米金利が一旦低下、多くの通貨に対してドル売り
2021/03/17 06:21にSmartLogicFX で配信した内容から抜粋しています。
メキシコ湾岸のテキサスなどを襲った寒波の影響
昨日の米国時間に入り発表された、米2月の小売売上高は前月比で-3.0%と市場予想を大きく下回りましたが、これはメキシコ湾岸のテキサスなどを襲った寒波の影響からです。さらに、1月分が、+5.3%より+7.6%に上方修正されており、基調はそれほど実際の結果程悪くはないという認識です。
米金利が一旦低下
ただ、金利の市場では米金利が一旦低下、多くの通貨に対してドルが売られ、USDJPYで昨日安値108.78、AUDUSDでは直後に高値0.7751をつけています。先週、総額1200億ドルの米国債の入札に注目が集まりましたが、昨日の240億ドルの20年債の入札は、応札倍率で2.51倍と2月の2.15倍から大きく改善、昨年6月以来の好結果となりました。
流通する既発債にも買いが入り米金利が一段の低下、ただドル売りは一部の通貨に対してのみ進んだだけで、AUDUSDで昨日高値0.7759を示現しています。その後は、金利は反転上昇となり、ドルは多くの通貨に対して一旦底入れして引けています。
トレードポイント
本日は、明日朝03:00のFOMCの金融政策の発表を控え、それまでは金融市場は静かな展開を予想します。焦点は、以下の4点。
(1)声明やFRBパウエル議長の記者会見で、このところの長期金利の上昇に対して、けん制が入るか。
⇒株価を崩さない程度の金利上昇は、静観すると読みます。
(2)長期金利の上昇に対し、オペレーション・ツイスト(注)の導入に向け議論開始や今回の会合で決定がなされるか。(注)量的緩和の額を変えず、短期国債の保有を(償還、満期などで)減らし、同額のより長期の国債を買入れ、長期金利の低下を促す政策。
⇒ただ、10年債金利が1.6%に乗せた程度で、採用していては、今後の上昇に耐えられず、見送られる可能性が高いとみます。
(3)経済見通しやドットチャート(この先の政策金利の予想を全てのFOMCメンバーが示し、それをプロットしたもの)に上方修正が入るか。
⇒1.9兆ドルの経済対策の可決、コロナワクチンの普及から、コロナ後の経済活動の全面再開、経済の過熱がみえるなか、上方修正が入る可能性が高い。
(4)SLRは終了か延長か。
SLRは補完的レバレッジ比率と訳されますが、簡単に、期間限定(3月末終了)のコロナへの金融規制緩和です。こちらが終了するか、延期されるかですが、終了となりますと、一時的な引き締め効果(金融機関が米国債を売却に走るから)があります。
この(1)から(4)のなかで、一番読めないのが(4)となり、これが不確実性を高めています。今朝、USDJPYのポジションを減額したのは、この理由からで、FOMC後は、ある程度方向性がみえてくるかなと思います。
FOMCを前に、昨日動画を作っていますので、深く学びたい方はこちらからご覧ください。