
時間帯の他には、祝日も取引量が少なくなります。日本では平日でも、海外が祝日でマーケットが休場の場合もありますので注意が必要です。また、クリスマスなど 欧米市場でほぼ市場参加者がいなくなる時も全体的に取引量が少なくなる傾向にあります。
相場の急激な変動
次にスプレッドが大きく開きやすい場面は、相場が急変したり、レートが大きく動いたりするタイミングです。例えば、米国雇用統計のような毎月定例の重要経済指標の発表時です。このような時はレートが大きく動くことが知られていますが、その際スプレッドも変動しやすくなります。
経済指標発表以外にも、突発的な要人発言や選挙の動向、災害、テロ、政変など世界情勢で動きがあった時もスプレッドは変動しやすくなります。このような場面ではレートが動くスピードも非常に早くなるので、先に紹介したスリッページも発生しやすくなります。もしこのようなタイミングでトレードする場合は注意しましょう。
取引量が少ない通貨ペア
スプレッドは取引量が下がると変動することは前述しましたが、これは時間帯だけでなく通貨ペアに対しても同じことがいえます。そもそも取引量が少ない 新興国通貨の場合は流動性が低く、売り手や買い手がつかないこともあり、スプレッドが広がりやすくなります。
新興国通貨はスワップポイント狙いで保有するのが一般的ですが、そもそも高金利通貨は政情不安なども背景に含んでいることが多いのが現状です。レートが急変する場面もそう珍しくなく、スプレッドも安定しにくいといえます。
その反面、基軸通貨と呼ばれる対ドルの通貨ペアでは取引量が常に安定しているため、スプレッドも安定している傾向にあります。
スプレッドを安く抑えて利益を得るには
FXトレードではスプレッドによるコストを安く抑えられれば、利益をより大きく残せます。ここからは、「どうすればスプレッドを安く抑えられるのか」のコツを紹介していきます。
スプレッドの差が小さいFX会社を選ぶ
まずは、複数のFX会社を比較して、スプレッドの狭いFX会社を選ぶことからはじめましょう。ドル/円であれば0.2銭程度がスプレッドの一般的な基準ラインとなります。あとはドル/円の他にも、自分がよく取引する通貨ペアについても比較しておきましょう。業者によってはスプレッドのキャンペーンを行っている場合もありますので、うまく利用するのもいいでしょう。
また、基本的に固定スプレッドを選んだほうがわかりやすく、コストを抑えやすいといわれています。ただし、固定スプレッドでも変動しやすい時間帯の取引を控えるなどの工夫も必要です。
流通量の高い通貨ペアを選ぶ
取引量の多い通貨ペアを意識的に選ぶことも、スプレッドによるコストを低く抑えるコツです。日本の業者であれば、日本人がよく取引するドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円などのクロス円通貨は流通量が多いので、スプレッドも1銭以下に設定されている場合が多いです。
比較として同じクロス円でもマイナー通貨のNZドル/円、南アフリカランド/円、カナダドル/円などのスプレッドは1~5銭程度に設定されており、日々のトレードでは不利になってしまうのがわかります。
取引量で言えば、もちろん対ドル通貨ペアのユーロ/ドルなども取引量が多く、おすすめです。一点、注意が必要なのはポンドです。ポンドは取引量には問題はないもののボラティリティが高いので、業者によって設定されているスプレッドが広い場合があります。ポンド/ドルやポンド/円をよく取引する人は、各社の違いをよく確かめましょう。
スプレッドは狭いほど利益を出しやすい!
スプレッドはトレードにおけるコストです。ビジネスに限らず、FXトレードでもコストをできるだけ抑えられれば、その分たくさんの利益を残せます。各社の違いを比較したり、スプレッドが開きやすい通貨や時間を避けたりする工夫して、できるだけ有利に利益を積み上げていきましょう。