FXのローソク足を使ったトレード手法とは?基本的なパターンを学ぼう
★今回のポイント!
・ローソク足はテクニカル分析に必須の指標
・ローソク足1本でも相場の動きが読める
・ローソク足のパターンで売買シグナルを探そう
ローソク足で為替相場の動きを読もう!
ローソク足は為替相場のほか、株式や金などさまざまな相場の動きを把握するために使われている手法です。江戸時代の相場師・本間宗久(ほんま そうきゅう)により考案されたとされています。ここでは、ローソク足の基本を学んでいきましょう。
ローソク足でわかること
ローソク足は、1カ月や1週間、1日、5日、4時間、15分など、一定の期間における値動きをローソクのような形状で表す方法です。以下の用語と意味を、まず覚えておきましょう。これら4つを合わせて四本値(よんほんね)と言います。
ローソク足は、始値と終値の価格幅にあたる実体と上下に伸びるヒゲで構成されているのが特徴です。ヒゲは高値と安値を示します。もし始値・終値と高値・安値が同じであれば、どちらかのヒゲまたは両方がなくなります。
ローソク足による値動きの表し方
ローソク足には、陽線と陰線の2種類があります。
※チャートツールによって、ほかの色で表されることもあります。ツールによっては任意の色設定が可能です。
なお、始値=終値となることもあります。この場合、ヒゲの色で十字または一文字のように表示されます。この十字線については、後ほど詳しく説明します。
ヒゲの意味は陽線でも陰線でも変わりません。上ヒゲは高値圏を表し、下ヒゲは安値圏を表します。ローソク足では始値と終値で挟まれた価格を実体部として重視するので、ヒゲ部分は相場が行き過ぎた痕跡やノイズのように考えるからです。
1本のローソク足の形から為替相場の動きを読む方法
チャート分析では、「1本ごとのローソク足の意味を読み解くことが重要」と言われます。ここでは、1本のローソク足で値動きを読む方法を紹介します。
十字線
十字線とは、始値と同じ価格が終値になったローソク足の形です。途中いろいろあったものの、結局買いと売りの勢力が拮抗して、元の価格で終わったという状況です。もし、ローソク足が横並びになっていた状態で十字線が出れば、売り買いのバランスが取れた価格ということを示します。あるいは、買いと売りが拮抗して、つば迫り合いをしている状況です。
高値圏、安値圏になると意味が変わります。なぜなら、上昇・下落の勢いが止まった可能性を示すからです。つまり、十字線が高値で出現したら下落に転じるサイン、安値圏で出現したときは上昇に転じるサインと考えられます。
トンカチ
トンカチとは、一時は価格が上昇したものの、結局下落したときの形です。その名のとおり、トンカチのような形をしていると覚えましょう。トンカチは陰線・陽線どちらでもかまいませんが、上ヒゲが長く実体部が小さいことが特徴です。
このローソク足が何を意味するかというと、一時的に価格が上昇したものの、結局、下落してしまったということです。これが高値圏で出現した場合には、売りたい人が多いことを示すため、下落に転じる可能性があります。
カラカサ
カラカサはトンカチが逆になった形です。下ヒゲが長く実体が小さいのが特徴なので、傘のような形と覚えておきましょう。なお、カラカサは「タクリ線」と呼ばれることもあります。意味はトンカチと逆です。すなわち、一時的に価格が下がったものの、終わりにかけて上昇したことを示しています。安値圏でカラカサが出ると、下落が一服して上昇に転じるサインです。
ローソク足を見慣れない人は、始値と安値(下ヒゲの先)と終値を線で結んでみましょう。すると、鋭利なナイフのような形、またはV字のように見えませんか。イメージ的にも、反転上昇しそうな動きになっていることがわかります。
大陰線
大陰線とは、始値と高値、終値と安値が同じくなったときの形で、ヒゲがほぼないのが特徴です。始値から一方向に下落していることを示し、売りの勢力が強いといえます。始値から上を試すことなく下がり、安値付近で終わった状態です。売り勢力の大勝利といえます。
これは始値と終値を線で結べば、すんなり覚えられるのではないでしょうか。つまり、急角度の右肩下がりの線が引けます。投資初心者でも下落トレンドの典型的な動きであることがわかるでしょう。トレンドは継続すると考えるのがセオリーなので、これが安値圏で出ても、当面買いはできません。高値圏で出れば素直に下落トレンド発生とみて、売りのタイミングを検討します。
大陽線
大陽線とは、始値と安値、終値と高値が同じくなったときの形で、ヒゲがほぼないのが特徴です。始値から一方向に上昇していることを示し、上昇の勢力が強いといえます。始値から下を試すことなく上がり、高値をキープして終わった状態です。買い勢力の大勝利といえます。安値圏で発生すれば上昇トレンド発生、高値圏で発生しても当面売りはやめておいたほうが無難です。
「安値と高値がいくら離れていれば大陽線なのだろうか」と疑問に思った人もいるのではないでしょうか。目安としては、他の平均的なローソク足の5倍程度です。パっと見て明らかにわかるはずなので、判定に迷うようでは大陽線ではありません。これは大陰線でも同じです。
