FX短期売買に使える。 意外に知られていない「東京仲値」とは?
香港上海銀行(HSBC)でチーフディーラーを務めた経験からの、相場をみるうえで重要なファンダメンタルズの知識を解説!
相場の世界でプロと一緒の土俵で取引をするには、やはり相場の知識が必要です。香港上海銀行( HSBC)で10年以上に渡りチーフディーラーを務め、プロも教育をしてきた筆者が、相場の知識をひとつひとつ解説していきます。
東京仲値の特性
午前9:55の東京仲値は、通常、
外貨買いが多い場合:不足
外貨売りが多い場合:余剰
と言いますが、どちらにも傾く可能性があるの決め打ちは危険です。
概して、値決めにかけて不足、余剰どちらかの方向に動き、値決め終了後は、需給バランスが均衡し、反転する可能性が高いといえます。
こうした特性を上手く生かすことで、短期売買のネタとして使えなくもないので、上手く使いたいところです。
東京仲値は、「対顧客電信相場」と呼ばれますように、実需や内外の大手銀行の本支店向けの決済に用いられるものです。今でも一部の銀行では、「公示」、あるいは「公示レート」などとも言っています。
仲値が使われだしたのは、会計上の公正性から、昔は現在の三菱UFJ銀行の前身である外国為替専門銀行の東京銀行だけが発表していました。
仲値は今でこそ、1銭刻みで発表されていますが、昔は5銭刻みとかなり大雑把な設定でしたが、顧客の利便性を踏まえ、今では1銭刻みとなっています。
今では、全ての都市銀行、多くの外資系銀行も独自の仲値を発表していますが、やはり中心となっているのは「会計上の連続性が意識され」、三菱UFJ銀行の仲値がベンチマークとなっています。
銀行各行は大体のバランスの傾きは把握しているのですが、売りと買いどちらが「正確に」多いかはギリギリになるまで分かりません。9:55直前に、駆け込みで飛び入りで入ってくることすらあるからです。
仲値は通常のスポット取引、つまり2日後の決済ではなく、当日決済の価格です。例えば、米国市場が休場の場合は、事実上、仲値は立ちません。
ゴトー日には注意
通常、5の整数倍の日(5日、10日、15日など)は「ゴトー日」と言われ、決済の比率が多く決済が集中するので、外貨買い(不足)になりやすいといえます。
1990年3月の最終営業日には、9:55の直前5分でドル円が急騰し、5分で3円上がるという珍事もありました。背景は、途上国向け債権の一括償却からでした。その日は、仲値の値決め後に大口のドル売りを浴び、あっさり3円の急落、結局元に戻り終わっています。
今でも半期末の9月の最終営業日、期末の3月最終営業日に50銭程度動くことはザラにあります。
大きく需給のバランスが不足または余剰に傾くのは、連休前、連休後、年末、年始、期末、米国債の償還日付近となります。
ドル円の仲値が100円で決まって、1円動いて99円、または101円になったとします。銀行は「連動」といって、仲値を1円外側までずらします。
さらに動きが加速して、2円外側まで動くと「サスペンド」と言って、仲値が事実上無効となります。そうなると銀行の支店は直接ディーリングルームに電話してきて、オンデマンドベースで仲値を決定していきます。
ドル円で、仲値から80銭程度動き連動が近づいてくると、1円外側の価格が市場で取引され、連動になる可能性が非常に高くなります。これは、銀行としては新しい連動の仲値をつけたほうが、自分にとってはメリットがあるからといわれています。
最初の仲値が決定した後、連動まであと少し、サスペンドまであと少しとなると、到達する可能性が比較的高くなるともいわれています。
仲値に関するトピック等は筆者のメルマガ、SmartLogicFXのなかでも頻繁に扱っていますので、よろしければご覧ください。
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