FXは儲かる?トレードで利益を得る仕組みや儲けるために必要なこと
今回のポイント!
- 経験を積めばFXで儲かることはそれほど難しくない
- FXで儲かる方法はキャピタルゲイン(売買差益)か、インカムゲイン(スワップポイント)
- 儲かるために必須なのは分析スキル、資金管理、自分に合ったトレードスタイルとFX会社の選び方
そもそもFXって本当に儲かるの?
「相場で継続的に利益を挙げている人の割合は1割程度しかいない」というのは、よく聞かれる意見です。しかし、金融先物取引業協会が個人投資家1,000名に実施した調査によると意外な事実が判明しました。2017年にFXで利益を出した人の割合は、全体の60.3%もいたのです。
しかし、年間利益の分布をみると少しがっかりするかもしれません。利益が20万円未満の割合が最も多く、全体の35.6%を占めています。100万円以上の人の割合は7.5%、50~100万円の人の割合は7.1%でした。利益目標を考えると、やはり狭き門だと感じる人もいるのではないでしょうか。
なお、調査対象は現在取引をしているアクティブなユーザーであること、回答者の半数近くがFX歴5年以上だったことは頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。要するにFXで「生き残った」人たちが回答者の多くを占めており、調査結果を楽観的に考えすぎるのは少し危険です。
※参考:外国為替証拠金取引の取引顧客における金融リテラシーに関する実態調査|金融先物取引業協会
FXの儲かる仕組みとは?
そもそも、なぜFXで儲けることができるのでしょうか。投資初心者にとっては投資スタイルを確立するためにも必要なので、基礎知識として知っておきましょう。
2種類の利益を得られる
FXで得られる利益は大きく分けるとキャピタルゲインとインカムゲインの2種類です。
キャピタルゲイン
キャピタルゲイン(capital gain)とは、為替変動(通貨ペアの価格変動)によって生じる利益のことです。買った価格よりも高く売ったり、売った価格よりも安く買い戻したりすることで得られます。仮に1ドル100円でドルを買い、1ドル110円で売れたとしましょう。この場合、10円のキャピタルゲインを得たことになります。
キャピタルゲインは売買の差益なので、FXに限らず、金(ゴールド)や株式、不動産、美術品などでも発生します。FX初心者の場合、ある通貨ペアを売って利益が出る(=価格が下がって利益が出る)ことに慣れていないかもしれません。資産価値自体が増えたわけではありませんが、価格変動によって生じる利益なので、これもキャピタルゲインです。
価格が上がっても下がっても儲かるチャンスがあるのは、現物株式などと違うFXの魅力のひとつといえるでしょう。
インカムゲイン
インカムゲイン(income gain)はある資産を保有していることで得られる利益です。銀行預金なら利息、株式なら配当金、不動産なら家賃収入です。FXの場合、「スワップポイント」がインカムゲインに相当します。スワップポイントとは2つの通貨の金利差調整分のことで、買った通貨より売った通貨の金利が高いと、スワップポイントを受け取れます。
キャピタルゲインと比較すれば、スワップポイントには安定的・継続的に利益が発生するメリットもあります。ただし、トルコリラを売って円を買うなどの売買を行うと、マイナススワップポイントとして金利を支払わなければならなくなるので注意しましょう。
レバレッジで利益を増やせる
レバレッジとは、元手資金の何倍もの金額で取引できる仕組みのことです。仮に10万円の資金で1ドル100円のときに取引する場合、レバレッジをかけなければ「10万÷100=1,000ドル」しかドルを買うことはできません。しかし、5倍のレバレッジをかければ5倍の金額で取引できるため5,000ドル、10倍のレバレッジなら10,000ドルのポジションが持てるようになります。
レバレッジは「てこの力」や「てこの原理」という意味の言葉です。まるで小さな力で大きな物を持ち上げるようなトレードができることから、この名称が付けられています。日本国内のFX会社では、法律上、最大25倍のレバレッジまでかけることが可能です。利益だけでなく損失額も大きくなるのでリスク管理は欠かせませんが、有効に活用すると資金を効率的に増やしやすくなります。
FXで儲けるために学ぶべきこと
ここでは、FXで儲けるために学ぶべきこととして、相場予測するための分析方法と資金を守るための資金管理を紹介します。
相場を予測するための分析方法
相場を予測するための分析方法には、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の2つの方法があります。
テクニカル分析
テクニカル分析とは、相場の先行きをチャート分析で予測する方法です。チャートは横軸に時間、縦軸に価格を取り、ローソク足やバーチャートを用いて表記します。しかし、これだけでは分析しにくいため、価格を平均化した移動平均線や、ある期間における買われすぎ・売られすぎを計算した指標などを活用するのが一般的です。個人投資家のなかには、複数の指標を組み合わせて分析する人もいます。
数多くの指標を全て理解する必要はありません。しかし、トレードを始める前には使いやすそうな指標を選び、基本的な指標の見方と使い方を学んでおくのがおすすめです。このリアルインテリジェンスのサイト内には、無料で学べるコンテンツが沢山ありますので、ぜひ過去の記事も読まれてみてください。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析とは 、 経済の基本である、海外の経済指標や金融政策、要人発言、選挙結果などをもとに相場を分析する方法です。たとえば、アメリカのGDP(国内総生産)が上昇すれば、経済が成長していると判断され、米ドルが上昇する要因となります。ファンダメンタルズ分析では、発表される指標の数字や、それに対する反応を予測します。つまり、一手、二手先を読んでポジションを取り、利益を上げるための分析方法といえるのです。
したがって、鮮度の高い情報を常に入手する必要があります。新聞やニュースなどは代表的なソースのひとつです。ただし、それらを分析・解釈して相場関係者がどう動くかまで予測しなければならないので、多くの個人投資家にとっては、テクニカル分析よりも難易度が高い面があります。初心者の場合は、専門家によって分析されたレポートやメールマガジンを購読するのもひとつの方法です。
損失拡大を防ぐための資金管理方法
FXでは利益を増やすのと同じくらい損失を増やさないことが大事です。「1回あたりの取引金額」「許容できる最大損失額」「どれぐらいレバレッジをかけるのか」などの資金管理のルールを決めておくと、損失を限定できます。
資金管理は売買ルールや売買ポイントにも大きな影響を与えます。場合によっては、長期運用や短期運用など投資スタイルを変更しなければなりません。全ての投資行動の柱になるものなので、必ず事前に資金管理方法を決めておきましょう。
自分に合ったトレードスタイルを見つけるには?
