【FX初心者講座】第六章 チャート分析と手法の見方
FX初心者向けに書いた分かりやすい講座。FXを始めたい方はまずコチラから。
まずは正しい知識から。
1.チャート分析手法
2.ローソク足の見方
3.抵抗ラインの見方
4.トレンドの見方
5.フォーメーション
6.ボリンジャーバンドの見方
7.相場転換
8.オシレーター系チャート分析
9.MACD
1.チャート分析手法
各種チャート分析手法については、こちらに基本的なことをまとめました。
- トレンド
- フォーメーション分析
- ローソク足
- 移動平均
- テクニカル指標の使い方
- MACD
- ストキャスティクス
- RSI
- ボリンジャーバンド
チャート分析手法は、相場の本質を理解するために学ぶと思って下さい。
2.ローソク足の見方
★ ドル/円 日足 ローソク足
上のローソク足を見ると、毎日連続して上昇しています。これは、一日がほぼ安値から始まって高値で終わることを毎日繰り返していることであり、強い相場の特徴です。
日足では押し目がありませんので、このような大きなトレンドがでている時には、1時間足や5分足などの短い足を見ながら押し目でエントリーしましょう。
このローソク足をラインだけにすると、次のようになります。
二つを比べると、ローソク足の方が情報量が多いことに気づきます。
例えば、○で囲った二箇所ですが、左側の○の中は上にも下にもヒゲがついていることが分かります。ヒゲは売り圧力と買い圧力の両方があり、上からも下からも押さえつけられているという意味です。これは、ローソク足だからこそ分かることで、ラインでは分かりません。
右の○の中は、安値で始まって高値で終わるという典型的な強い上昇トレンドの相場を意味しています。ローソク足は、高値と安値、そして始値と終値の4つがあることで相場状況を理解する手助けとなります。
ローソク足と、ただのラインでは情報量が全然違うのです。特に、一日の終わりの価格である終値が大切です。それは、終値が一つの締めになるからで、例えば次のように、一時的にある水準を割ったとしても終値が割ってない場合、そこには意味があります。
例えば、下のオイル(WTI)の日足ボリンジャーバンドを見ると、水色のラインを引いた 92 ドル近辺で反発していることが分かります。
ラインの下(赤い丸の部分)はローソク足の下ヒゲです。下ヒゲが並んでいるということは、下から支える力が働いていると判断できます。
またこのチャートでは、100 ドルは目先の高値であり、抵抗ラインと判断できるので 92 ドル買い 100 ドル売りが戦略として成り立ちます。
3.抵抗ラインの見方
サポートライン
サポートラインとレジスタンスラインは、基本的に同じ考え方です。どちらも抵抗ラインと表現することができ、相場が反転する可能性が高いところです。サポートラインとレジスタンスラインのみの分析でも、充分取引可能です。
★ ユーロ/豪ドル 日足チャート
ここに、2本のサポートライン(水色と青色の線)を記入しました。過去何回か、その価格で反発上昇しているポイントがサポートラインになります。
サポートラインを割れると下落が続く可能性が高いです。このチャートでも、上のサポートライン(水色の線)を割ると下落が続いています。
現在、下のサポートライン(青色の線)を若干ですが下抜けてきていますので、さらに下落が進むかもしれない注目ポイントになっています。少し下抜けたものの戻ってしまった場合には、騙しという表現をします。下落しそうに見えて下落しなかったことが騙しです。
戦略
戦略の基本は、確率が高い方向にポジションを持つことになります。サポートラインの上で買うか、サポートラインを割れてきたら売るかの、2パターンの戦略が考えられます。
ストップロス
- サポートラインの上で買う場合: サポートラインの下にストップロス
- サポートラインを割れたら売る場合: サポートラインの上にストップロス
レジスタンスライン
★ ドル/円 日足チャート
ここでは、78.30 円近辺に頭を押さえられている線、抵抗ラインであるレジスタンスライン(赤色の線)があります。上昇した場合、このレジスタンスラインで一旦頭打ちになる可能性が高いです。
戦略
レジスタンスラインの下で売るか、レジスタンスラインを超えてきたら買うかの、2パターンの戦略が考えられます。