複数のローソク足を使ったトレード手法
ここでは、2本以上のローソク足から為替相場の動きを見て、売買のタイミングを見極める方法を紹介します。
はらみ線
はらみ線とは、1本前のローソク足のなかに次のローソク足が収まっている(はらんでいる)状態のことを言います。はらまれているローソク足は「はらみ足」です。また、はらみ足の前の足が陽線の時は「陽のはらみ線」、陰線のときは「陰のはらみ線」と呼びます。
はらみ線のシグナルは以下のとおりです。
・安値圏で陰のはらみ線が出現した場合は、上昇に転じるサイン
・高値圏で陽のはらみ線が出現した場合は、下落に転じるサイン
はらみ線も暗記しようとするとすぐ忘れてしまうので、2つのローソク足の期間でどのような動きをしたか四本値を線でつないでみるなどして想像してみてはどうでしょうか。安値圏での陽のはらみ線は、「下げたが、次の足で少し反発し、前の足の安値上で推移している」という状態です。つまり、反発後、安値を切り上げて上昇転換しそうになっています。高値圏での陰のはらみ線はその逆です。
包み足(抱き線)
包み足(抱き線)とは、1本前のローソク足よりも実体が大きくなることです。包み足は以下のようにサインとして使えます。
・陰線が1本前の陽線よりも大きい場合は売りのサイン
・陽線が1本前の陰線よりも大きい場合は買いのサイン
売りのサインの意味を考えてみましょう。サインが出た時点は、1本目の陽線の高値を更新したのに、2本目の陰線で否定されて1本目の安値を割った状況です。各ローソクの期間は同じなので、「止まって・下げる」という切り替えしが早かったことも示しています。
ボクシングでいえばきれいなカウンターが決まった状態いえるでしょう。相場用語で説明すれば1本目の高値ブレイクアウトが「だまし」になり急落した形です。そのため、売りサインとして活用できます。買いサインはこの逆です。
窓(空)
窓とはローソク足の高値(安値)と次のローソク足の安値(高値)の価格が大きく離れている状態をいいます。チャートにぽっかりと穴が開いている様子から、窓と呼ばれるようになりました。ローソク足のパターンでは空(くう)と呼ばれることもあります。
通常、取引のない時間帯に価格に大きな影響を与える出来事があり、寄り付き価格(取引日最初のローソク足の始値)が前日と大きく乖離するのが特徴です。窓は2つの解釈があるので注意しましょう。
1つ目は、窓を相場の総意とみなして、窓を開けた方向についていくことです。上方向に窓ができることは「上への窓開け」といい、買いサインになります。逆に「下への窓開け」は売りサインです。
2つ目は、窓を埋める動きを狙う方法です。「上への窓開け」なら売りサイン、「下への窓開け」なら買いサインと、先ほどと逆に考えます。
つまり、どう解釈するかは、より引いた目線でのチャート分析が必要です。基本的には天井・底らしいところなら、利益確定が出るだろうと考えて窓埋めすると考えます。ただし、短期的な勢いがあるので、初心者はしばらく様子をみたほうがいいでしょう。
一方、トレンドが加速しそうなところ、またはレンジ相場(横ばい)からブイクアウトして窓ができたら、しばらく動きが継続するだろうと考えて窓を開けた方向でエントリーポイントを探します。
星
星は前後のローソク足で違う方向の窓を開けている小さなローソク足や十字線のことをいいます。明けの明星や宵の明星は、窓の考え方を応用して、3つのローソク足で動きを捉えるのが特徴です。
窓を開けるのは、下記のように考える人が増えている状態で発生します。
・含み損が拡大するので、どのような価格でも損切りしたい
・安値圏・高値圏だと思っており、どのような価格でも新規ポジションを持ちたい
つまり、明けの明星で説明すると以下の流れになります。
1.辛抱たまらないと思った買い勢力が損切りするので下への窓を開ける
2.下への動きに追従する人がおらずに下げ止まり、少し反発して終わる(真ん中のローソク足)
3.安値圏だと思った勢力が多くいて、窓を開けて始まる
4.窓埋めに向かうことなく、上への窓開けの買いサインを肯定して終わる(右のローソク足)
そのため、上昇転換のサインになります。宵の明星はその逆です。
【明けの明星】
【宵の明星】
「酒田五法」で見るローソク足手法の基本パターン
酒田五法は、日本古来のローソク足分析として有名な手法です。「三山」「三川」「三空」「三兵」「三法」の5つの基本パターンで相場の流れを読むので、五法と名付けられています。ちなみに酒田はローソク足を考案したといわれる本間宗久の出身地です。
ローソク足の手法を覚えてトレードに活用しよう!
ローソク足はテクニカル分析に必須の手法です。ローソク足の分類や、ローソク足の組み合わせ・酒田五法を使えば、さらにチャートを読み解けるようになります。ローソク足のパターンはこの記事で紹介した以外にもいろいろあるので、テクニカル分析の本や投資スクールなどで学んでみてはどうでしょうか。そして、自分のトレード手法に活用しましょう。