FXのレンジ相場で利益を得るには?相場の見極め方やパターンを覚えよう!
今回は、レンジ相場の発生を見極める方法、発生しやすい時間帯、レンジ相場のパターンなどを紹介します。自分なりの勝ちパターンをみつけるための参考にしてください。
今回のポイント!
- レンジ相場とトレンド相場を区別しよう
- レンジ相場になりやすい時間帯と通貨ペアがある
- レンジ相場では上限・下限付近がエントリーポイント
- エントリー精度を高めるにはテクニカル分析指標とチャートパターンを活用する
FXにおける相場の種類とは?トレンド相場とレンジ相場
レンジに対応するには、まずレンジ相場かどうかわかるようになりましょう。相場環境は大きく3つに分けられます。
トレンド相場
トレンド相場は一方向に勢いが出ている相場です。上昇トレンドでは「買い」、下降トレンドでは「売り」をするのが基本なので、エントリー方向とタイミングがつかみやすいことが特徴です。では、どのようなときがトレンドなのでしょうか。
上昇トレンド
上昇トレンドとは、「高値と安値をともに切り上げている」相場のことです。上昇トレンドでは、一時的に価格が下がったタイミングで買い、上昇したら利益確定するのが定石です。上昇トレンドが継続する限り高値と安値を切り上げるため、この条件が崩れない限りポジションを持ち続けることで利益を伸ばせます。つまり、損小利大になりやすいのがトレンド相場です。
下降トレンド
下降トレンドとは、「高値と安値をともに切り下げている」相場のことです。下降トレンドでは、一時的に価格が上がったタイミングで売り、下がったところで利益確定するのが定石です。下降トレンドが継続する限り高値と安値を切り下げますから、この条件が崩れない限りポジションを持ち続けることで利益を伸ばせます。
レンジ相場
レンジ相場とは、高値同士と安値同士が横ばいに並ぶことをいいます。高値が分布している価格帯がレジスタンスライン(抵抗線)あるいはレジスタンスゾーン(抵抗帯)です。一方、安値が分布している価格帯をサポートライン(支持線)あるいはサポートゾーン(支持帯)と呼びます。
レンジ相場と判定するには、最低でも2つ以上の高値か安値かを必要とします。慎重に判断するなら、3つ以上の高値と安値が決まっているときにレンジ相場だと判断してもよいでしょう。
レンジ相場は「初心者のうちはエントリーのタイミングが難しく、基本的にトレードしないほうがいい」というのが通説です。「なぜそうなのか」「どうやったらエントリーできるようになれるのか」などについては、後ほど詳しく解説していきます。
それ以外の相場
FXでは、トレンド相場やレンジ相場以外にも、急騰(きゅうとう)・急落、法則性のない相場が出現することがあります。例えば、要人発言や経済指標の発表、根も葉もない金融市場のうわさなどがあったときです。かつては中央銀行の介入のうわさなどでも乱高下したものです。今までの流れや値幅を無視して急激に価格が動きます。
また、激しく価格が動くにもかかわらず、方向感がないこともしばしばです。法則性のない相場とは、教科書どおりのチャートが出現しない状態といえます。このような状況でエントリーするのは、ギャンブルと同じです。相場の動きが読めないときはトレードを休みましょう。
FXにおけるレンジ相場の動きを詳しく解説!
