米中覇権争い加速。第2ステージか?
5月28日、中国の国会に相当する全人代(全国人民代表大会)で、「香港における国家安全保護に関する法律制度」(香港版国家安全法)が香港の議会にあたる立法会を飛び越えて決定されました。
内容的には次のような規制強化政策です。
(1)政権転覆の防止
(2)国境、海洋、空域における防衛・コントロール
(3)インターネット規制
イギリスの植民地だった香港が1997年に中国へ返還された時、返還後50年間、香港は中国領土ではあるがイギリスが残した制度を維持する一国二制度という体制にすることを中国が国際公約としました。
国際金融センターを自国に持つという中国にもメリットがあることから、香港は独立した高度な自治権と資本主義制度を維持することとして認められたのです。
それゆえに香港は関税などについて優遇されてきました。
中国では、一国二制度は国家の基本国策として維持していると表明しているものの、香港の議会を無視して香港における規制強化となる香港版国家安全法を制定したことは実質的に一国二制度を撤廃し中国本土と同じ制度にしていくことを決定したことになります。
これに対して米国では大きく反発、次のような方向です。
・香港の優遇措置を剥奪し関税を中国本土と同じにする
・中国の高官のビザを制限・資産凍結
・中国企業33社をブラックリストに入れ米国からの資材等の調達禁止
・中国企業の米国市場での上場廃止・上場禁止
・ウイグル人権法制定
すでに、香港の富裕層は香港から逃げ出し始め、香港の金融センターの立場が危うくなっていましたが、それも加速しています。
激動の時代は、想定外の災害・金融危機・戦争が起きる時代という認識ですが、これで戦争の要素でもステージが一つ進んだことになります。
新形コロナウイルス騒動から中国の世界制覇は加速し、現在、インド中国の国境間も紛争が激しくなっています。
現在、株は無制限の金融緩和により上昇していますが、ある意味、資本主義としての金融システムは壊れてしまっているので、今までの常識が通用しない相場、本格的に暴落すると止めることが難しい相場になっています。
金融の世界では人類の歴史上にないことが起きているので、正しい認識を持って望むことが大切です。
日刊ゲンダイWEB版にも掲載