lumber(木材先物) 、 BTC は 50% 急落
本日は6月28日。6月の終了とともに、今年も半分が終わることになります。5月までのテーマを確認すると、下記のようになります。
(1)BOC (Bank of Canada)
カナダ銀行[カナダの中央銀行]に続きテーパリング(※)に踏み切るところはどこだ?
(※「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
ポストコロナで注目されているのは、主要国による金融緩和からの脱却。つまり、中央銀行のテーパリングとなります。
このテーパリングにいち早く動いたのが、BOCです。BOCがテーパリングにいち早く動いたことで4月下旬からカナダ・ドルは急騰しています。そこで次にテーパリングに動く通貨として、4月以降ユーロやポンドが注目され値を上げてきました。
(2)商品市場の活況で利するところはどこだ?
商品市況が続伸しており、為替市場に影響を及ぼしています。木材相場の上昇がカナダドル高要因に、鉄鉱石相場の急騰が豪ドル高をサポートしていました。
(3)新型コロナウイルスのワクチン供給がうまくいっているところはどこだ?
英国のワクチン供給が順調に進んでおり、英ポンドの上昇要因となっていました。
5月までは、これら3つの材料のうちのどれかが交互にテーマとなり、通貨が動いている展開が続いていました。また主要国によるロックダウンによる金余りがBitcoinを筆頭とした仮想通貨の急騰を誘引してきたことも挙げられます。
しかし直近はこうしたテーマが崩れてきており、その流れが反転しています。
まず、lumber(木材先物)。先月初旬までは「ウッドショック」といわれ、一時1,711ドルまで暴騰していたlumberですが一気に急落。1,000ドルをも割り込み6月25日には779.30ドルまで暴落しています。この動きはすでに年初の価格を割り込み高値から50%まで暴落しています。
この木材先物の価格の乱高下をみていると「ウッドショック」とは一時的は現象だったのかと思わせるほどの暴落です。
この木材の急落によりカナダも一転して急落しています。BOCがテーパリングをしていたのでカナダドルは暴落を避けられていますが、マーケットのコンセンサスであった「中央銀行が金融緩和を示唆した通貨は買われる」というコンセンサスが崩れています。つまりカナダドルにおいては、前述の①中央銀行がテーパリングに踏み切ることよりも、②商品市場の活況が崩れたことのほうが大きいわけです。
そしてご指摘させていただいた(3)「新型コロナウイルスのワクチン供給がうまくいっているところはどこだ?」ですが、こちらは、欧米に追随してアジア諸国もワクチン供給が進展してくるため、ワクチン供給の進展が欧米だけの利点ではなくなってきています。
そしてもうひとつその価値を半分に劣化させてしまった金融プロダクツがあります。それはBitcoin。
今年のBitcoinの高値は700万円レベルなので、Bitcoinは高値からその価値を50%失ったことになります。これは木材先物と同様の動きです。こうしたlumberや仮想通貨の混乱が、株や為替に直接の影響を与えるわけではありません。
しかし、金融市場は何かが急落すると損失補填のため、他の金融プロダクツで利益確定をする動きになりがちです。
今回の仮想通貨は、世界的なロックダウンによる金余りと相まって資金が仮想通貨に過剰に流れていたこともあり、その調整が他の金融市場へ与える影響が懸念されています。
そして、マーケットにこのような負荷がかかると、それはrisk off、つまりドル高へと傾斜します。確かに今月に入ってドルインデックスは反発しています。
そしてドルインデックスに最も影響を及ぼすユーロドルはFOMC以降弱含んでいます。
6月17日のFOMCでのパウエル議長による「インフレは顕著に上昇した。」とのコメントをきっかけにドルが急騰。ユーロドルは一時1.1848まで急落しています。
その後、パウエルFRB議長自身が「火消しに回る発言」もあり、ユーロドルは1.19台まで値を戻していますが、FRBの早期テーパリング予測は消えないため、ユーロドルの反発は限定的。この流れでユーロドルのshort目線は変わらず。動きを止めてしまったのが豪ドル円。
Lumberがその価値を高値から半分にしてしまったので、鉄鉱石も早晩調整にはいると想定していましたが、木材と違いiron ore( 鉄鉱石 )は未だに高値圏で推移。ただシドニーではデルタ株により二週間のロックダウンが発表されています。メルボルンは、これですでに3週目のロックダウン。
長期に渡って新規感染者数がゼロだったオーストラリアでは、デルタ株によるロックダウンでオーストラリアの友人によれば、少しメンタリティがダウンしているとのこと。
豪ドル円は現在も、84.05円で動きを止めてしまっていますが、demarkがtop outを示唆している豪ドル円のshortもまだkeepしています。
あまり膠着が長いとswapでもっていかれるので、このあたりを考慮して他通貨にriskをふりわけるか検討中。
シンプルトレードで配信した内容の一部を掲載しています。