FXでは相場の7~8割はレンジ相場だといわれるほどなので、その動きを読むことが重要です。ここでは、レンジ相場特有の動きや、レンジが発生しやすい通貨ペアなどを紹介します。
レンジ相場の動き
レンジ相場では、売りたい人と買いたい人が同じくらいいる「もみあい状態」になっています。サポートゾーンとレジスタンスゾーンができると、その間で以下のように「上昇→下降→上昇→…」というパターンを繰り返します。
- サポートゾーンに達すると、レンジ相場を想定したトレーダーの買いと、短期の下降でエントリーしていた売り勢力の利益確定、 そして実需の買いなどが出て価格の下降が止まる
- 下降の勢いが弱まり、次いで価格が少し上昇する
- ブレイクアウトを期待した売り勢力の損切りや、レジスタンス付近までの上昇を狙った短期の買いが入って価格はさらに上昇する
- レジスタンスゾーンに達すると、レンジ相場を想定したトレーダーの売りと、短期の上昇でエントリーしていた買い勢力の利益確定、 そして実需の売りなどが出て上昇が止まる
- 上昇の勢いが弱まり、次いで価格が少し下落する。
- ブレイクアウトを期待した買い勢力の損切りや、レジスタンス付近までの下降を狙った短期の売りが入って価格はさらに下落する→1へ
レンジ相場が多く発生する通貨
レンジ相場が多く発生する理由の一つは、通貨価値が安定していることです。米ドルや円、ユーロなど先進国の通貨は買い手と売り手が同じくらいいることが多く、 結果、市場の流動性が高く、レンジ相場になりやすい傾向があります。取引量も非常に多いので、特定の機関投資家や企業などが売買したとしても、大きな影響が出ることはありません。
仮に一時的にトレンド相場が発生したとしても、需給のバランスがとれ、元のレンジ相場に戻ってしまうこともあります。 ただし、通貨ペアの関係によって変動が大きい場合もあります。新興国の通貨などのマイナー通貨は、経済や政治状況が不安定なうえ取引量が少ないことから、急激に価格が変動しやすいのが特徴です。
相場を取り巻く状況によっても異なりますが、レンジ相場が発生しやすい通貨ペアとそうでない通貨ペアは以下のとおりです。
■レンジ相場が発生しやすい通貨ペア:
米ドル/円、豪ドル/米ドル、NZドル/米ドル、豪ドル/円、NZドル/円、スイスフラン/円
■レンジ相場が発生しにくい通貨ペア:
トルコリラ/円、南アフリカランド/円、ポンド/円
レンジブレイクが発生すると?
レンジ相場はいつまでも続くわけではありません。何らかのきっかけで「レンジブレイク」が発生します。レンジブレイクとは、価格がレジスタンスラインまたはサポートラインを抜けることです。
レンジブレイクが発生すると、ブレイクと反対方向の勢力の損切りとブレイク方向の新規エントリーが合わさって勢いがつきます。そのため、上昇トレンドや下降トレンドに転換する傾向があるのです。
レンジ相場が発生している場合には、事前にトレンドの転換点となりそうな重要な高値・安値に注目しておきます。そして、レンジブレイクが発生したら、エントリーできるよう準備しておきましょう。
FXではレンジ相場が発生しやすい時間帯がある!
FXでは時間帯ごとに値動きに特徴があります。ここでは、レンジ相場が発生しやすい時間帯を挙げます。
東京市場10時以降の時間帯
日本時間の8時~15時ごろはアジア圏で取引が活発になります。主なマーケットの取引時間(日本時間)は以下の通りです。
特に取引が活発なのは、通貨の仲値(金融機関が利用者に外貨を売る価格)が決まる9:55分ごろまでです。なかでも、米ドル/円、ユーロ/円など、円絡みの動きがよい傾向があります。
一方、レンジ相場が発生しやすいのは、10:00~15:00頃までです。大企業や機関投資家などは朝方に取引を済ませていることが多いため、最も流動性があるロンドン市場やニューヨーク市場が開くまでは、値動きや緩やかになる傾向があります。
欧州市場19時以降の時間帯
日本時間で15~21時の時間帯は、欧州の市場が開き、取引が活発になります。ユーロやポンドなどの欧州通貨がよく動くので、この時間帯はこれらの通貨が絡むペアを選ぶのもよい方法です。特に、15:00~19:00ごろまでは動きが活発な傾向があり、レンジ相場になりにくいのが特徴です。
しかし、東京市場と同じく、欧州市場開始からしばらくたった19:00過ぎあたりから、経済指標の発表などが一巡することもあって値動きが穏やかになる傾向があります。この時間以降は、トレンドが再開されることは少なく、ニューヨーク市場が始まるまで、レンジ相場が発生または継続する可能性が高いでしょう。
ニューヨーク市場午前2時以降の時間帯
日本時間の21:00以降はニューヨーク市場が開き、取引が最も活発になります。ニューヨーク市場は、夏時間は22:30~5:00、冬時間は11:30~6:00です。特にロンドン市場や欧州 と重なっている0:30(夏)または1:30(冬)まででは取引が活発です。
