ノルド・ストリーム2問題
https://www.duh.de/projekte/geheimdeal-gegen-das-klima/
まず、昨年8月にドイツのショルツ財務相が、アメリカの当時のムニューシン財務長官に宛てたお手紙。
これは、アメリカはノルド・ストリーム2に反対しているのは知っているが、ドイツは10億ユーロを使って天然ガスのターミナルを作る。そこにアメリカからも天然ガスを輸入して貯蓄する。だから、ノルド・ストリーム2に対する反対を取り消して欲しい という嘆願書でした。
国民の血税 10億ユーロを、アメリカの反対を押さえ込むために使うとは何事か?ということがひとつ。
もう1つは、2月9日のシュタインマイアー独大統領の発言でした。
https://www.dw.com/en/germanys-steinmeier-angers-kyiv-with-his-comments-on-nord-stream-wwii/a-56515956
どういう発言かと言うと、「第2次世界大戦でドイツのナチが2000万人のロシア人を殺害した。ドイツはロシアに借りがあるんだ。」という内容。
これに真っ先に抗議を述べたのがウクライナでした。
もしノルド・ストリーム2がアメリカの反対により完成できなかった場合、ロシアは現在ドイツに輸出している原油とガスの供給を大幅削減するようで、ドイツではエネルギー危機が勃発するリスクがあります。
既にワクチンの遅れで国民は苛立っておりますが、もしこのような事態になり、ドイツでエネルギー危機が起き、電気が使えなくなれば(あり得ないでしょうが、一応、仮説として)今年の秋のドイツ国政選挙では伝統的2大政党のCDU/CSU党とSPD党から支持者が離れるなど、とんでもないことに成りかねません。
第三者の私から見れば、ドイツはアメリカについて読み間違えました。アメリカは(ガス代金として)お金が欲しいと思い、お金で釣ろうしましたが、アメリカが本当に望んでいるのは、ヨーロッパがロシアのエネルギー頼みにならないでくれ ということ。
私はエネルギーについて詳しくありませんが、メルケル首相が脱原発を決め、その後、化石燃料などに移行しており、これもロシア頼みなんですね。
もしここでエネルギー危機が起きてしまえば、政治だけでなく、独経済の頼みの綱である製造業の工場も電気不足や電気代の高騰などの被害をこうむります。
ある意味、ここからのドイツ経済そのものに問いかける問題になりそうなだけに、私はこのノルド・ストリーム2やドイツのエネルギー問題から目が離せません。