ストップロス
レジスタンスラインの下で売る場合: レジスタンスラインの上にストップロス
レジスタンスラインを超えたら買う場合: レジスタンスラインの下にストップロス
二つに共通する点
- レジスタンスラインを超えると、レジスタンスラインがサポートラインになる
- 反対にサポートラインを割ると、サポートラインがレジスタンスラインになる
- サポートラインもレジスタンスラインも、皆が同じことを考えているから、そこで止まることが多くなる
- 過去に取引が多かったポイントは、サポートライン・レジスタンスラインになりやすい
- ローソク足のヒゲは無視するが、そのヒゲも、サポートラインやレジスタンスラインで止まることが多い
- キリが良い数字(ドル/円 85 円・豪ドル/円 80 円など)は、心理的にサポートラインやレジスタンスラインになりやすい
- 直近の安値や高値は、サポートラインやレジスタンスラインになりやすい
- サポートラインやレジスタンスラインを突破される時は、3度目のトライで突破されることが比較的多い
常に意識しておく必要があるのは、売りと買いは常に同じだけあるということです。売りが多く持ち込まれれば急激な下落となり、買いが多く持ち込まれれば急激な上昇となりますが、それでも売りと買いの数は同じです。市場参加者の、心理を読み取るという視点が大切です。
4.トレンドの見方
21 指数移動平均線
トレンドの判断には、21 指数移動平均線(EMA)を使うのが良いでしょう。21 日(単純)移動平均線(SMA)は、直近 21 日間の価格の平均価格をつなげたラインですが、そのラインを多少加工したのが 21 日指数移動平均線です。
21 日指数移動平均線は、直近 21 日間の平均価格を指数的に重みつけをして平均価格をつなげたラインです。(意味が分からなくても、使い方だけ分かれば大丈夫です)
指数移動平均線は、ほとんどのFX会社のチャートに搭載されていますが、21 単位に設定を変更する必要があります。
トレンドを確認する
- 21 指数移動平均線の上に位置していれば上昇トレンド
- 21 指数移動平均線の下に位置していれば下落トレンド
金(ゴールド)/ドルの月足・週足・日足チャートで、それぞれ長期・中期・短期のトレンドを確認しましょう。
○ 長期トレンド 月足 21 月指数移動平均線
21 月指数移動平均線の上に位置しているので、長期上昇トレンド
○ 中期トレンド 週足 21 週指数移動平均線
21 週指数移動平均線の上に位置しているので中期上昇トレンド
○ 短期トレンド 日足 21 日指数移動平均線
21 日指数移動平均線の上に位置しているので短期上昇トレンド
現在、月足・週足・日足のどれも 21 指数移動平均線の上に位置しているので、長期・中期・短期ともに上昇トレンドであることが分かります。
長い足は、短い足に影響を与えます。つまり、日足は、週足や月足の影響を受けるということです。
ということは、現在、長期・中期・短期すべてが上昇となっているので、ファンダメンタルを無視して 21 指数移動平均線だけで考えると、日足を見ながら 21 日指数移動平均線にぶつかったところで買いという戦略が考えられます。
また、例えば手法ごとに、下のように 21 指数移動平均線を使うこともできます。
このように、長期・中期・短期の期間の感覚は、人によって、また相場によって異なります。
5.フォーメーション
二番天井・二番底
相場には、フォーメーションという特有のパターンが現れることがあります。一番分かりやすく覚えておくといいのは、二番天井と二番底です。これは、為替よりも株や商品の方が現れる頻度が多いと思います。
★ 金(ゴールド)/ドル 日足チャート
上のチャートを見ると、天井をつけて下落する時に2回天井を打って下落、そして、底を打って上昇する時に2回底を打って上昇していることが分かります。ローソク足の髭の先になっている部分もありますが、いずれも天井を2回、底を2回、ほぼ同じ価格をつけています。
二番天井
相場は、一回天井をつけた後で急落し、再び天井をつけにいくことが多いものです。相場の一回目の天井近辺は、多くの人がまだ上昇すると判断しているポイントであり、一回目の天井から急落後も、再上昇を予測している人が多いです。