FXで儲けるには、自分に合ったトレードスタイルを見つけることが重要です。まず4つのトレードスタイルを解説し、次にトレードできる時間帯と自分の性格に合ったスタイルの見つけ方を紹介します。
FXのトレードスタイルとは
FXには主に以下の4つのトレードスタイルがあります。
取引できる時間がどのくらいあるか
無理なく取引を続けられる投資スタイルを選ぶことは重要です。FXに費やせる時間がどれぐらいあるのか明確にしておきましょう。
チャートで価格や値動きを監視する時間が十分に取れない人は、比較的保有期間が長いスイングトレードや、長期投資のポジショントレードが向いています。これらのスタイルは1日1回程度、スマホなどでチャートをチェックする程度で十分です。数カ月以上のポジショントレードなら1週間に1回程度でも問題ありません。
FX会社には「この価格になったら新規で買う(売る)」「この価格を上回ったら(下回ったら)返済する」などの自動注文機能があります。事前に注文を出しておけるので、通貨ペアを監視している必要はありません。 また株と違って注文に有効期限はないので、ずっと置いておけます。
一方、1日に何度もチャートを見る時間がある場合や、仕事が終わった後の夜間はチャートをずっと監視できる場合は、スキャルピングやデイトレードというスタイルも選べます。短期で売買を繰り返せるので、いわゆる「回転を効かせる」ことができ、資金増加を早くできる場合もあります。
自分の性格に合っているかどうか
自分の性格と投資スタイルが合っているかも大事です。投資初心者の場合は、ストレスや日常生活への影響も考慮しながら投資スタイルを決めていきましょう。
スキャルピングやデイトレードは短時間で判断しなければならないため、集中力や決断力がある人が向いています。「監視時間が長いと退屈」「トレード自体が好き」「トレードに慣れたい」という人にも適しています。一方、熱くなりやすい人やパニックになりやすい人には向いていません。
スイングトレードやポジショントレードは、冷静に相場を分析して慎重にトレードできる人に向いています。決断までに時間的余裕もあるので、冷静に取引できないと悩んでいる人にもおすすめです。
一方、保有期間が長いため、少しの値動きに動じず、当初の計画どおりに利益確定・損切りをできる計画性や意志の強さが求められます。また、「常にスマホで価格をチェックしてしまう」「土日が落ち着いて過ごせない」という人にも向きません。
FXで儲からない原因とは?