2:00を過ぎると、次第に値動きが緩やかになっていきます。この時間帯はレンジ相場が発生しやすくなるのが特徴です。ただし、要人発言や金融政策などの発表があり相場が大きく動く場合もあります。
レンジ相場を見極めるために使いこなしたい指標
レンジ相場かどうか見極めるには、テクニカル分析が必要です。ここでは、レンジ判定に使える指標を紹介します。
移動平均線
移動平均線とは、過去の価格の平均を結んだ線のことです。例えば、20日移動平均線は、20日間の取引日の最終価格(終値)を平均して求めた値を線でつなぎ合わせています。レンジが発生すると、価格がレンジ内で横ばいの動きになるため、移動平均線が横向きになります。
移動平均線を方向感なくまたぐ動きが多いことにも注目しましょう。トレンド相場では移動平均線に傾きがあり、移動平均線をまたがないか、またいだとしても短期間でトレンド方向に抜けてくるのと対照的です。
いろいろな手法がありますが、レンジ判定に使う移動平均線は、トレンド相場の押し目買い・戻り売りの目安に使っている線を選ぶのがおすすめです。そうすれば、トレンド相場で移動平均線をまたいだときに、レンジ相場入りの兆候をつかみやすくなります。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、移動平均線と移動平均線の上下に示された複数の線で表される指標です。上下の線はσ(シグマ)という統計学の「標準偏差」の線で、設定を1σにしていれば、上下のσの範囲内(バンド)に68.3%の確率で価格が収まることを示しています。同様に2σであれば、95.5%の確率です。チャートソフトによっては、複数のσを同時に表示できるものもあります。
このボリンジャーバンドは、レンジ相場になって移動平均が横向きになると、バンド幅が狭くなり、移動平均線と平行するように幅も一定になる性質があります。この「くびれ」形状から、レンジ相場であると判定できます。
RSI
RSIは相対力指数と訳されるオシレーター系の指標のひとつです。オシレーターとは振り子の意味で、「買われすぎ・売られすぎはやがて修正される」という考えをもとに、相場の過熱具合を数値化するために作られました。RSIでは、30%以下を売られすぎ、70%以下を買われすぎのゾーンとしています。
RSIのようなオシレーターは、レンジ相場でエントリーのタイミングを見るために有効とされています。ただ、RSIを単独で使うのは高リスクです。トレンドが発生すると、売られすぎ・買われすぎの状態で数値が張り付くようになることもよくあるからです。
そのため、移動平均線と組み合わせて使います。移動平均線が横向きの場合に、RSIが70%以上から70%未満に下降したところで売り、30%以下から30%以上になったところで買うのがセオリーです。RSIの期間はトレーダーの任意で設定できますが、実際には14期間がよく使われます。
RSIの計算式は以下のとおりです。
RSI=N日間の値上がり幅÷(N日間の値上がり幅+値下がり幅)
エントリーのタイミングは?レンジ相場のパターンを知ろう
エントリーのタイミングを見極めるには、レンジ相場のチャートパターン(形状)を認識できることが大切です。ボックス・三角保ち合い・フラッグ・ウェッジ・ブロードニングフォーメーションのそれぞれについて解説します。
ボックス
ボックス相場とは、決まった範囲で高値と安値を繰り返す相場のことです。高値同士、安値同士を結ぶと水平近くになり、それぞれの線が平行になるのが特徴です。高値付近はレジスタンスゾーン、安値付近はサポートゾーンとして機能します。箱に入ったように見えることから「ボックス相場」と呼ばれています。
ボックスでは、レジスタンス・サポートゾーンに引き付けてエントリーするのがセオリーです。たとえば、米ドル/円では、円高となりサポートゾーンから反発したときが買いのエントリー、円安になってレジスタンスゾーンから反落したときが売りのエントリーポイントです。上手くいけば往復で利益を上げられるでしょう。ボリンジャーバンドやRSIを使って精度を上げる手法もあります。
三角保ち合い
三角保ち合いは、高値を結んだ切り下げラインと安値を結んだ切り上げラインが徐々に収縮し、三角形のような形になることを言います。レンジ相場のもみあい状態が続くと発生する傾向があります。長時間会議をしていると徐々に意見がまとまっていくように、レンジも需給バランスの取れた価格に収束していく傾向があるからです。
波動で見ると「高値切り下げ・安値切り上げ」、「安値切り上げ・高値切り下げ」になるため、トレンド相場の定義を満たしていないことに注目しましょう。したがって、トレンドラインは引けません。三角持ち合いの形状を見ると、以下の3つのパターンがあります。
シンメトリカルトライアングル(対称または均衡型)
