FXはブレイクアウトで利益を狙う!手法やだましに対処する方法を紹介
このような時は、次の動きに向けて一旦エネルギーを溜めている場面ともいえます。ブレイクアウトはそのエネルギーが一方向に動きだすタイミングに乗っていく手法です。
この記事では、ブレイクアウトの基本から、ブレイクアウトが起こりやすいチャートの形、ブレイクアウトをチャンスにつなげる方法について解説していきます。
今回のポイント!
- ブレイクアウトの基本知識とメリット・デメリット
- 「だまし」の特徴と回避するためのヒント
- ブレイクアウト寸前でエントリーチャンスにつながるチャートパターンとは
FXのブレイクアウトとは?基本的なパターンや手法を解説
まず、ブレイクアウトはどのようにして起こるのか、そのメカニズムとブレイクアウトを狙ったトレード手法の基本について見ていきましょう。
ブレイクアウトの基本パターン
相場での値動きには必ず意識されるポイントがあります。例えば、直前の高値や安値、キリのいい数字や、過去に何度も価格が反転した形跡のある箇所などです。
相場参加者の多くがこれらのポイントを意識するので、同じようなところで動きが止まり、ラインが形成されます。ラインが形成されればより一層意識されるという循環が起こり、チャート上で膠着状態が生まれるのです。
また、この特性を知っているトレーダーは、利益確定ポイントを意識されているラインの少し内側に置くので、ラインの間際に来たら自動的に反対売買が多くなり、ラインを超えるのが難しくなります。しかし、このような動きもいつまでも続くわけではありません。ある程度のエネルギーをもってそのラインを超えていくと、今度はラインの外側に置かれていた多くの損切り注文が約定します。
これにより動きが加速して、価格が一方向に急激に動きやすくなるのです。これがブレイクアウトと呼ばれる現象です。
ブレイクアウトの基本的な手法
ブレイクアウト手法とは、今まで意識されていたラインを抜けた時に、抜けた方向へエントリーし、利益を狙う手法です。意識されるラインは上値抵抗ラインをレジスタンスラインと呼び、下値抵抗ラインをサポートラインと呼びます。
レジスタンスを上に抜けていくようなブレイクアウトの時は買いでエントリーをし、サポートラインを下に抜けていくときは売りエントリーします。エントリーのタイミングは様々ですが、ラインを抜けたタイミングでエントリーをするのが一般的です。
ブレイクアウトを狙うメリットとデメリット
ブレイクアウト手法には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。それぞれ詳しく解説していきます。
ブレイクアウトを狙うメリット
まずは、ブレイクアウトの手法を使った場合のメリットから紹介していきます。
エントリーのタイミングをつかみやすい
トレードには様々な手法があり、エントリーのタイミングの判断に迷ってしまうという人も多いでしょう。その点、ブレイクアウト手法はエントリーのタイミングをつかみやすいのがメリットです。
ブレイクアウトには、ブレイクアウトが起こる前に形成されやすいチャートパターンが数種類あります。そのチャートパターンを見つけられれば、あとはそのチャートパターンをブレイクアウトするのを待つだけです。
明確なエントリーポイントを見つけられ、迷いなくエントリーできます。エントリー判断に迷ってしまう初心者でもねらい目が見つけやすく、タイミングもわかりやすい手法です。
大きな利益を狙えるチャンス
ブレイクアウト手法のもう一つのメリットは、大きな利益を狙える場合があるという点です。
ブレイクアウトが起こるメカニズムでも説明したとおり、価格がレジスタンスラインやサポートラインを超えて動いていくには、大きなエネルギーが必要です。一度ラインをブレイクしたら、そのエネルギーでそのまま一方向に伸びていくという現象は頻繁に起こります。
また、そのままトレンドを形成すれば、押し目買いや戻り売りより有利な場所でエントリーするので、大きな利幅を狙える場合もあります。
ブレイクアウトを狙うデメリット
逆にブレイクアウト手法のデメリットには、どんなものがあるか見ていきましょう。
「だまし」が発生することがある
ブレイクアウトではレジスタンスラインやサポートラインをブレイクしたにもかかわらず、再びチャートパターン内に価格が戻ってきてしまう場合があります。このような動きは「だまし」と呼ばれます。「だまし」だった場合は、再びレジスタンスラインとサポートラインの間を行ったり来たりすることが多くなります。
「だまし」が起こるのは決して珍しくないので、ブレイクアウト手法ではこの「だまし」といかに付き合うかが課題です。
損切りをためらうと損失が大きくなる
ブレイクアウト手法では「だまし」との付き合い方が大切ですが、「だまし」を事前に見破るのはほぼ不可能です。もし「だまし」にあったら潔く損切りしましょう。
ブレイクアウト狙いの場合、価格の上限や下限付近でエントリーします。そのため、ブレイクアウトせずに元のチャートパターン内に戻ってしまえば、結果として高値つかみ、安値つかみとなってしまいます。つまり、「だまし」にあったら、ポジションはずっと含み損です。
それだけでなく、高値もしくは安値をつかんでいるので、放っておくと損失が大きくなってしまいます。エントリーする前には必ず損切りポイントや条件を決めておき、「だまし」にあったと思ったら潔く決済しましょう。
ブレイクアウト狙いでは「だまし」に注意!