FXを始めてみたものの儲からないという人もいるでしょう。ここでは、投資初心者にありがちなFXで儲からない原因を紹介します。
分析をしていない
FXで利益を出すには、相場分析して根拠を持ってトレードする必要があります。思いつきや勢いでトレードを繰り返してしまうと、あっという間に資金が底をついてしまうでしょう。FXをギャンブルのように考えるのではなく、しっかり分析したうえでトレードすることが大切です。
もし、ファンダメンタルズ分析をメインにしており、自分の「相場観(勘)」に頼った主観的な売買が多いなら、テクニカル分析も活用してみてはどうでしょうか。テクニカル分析はチャートで売買ポイントを検証 できるので、後から改善点を見つけやすいです。また、テクニカル分析でいい加減なトレードが多い場合は、売買のルール作りができていない可能性があります。
気持ちのコントロールができない
「儲けたい」「損したくない」という思いが強すぎるあまり、冷静なトレードができない人も注意が必要です。着実に利益を積み重ねていても大きな賭けに出てしまい資金を失ってしまったり、 利益を小さく損切りを大きくしてしまう、いわゆる「コツコツドカン」タイプの人はたくさんいます。
また、ポジションを持っていないと落ち着かなくなったり、負けを取り返したいと思ったりして、根拠のないエントリーをしてしまう人もいます。これは俗に「ポジポジ病」と呼ばれており、特に資金管理や売買ルールが確立していない人が陥りやすい心理状態です。
ビジネスでは儲けたいという気持ちがプラスに働く場面が多いかもしれませんが、相場の場合、マイナスに働くことが多いといえます。
リスクコントロールをしていない
FXで資金を大幅に失ってしまう人は、リスクコントロールをできていないのが原因のひとつです。資金を守るためには、自分で資金管理や売買のルールを決める必要があります。
資金管理においては「1トレードの損失は資金の2%まで」とか、「1トレードの取引量が資金の10%以内にする」などのシンプルなルールが有効です。ここでの資金は原則としてFX会社にある口座資金に限定しましょう。貯金や次のボーナスなど 今後投入予定の資金も含めると資金管理に甘さが出てしまい、損切り幅やレバレッジの倍率などのリスクコントロールができなくなってしまいます。
また、利益確定や損切ポイントのルールをしっかり決めておくのもリスクコントロールのひとつです。あらかじめ損切のpipsが決まっていれば、資金管理のルールを守れる損失額かどうかがわかります。また、資金管理のルールを満たすように通貨量やレバレッジを調整できます。
初心者がFX会社を選ぶ際のポイント
実際にFXを始める際は、FX会社に口座を開設する必要があります。ここでは、FX会社選びのポイントを4つ紹介します。
サービスや取引ツールの使いやすさ
初心者の場合、サービスや取引ツールの使いやすさを重視して選ぶのがポイントです。使いにくい取引ツールでは、チャート設定の段階でストレスを感じてしまうでしょう。また、間違って注文を出してしまうと実害が出かねません。
初心者の場合、多機能であるよりは、画面が見やすく直感的に操作できるものがおすすめです。できれば、デモトレードのサービスを提供している業者を選びましょう。実際のお金を使うことなく、チャート設定や注文の使い勝手を確認できるので安心です。
FX会社の教育コンテンツも充実してきました。FX会社によっては、無料のオンライン動画セミナーや問題形式で学べる基礎講座、専門家による相場レポートなどが用意されています。追加料金が発生することは少ないので、初心者であるほどメリットが大きいのです。
困ったときのサポートサービスも、FX会社を選ぶ際のポイントです。FXでは24時間取引可能なので、サポート時間や電話対応の有無などをチェックしておきましょう。
最小取引単位
始めてトレードする場合は、少額から始めたい人も多いのではないでしょうか。最小取引単位はFX会社によって異なるため、口座開設前に確認が必要です。1通貨からトレードできる会社もありますが、ほとんどの会社では1,000通貨や1万通貨からとなっています。
1,000通貨の取引に必要な証拠金は、どれぐらいのお金が必要なのでしょうか。価格によって変動しますが、主要な通貨ペアの必要証拠金をおおまかに紹介すると以下のとおりです(2020年8月時点)。なお、レバレッジをかけるほど必要証拠金は少なくなりますが、初心者の場合、3倍ぐらいから始めたほうが無難です。
手数料・スプレッド
FX会社では通常、[a22] 取引手数料を無料にしています。ただし、売値と買値の差である「スプレッド」が実質上の取引手数料です。このスプレッドはFX会社によって異なるため、なるべくスプレッドを狭く設定している会社を選ぶのがおすすめです。特にスキャルピングやデイトレードでは、利益の値幅に対してスプレッドの割合が大きく、取引回数も多いため、儲かる金額に大きな差が出ます。
また、長期運用でスワップポイントを狙う場合には、スワップポイントも調べておきます。各社で条件のよい通貨ペアが違うため、差が出やすいマイナーな通貨ペアは、比較検討することが重要です。
自動売買サービス
FX会社によっては、あらかじめ設定したルールに従って自動的に売買ができる「自動売買サービス」を提供しています。「システムトレード」と呼ぶのも一般的です。自分でカスタマイズするタイプや用意されているプログラムを選択するタイプ、売買を一任するタイプなどさまざまなサービスがあります。
いずれにしても、基本的には人間のように複雑な判断はできず、シンプルなロジックに従って売買されると考えておきましょう。AIを活用した自動売買サービスも提供されていますが、まだ主流ではありません。
自動売買サービスを利用するメリットは、自分でトレードする手間や時間がかからないことと、ルールどおりに売買してくれることです。一方、相場環境と自動売買のロジックが合わない場合に成績が悪くなるリスクがあることや、ブラックボックスの部分に不信感を持ちやすいことなどがデメリットです。
FXが儲かるかどうかはトレーダーしだい!
FXが儲かるかどうかは、実際に始めてみなければわかりません。優秀なトレーダーの多くは実際のトレードで試行錯誤しながら、儲かる売買ルールや資金管理の方法を確立しています。とはいえ、余計な失敗はやはり避けるべきです。
トレードを始める際には、自分が取り組みやすいトレードスタイルを決め、資金管理やリスクコントロールをしっかり学びましょう。これらはどれも大切な資金を守るために欠かせない要素です。まずはディフェンスをしっかり固めてから、儲かるスキルを身に付けていくことをおすすめします。