売りと買いの勢力が拮抗しているので、どちらにブレイクするかわからない状態。ブレイクを待ってからエントリータイミングを計るほうが低リスク。
アセンディング(上昇)トライアングル
買い勢力が強く、安値を切り上げながら高値に張り付いている状態。上にブレイクして上昇する可能性が高いので、ブレイクアウトエントリーまたは安値切り上げライン付近で買いエントリーを検討できる。
ディセンディングト(下降)ライアングル
売り勢力が強く、高値を切り上げながら安値に張り付いている状態。下にブレイクして下降する可能性が高いので、ブレイクアウトエントリーまたは高値切り上げライン付近で買いエントリーを検討できる。
三角持ち合いは、トレンド相場の途中で発生することが多いです。形状に注目することも必要ですが、大きな流れに沿うことを重視しましょう。
フラッグ
フラッグは、長期的な方向に対して、短期的な反トレンド相場になることで発生します。図のように長期上昇トレンド中に、短期の下落トレンドが発生することでフラッグは作られます。AB=CDで動くことが多いので、高値同士と安値同士を結ぶと傾いた平行線が引けるのが特徴です。
長期上昇中にできたフラッグは上昇フラッグ、長期下降中にできたフラッグは下降フラッグといいます。いずれもフラッグ全体を真横にすればボックスになるので、レンジの一種ということがわかるのではないでしょうか。
短期的にはトレンド相場ですが、長期的なトレンドは維持されている状態です。値動きが上下しながらも、強い方向感が出ていない状況ともいえるでしょう。
しかし、長期的には単なる調整にすぎないのがフラッグの特徴です。長期トレンド方向に抜けて順行する可能性が高いので、フラッグをブレイクアウトしたタイミングか、その後の短期的な押し・戻しを待ってエントリーするのがセオリーです。
ウェッジ
ウェッジには、上昇ウェッジと下降ウェッジがあり、三角保ち合いの幅が狭くなっていき、上下のどちらかに傾いているチャートパターンです。
上昇ウェッジでは、高値と安値を切り上げながら上昇し、高値の切り上げ幅が小さくなります。下降ウェッジでは、高値と安値を切り下げながら下降し、安値の切り下げ幅が小さくなるのが特徴です。
ウェッジが出現したら、レンジ相場のブレイクが近い状態といえます。ウェッジから上向きにブレイクした場合急騰する可能性が高く、下向きにブレイクした場合は急落する可能性が高いでしょう。
その理由は、利益確定が出やすいからです。仮に買いポジションを持っていて、上昇ウェッジになった場合どうでしょうか。上値が重いので、いつ利益確定しようか思案しているはずです。また、上昇ウェッジの途中で買っていた場合はどうでしょうか。なかなか利益が増えないので、利益を守れるポイントまたは小さな損失で済む価格に注文を引き上げはじめます。
要するに調整なしで上昇しているため、買い勢力の注文が溜まっているのです。そのため、値幅が狭くなって止まり、少し価格が逆行すると、連鎖的に利益確定または損切りの注文が執行されることで急落しやすい傾向があります。
ブロードニングフォーメーション
三角持ち合いは値幅が収縮していくレンジでしたが、逆に値幅が拡大するのがブロードニングフォーメーション(メガホンパターン)です。図のように、高値同士と安値同士を結ぶ線がサポートライン・レジスタンスラインとなり、ラインの内側に価格が収まります。三角保ち合いの状態からブロードニングフォーメーションに移行することもあれば、トレンド相場で急落・急騰した後に発生することもあります。
高値も安値も更新しているのが特徴であり、方向感がありません。メガホン状の向きは横向き、上昇、下降などさまざまです。いずれにしても、エントリーのタイミングがつかみにくいでしょう。「上昇トレンドへの転換かと思って押し目を待っていたら安値更新」「下落トレンドへの転換かと思って戻りを待っていたら高値更新」と、なかなかエントリーができません。
サポート・レジスタンスライン付近でエントリーする方法もありますが、難易度は高いといえるでしょう。後から見れば簡単ですが、事前にサポートラインやレジスタンスラインを正確に引くのは難しいからです。また、トレンドラインや水平線と違って注目度が低いので、反転しないこともよくあります。
レンジ相場の動きを読んでエントリーのタイミングを見極めよう!
レンジ相場は初心者にはエントリーが難しいといわれます。しかし、取引に慣れてきたら、レンジ相場でもエントリーポイントを見つけ出して利益を上げられるようになります。相場の7割以上を占めるといわれるレンジ相場でも稼げるようになれば、資金が増えるまでの時間を短縮することもできるでしょう。
レンジ相場に対応するには、テクニカル指標の使い方やチャートパターンを覚えることが重要です。これらを上手に活用しながら、エントリーのタイミングを見極めていきましょう。
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