しかし、前回高値と同じ価格(一回目の天井の価格)では、前回高値を上抜けるかに皆が注目し、買いの利益確定をしたり新規売りを仕掛けたりする人が多いです。結局、前回高値を上抜けずに天井確定となり、二番天井をつけたと表現します。
二番底
下落の場合も、二番底を形成することが多いです。相場の底近辺は、多くの人がまだ下落すると判断しているポイントであり、一回目に反発上昇しても再下落を予測している人が多いです。
しかし、前回安値と同じ価格(最初の底の価格)では、前回安値を下抜けるかに皆が注目し、売りの利益確定をしたり新規買いを仕掛けたりする人が多いです。
下抜けできずに上昇すると、そこで底確定となり、二番底をつけたと表現します。これは、下落相場が反転する時、最初の底が本当の底かを試しにいって、再度反発したら、それは本物の底として判断されたという意味です。
ただし、二番底を打ったと思ったら、再度下落してまた同じ価格まで落ち、三番底をトライした時は、底割れして下落する可能性が高いです。なぜなら、二番底が否定され、まだ底ではないと判断されるからなのでしょう。
特に、為替相場では、三回目の底値をトライしてきた場合、三回目に下抜けすることが多いです。株の場合には、必ず二番底を確認してから買えという教えがあります。それは、不安定な上昇になる可能性が高いからです。
一方、為替相場の場合は、一回の底で反転上昇することも多いです。このような各相場の特徴を知っておくことは大切です。
6.ボリンジャーバンドの見方
★ 豪ドル/円 日足 ボリンジャーバンド
表示させているラインは、次のようになります。
+ 2 σ(赤色) ・ センターライン(黒色) ・ ー2 σ(青色)
+ 2 σとー2 σの間に、+ 1 σ(オレンジ色)とー1 σ(水色)を追加すると、下のようになりま す。
注目するポイント
(1)センターライン
ボリンジャーバンドのセンターラインの傾きは、トレンドの向きを示します。右肩上がりなので、日足は上昇トレンドであることが分かります。
(2)クビレ
紫色の矢印のポイントを見ると、ボリンジャーバンドが収束してから拡散していることが分かります。ボリンジャーバンドが収束している状態は、エネルギーがたまっている状態であり、今後上か下かに大きく動く前兆です。レンジ相場が続くと収束していきます。
ここでは、ボリンジャーバンドが収束の後、チャートが上昇し、ボリンジャーバンドが広がっていくことが分かります。
(3)ローソク足がどこのゾーンに位置しているか
現在の値が、どのバンドの間にあるかを見ます。
現在、+ 1 σと+ 2 σの間に、ローソク足が納まっています。+ 1 σがサポート、+ 2 σがレジスタンスになっていることが分かります。そのため、仕掛けポイントは+ 1 σで買いになります。
巡航速度が続くかどうかは、ボリンジャーバンドがこれから収束していくのかどうかと、ボリンジャーバンドのセンターラインの傾きで判断することになります。とりあえずは、「+ 1 σで押し目買い」「+ 2 σで利益確定」が機能しそうです。
以後の相場も、ボリンジャーバンドの動きから判断できます。
• 収束していくのであれば、レンジ相場に移行し、その後下落もしくは上昇
• 拡散していくのであれば、上昇加速
• 平行線であれば、巡航速度を保持
84 円や 85 円がレジスタンスラインとして意識されるポイントなので、このポイントに近づいた時に、ボリンジャーバンドが収束するかどうかに注目すると良いでしょう。
7.相場転換
下の3つのチャートを見てください。ドル/円が、レジスタンスラインの 78 円を越えて上昇してきましたが、ここからの動きは特に注目です。ドル/円の中期的な転換点である可能性が高くなってきているからです。
○ ドル/円 月足チャート (長期)
21 月指数移動平均線(紫色)
○ ドル/円 週足チャート (中期)
21 週指数移動平均線(紫色) + トレンドライン(赤色)
○ ドル/円 日足チャ-ト (短期)
21 日指数移動平均線(紫色)
ここで注目すべきは、以下の2点です。
(1)週足が下落から上昇に転じている
(2)週足の綺麗なトレンドライン(レジスタンスライン)を上抜けてきた
つまり、長期~短期トレンドの中で、週足が下落から上昇に転じたことになります。
なお、この長期・中期・短期とは、その時々の相場や通貨ペア・商品などで変化していきますが、現在の目安は以下の通りです。