ブレイクアウト手法では、「だまし」に遭遇してしまう場面が多くあります。ここからは、「だまし」のパターンや「だまし」が起こるメカニズム、その対策について学んで「だまし」に備えていきましょう。
「だまし」のパターン
実は「だまし」は色々な場面で発生し、そのパターンも様々です。
レジスタンスラインを上に抜けた後に、上昇を続けずに下降してしまうパターン
ここでは前半上昇トレンドが見て取れますが、あるポイントから高値で上値が抑えられています。そして、いよいよその上値をブレイクしてそのまま上昇トレンドが継続し、上に伸びていくと思いきや「だまし」が発生して、価格が下落してしまいました。しかし、下落も継続せず、その後は安値・高値を切り上げて上昇トレンドが再開しています。
レンジ相場でブレイクアウトしたものの、相場が反転してレンジ内に戻ってくるパターン
これば、レンジからのブレイクを狙った場面です。レンジの上限を抜けたと思ったら、またレンジ内に戻り「だまし」にあってしまいました。このあと上方向へ再度ブレイクすればいいですが、反対の方向にブレイクアウトし、下降トレンドが発生してしまうと損失が大きく発生してしまいます。
「だまし」が起こる理由
「だまし」が起こるメカニズムははっきりしませんが、一般的には次のような理由が考えられています。
まず、レジスタンスラインやサポートライン付近は、そもそも売りと買いの勢力が拮抗している場所だという点です。一瞬価格がラインを抜けても、その力が反対勢力に対して十分に強くない時は動きを継続できず、またライン内に引き戻されてしまいます。
次に考えられるのは、機関投資家やファンドの存在です。彼らが大量の資金を投入し、わざとラインを抜けたように見せて一旦チャートを動かし、次に逆の売買をして自分たちの利益を確保するといった操作をしているとも言われています。
このような時も結果としてだましになり、価格はライン内に戻ってきます。いずれにしても、レジスタンスラインやサポートライン付近には買いや売りの注文がたまりやすいです。そのため、それぞれの思惑が交錯しているために起こると考えられます。
「だまし」の対策
「だまし」を予測するのは現実的には難しいですが、エントリーのタイミングを少しずらすことによって、ある程度「だまし」を回避できる場合があります。例えば、「ラインをブレイクした!」と焦ってすぐにエントリーせず、少し様子を見てからエントリーするようにします。
また、エントリーに他のテクニカル分析を加えてフィルタする、ローソク足の形を確認する、他のサインも併用するなどの対策もおすすめです。これらのやり方ではブレイクした直後にエントリーするよりタイミングは少し遅れてしまいますが、「だまし」に遭遇してばかりで損切り貧乏にならないためには有効な手段です。
ブレイクアウト狙いで着目したいチャートパターン
ブレイクアウト手法を使うにあたって一番重要なのはブレイクアウトが起こる前のチャートパターンの認識です。チャート形状の種類とそれが生み出される背景にある売りや買いの勢力の状態を知り、チャートの中から見つけ出せるようになればエントリーのチャンスも広がります。
レクタングル
「レクタングル」とは、トレンドの途中で価格の勢いが停滞して、値幅の比較的小さな平行なラインの間を行き来するパターンのことです。
チャート上でレジスタンスラインとサポートラインに囲まれた小さな長方形のように見えるので、英語で長方形を表すレクタングルと呼ばれます。別名では「ボックス」とも呼ばれたりします。
上昇トレンド中でレクタングルが出現した時にブレイクアウト手法を用いる場合は、レジスタンスラインを上にブレイクした時がエントリーのタイミングです。逆に、下降トレンドでレクタングルが出現した場合は、サポートラインを割ったタイミングがエントリーのタイミングとなります。
トライアングル(三角保ち合い)
次のチャートパターンは「トライアングル」です。トライアングルはレクタングルと違い、どんどんと値幅が収束していくのが特徴です。トライアングルには3つのパターンがありますので、それぞれ紹介していきます。
アセンディングトライアングル
アセンディングトライアングルとは、レジスタンスラインは平行、サポートラインがどんどん上昇するトライアングルのパターンです。高値は一定水準を保つものの、価格が下落してくると積極的に買い注文が入るため、安値がどんどん切りあがっていくのが特徴です。
相場参加者の買いの意欲や勢いが強いと判断されるチャートパターンで、価格は上に抜けやすいといわれています。この場合はレジスタンスラインを抜けたら、買いエントリーを検討するタイミングです。タイミングをずらすなら、押し目でエントリーする方法もあります。
