通貨の2極化が鮮明な理由
GBPJPYが約3年ぶりの水準に上昇
引き続き、コロナ後の金融緩和からの出口(正常化)が決定された、またはそこに一番近い通貨が買われる展開が継続しています。
CADが引き続き買われ、USDCADでは1.2079まで下値を拡大(カナダドル高)、2017年以来、約4年ぶりの安値を更新、CADJPYでも90.10の高値を示現しています。
昨日は、欧州時間に入り、英国政府からコロナ規制に関し、5/17より段階的な緩和方針が伝えられ、ポンドが一段高となっています。
GBPUSDで2/25以来の高値1.4158、GBPJPYでは2018年3月以来の高値154.02まで上げ幅を拡大、為替市場では通貨の優劣が鮮明となってきました。
米国5年先の物価上昇期待が15年ぶりの水準に上昇
先週金曜の市場予想を下回った米国の雇用統計に関し、雇用の減速は一時的との見方が複数の地区連銀総裁からも発信されています。
昨日は、ダラス連銀のカプラン総裁がブルームバーグテレビのインタビューに応じ、「テーパリング(量的緩和の縮小)議論は早期に開始すべき」としています。
(この発言が起爆剤ではありませんが)今週の米国の物価関連指標の発表を前に、5年先の予想物価上昇率(注)が2.733%まで上昇、2006年3月の水準を超えてきました。
(注)BEI、ブレイク・イーブン・インフレ率。市場参加者の5年先の物価の見方を反映、広義の物価指標。
2006年3月といえば、当時のFRBグリーンスパン議長のもとで、2年間で4.25%の利上を実施中、その引き締めの最終局面でした。
こうした時期の予想物価上昇率を上回ってきたことで、米株にはやや調整の売りが優勢となり、ダウは6日ぶりに反落、ナスダックは-2.55%まで下げ幅を拡大しています。
伸びしろのある通貨と低迷する通貨
為替市場では、先行した一部クロス円がやや利食い売りに押されて引けています。
昨日の場合、(米株が午後に入り軟調推移した影響もありますが)AUDJPYやNZDJPYは一旦コロナ後の高値を更新しましたが、引けではその水準以下で引けています。
一方で、本欄でも指摘させていただいましたGBPJPYが上値を大きく拡大と、伸びしろのある通貨、JPYのように低迷する通貨とのコントラストが鮮明です。
経済の正常化、金融の正常化がキーワードであり、そうした点ではユーロ圏のEURは、まだまだJPYに近いのでしょう。
序列では、CAD>GBP>AUD/NZD>EUR/CHF>JPYといったところでしょうか。