(5分足などは、もっと短期的な取引になります)
短期で付いていくには、21 日指数移動平均線にぶつかったところが押し目と考えておけば良さそうです。
取引判断例
★ ユーロ/ドル 日足チャート
21 日指数移動平均線(紫色)
21 日指数移動平均線を割ったら、売りポジションを持つと良いことになります。
その場合、21 日指数移動平均線はレジスタンスラインになります。
★ 金(ゴールド)/ドル 日足チャート ボリンジャーバンド
金(ゴールド)はユーロに連動することが多いので、ユーロが不調になると金(ゴールド)は方向感が無くなる傾向があります。連動している相場がある場合には、両方を見ておくと良いでしょう。
現在、ボリンジャーバンドの中央線に位置しており、上昇と下落の分岐点に位置しているので、押し目買いか売り仕掛けのポイントです。
今のところは、センターライン(黒色の線)が上昇方向なので、押し目買いが有効なポイントだと判断できます。
★ 豪ドル/円 日足チャート ボリンジャーバンド
豪ドル/円は、+1σと+ 2 σの間に位置しており巡航速度で上昇中です。
84 円はレジスタンスラインで、上髭をつけた後 84 円まで戻されました。
基本的には強い相場(急角度の上昇)が続いているので、84 円を抜けていくだろうと判断できます。
このレジスタンスラインの攻防を見ておくことで、センチメントがどうなっているか、センチメントの変化を知ることができます。
こうした場合は、ボリンジャーバンドのクビレが発生するかに注目です。85 円の手前でもみあいが続くとクビレができ、飛び出すエネルギーを貯めていきます。
8.オシレーター系チャート分析
RSI
オシレーター系のチャート分析手法は、その相場が売られすぎか、買われすぎから売買タイミングを判断するものです。オシレーター系のチャート分析手法には、RSI やストキャスティクスがあります。強い上昇相場や下落相場の時に、どのように表示されるかを見てみましょう。
★ RSI ドル/円 日足
RSI では、30 を下回ったら買い、70 を上回ったら売りというのが目安とされていますが、既に 70 を越えて 80 になっています。
早い段階で 70 を越えているので、仮に 70 円を越えた時に売りポジションを持っていたら、ドル/円の 78 円台で売って既に 81 円を越えて踏み上げられていることになります。
過熱感を持った巡航速度が続くと、このように踏み上げられてしまいます。RSI ドル/円 30 分足を見ても、70 以上に張り付いている状態が続いています。
★ RSI ドル/円 30 分足
このように、RSI は過熱感を持ったまま巡航速度が上がる相場には、不向きであることが分かります。
ストキャスティクス
★ ストキャスティクス ドル/円 日足
ストキャスティクスは、灰色の線が紫色の線を上回ったら買い、下回ったら売りというシグナルなのですが、前のページの○部分を見ると分かるように、高い位置で売り買いのサインが連続していることが分かります。これでは、取引はやりにくいです。
これらから、オシレーター系のチャート分析手法だけ使って、売られすぎだから買い、買われすぎだから売りと単純に判断すると危険だということが分かります。
と言っても、オシレーター系のチャート分析が悪いというわけではなく、強い上昇(下落)トレンドが継続する時には、これらのチャート分析手法以外のものを使うなり、組み合わせるのが良いという意味です。組み合わせるとすると、トレンドフォロー型のチャート分析手法が良いわけですが、その一つに MACD があります。
9.MACD
強いトレンドに乗る場合には、トレンドフォロー型のチャート分析手法が良いでしょう。トレードフォロー型のチャート分析手法には、MACD(マックディー、もしくはエムエーシーディーと読む)があります。
★ MACD ドル/円 日足
現在、上昇している2本の線が交差する時(デッドクロス)が売りポイントと判断できます。今は2本の線は開いているので、売り場はまだ先だと分かります。
つまり、上のチャートのような強いトレンド相場の戦略は、トレンドが反転するまでついていく戦略が好ましく、トレンドフォロー型の MACD のようなチャート分析手法を使って、手仕舞いや売り仕掛けをするポイントを探るのが良いでしょう。