ディセンディングトライアングル
ディセンディングトライアングルは、前項のアセンディングトライアングルと真逆のパターンです。安値は更新できないけれど、価格が上昇してきたら戻り切る前に積極的に売られるため、このようなチャートを形作ります。売りの勢力や圧力が強いため、価格は下に抜けやすくなります。
このような形状が見られた場合は、サポートラインを下抜けたら売りエントリーのタイミングです。ブレイクアウト直後で売るか、タイミングをずらすなら戻り売りでエントリーします。
シンメトリカルトライアングル
上記2つのチャートパターンの中間にあたるのが、シンメトリカルトライアングルです。シンメトリカルトライアングルでは高値は切り下がり、安値は切り上がっていきます。これは買い勢力と売り勢力のパワーが拮抗している状態の時に見られるチャートパターンで、価格がどちらに抜けていくかはわかりません。
トレンド中に出てきた場合は、トレンド方向に抜けやすいともいわれています。シンメトリカルトライアングルのエントリーは、ブレイクした方向に売買するのが基本です。つまり、上に抜ければ買い、下に抜ければ売りエントリーをします。
ウェッジ
次に紹介するチャートパターンは「ウェッジ」です。トライアングルと似ていますが、三角形を形作るラインの表れ方がより鋭角になり、高値と安値のスピード感が違うのが特徴です。
上昇ウェッジ
上昇ウェッジは高値も切り上げていて、安値も切り上げている場面に出てくる形状ですが、注目すべきポイントはそれぞれの角度が微妙に違うという点です。
高値を結んだラインの角度は緩やかなのに比べ、安値を結んだラインは角度が高くなっています。これはなんとか上昇をしようと買い勢力が頑張って買うものの、高値を大きく更新していくほどパワーがなく、どんどん力尽きて失速していっている状態を表します。
従って、下に抜けやすいともいわれています。買いの勢力が落ちているので、下にブレイクすれば売りでエントリーができる場面といえます。
下降ウェッジ
下降ウェッジは、上昇ウェッジと逆に、高値は切り下げ、安値も切り下げていきます。上昇ウェッジとは逆に、安値を結んだラインの角度は緩やかなのに比べ、高値を結んだラインは角度が高くなっています。
売りの勢力が売りを仕掛けるものの、安値を大きく更新していく力がありません。売り圧力が弱まってきているので、上にブレイクしやすいチャート形状と言えます。上にしっかりとブレイクが確認できれば買いでエントリーが狙えるチャート形状です。
フラッグ
「フラッグ」は上昇トレンドや下降トレンド中によく見られるチャート形状です。レクタングルに角度がついて傾いた感じになります。この形が風になびく旗に似ているのでフラッグと呼ばれます。
フラッグは上昇フラッグと下降フラッグがあります。どちらも売り買いが拮抗している状態を表します。上昇フラッグは高値も安値も小さく切り下げていくのが特徴です。そこだけを切り取ると、上昇トレンドではなく下降トレンドが発生しているように見えるのが特徴です。
上昇フラッグがチャート上に現れた時は、レジスタンスラインを上にブレイクアウトした時に買いでエントリーできます。下降フラッグは上昇フラッグの逆で、下降トレンドの中に見られます。高値も安値も小さく切り上げていき、サポートラインを下にブレイクアウトすれば、売りでエントリーが可能です。
ペナント
最後に紹介するチャートパターンが「ペナント」です。トレンド中に出てくる三角形のチャートパターンです。トレンドで出ていた動きが一旦おさまって、買いも売りも攻防はするものの、どちらのエネルギーも小さい場合にこのようなチャートパターンを作ります。
シンメトリカルトライアングルとペナントの違いは、ペナントは大きさが小さいという点です。ペナントも旗の意味ですので、直前の上げや下げのチャートの線が持ち手になっている図を想像すると大きさの感覚がつかみやすいかもしれません。
上昇トレンド中にペナントが現れて上方向にブレイクアウトすれば、買いでエントリーできます。下降トレンド中にペナントが現れ、下方向にブレイクアウトすれば売りでエントリーできます。
FXのブレイクアウト手法でエントリーのタイミングを図ろう!
FXのブレイクアウトは相場の膠着状態をチャートパターンから見つけ出して、チャンスにしていく手法です。チャートパターンは慣れればすぐに見つけられるので、エントリー判断をするのにもとても使いやすいのがメリットです。
「だまし」が発生しやすいという点はありますが、「だまし」をかわすタイミングや追加のサインを併用すれば有効なトレード手法になるでしょう。ただし、相場に100%はありませんので「だまし」にあってしまったら潔く損切りも併用するのもお忘れなく!