FXにおける大衆心理とは?トレードに勝つために知っておきたい投資家の心理
今回のポイント!
- FXトレードにおける大衆心理とは?チャートに与える影響について
- 大衆心理を理解するためのヒントを4つのポイントで紹介
- 大衆心理をトレードに活かすためのコツとは?機関投資家の動きにも注意が必要
FXにおける大衆心理とはどのようなものなのか?
そもそも、大衆心理とは一体どういうものなのでしょうか。まずは大衆心理の概念を理解した上で、FXトレードではどのように大衆心理が影響するのかを見てみましょう。
大衆心理とは
人は集団の中にいると、自分の判断よりも周りの雰囲気や意見、行動に合わせた行動をついとってしまいます。これを大衆心理と言います。いわゆる「みんながやっているからやる」「みんながそう言っているからそうだろう」のような心理のことです。
大衆の意見や行動が合理的でロジカルな判断に基づいていれば問題ありませんが、そうでない場合も往々にしてあります。大衆心理が働くと思考力が低下して、自分自身の合理的、論理的な判断よりも周りに流されて、集団が一方向に進む傾向があります。
特に、日本人は和や協調性が美徳とされる文化的な背景も伴って、大衆心理に影響を受けやすいとも言われています。
FXチャートにも影響する大衆心理
基本的に為替相場は各国の経済状況や金融政策などから各通貨の強弱が判断され、価格が変動します。しかし、為替相場を動かす要因は、このような合理的な理由だけではありません。もちろん投資家の心理も相場を動かす大きな要素です。
例えば、パニックによる相場の暴落などはその典型です。パニック時は適正な状態とは全くかけ離れていたとしても、行き過ぎた動きが加速していきます。
大衆心理がチャートに反映されるのは、何もパニックの時だけではありません。ちょっとしたポイントでも大衆心理は働きます。例えば、この価格は超えないだろうと多くの人が予想するポイントがあるとしましょう。もし予想に反してその価格を超えてしまったら、ポジションを持っている人は焦って、一斉に急いでポジションを損切りします。こんな時も大衆心理によりチャートが急激に変動するのです。
このように為替相場では、常に大衆心理が大なり小なり、何らかの影響をチャートに与えています。
FXにおいて大衆心理を理解する重要性
FXトレードでは、大衆心理とどのように付き合えばいいのでしょうか。まず一歩目は大衆心理を理解することから始めましょう。大衆心理が間違っていたのか、正しかったのかは結果が出るまでわかりません。正しいか間違っているかを判断するよりは、相場のムードを俯瞰するくらいの気持ちで見てみるといいでしょう。
相場には「人の行く裏に道あり花の山」という言葉もあるように、大衆心理とあえて逆の行動をとることで大きく利益を出せる場合もあります。大衆がトレンドだと思い始めたころには、熟練した投資家は逆にポジションをクローズしはじめる、ということも実際によく聞かれる話です。
FXトレードでは約9割の人が負けているという事実があります。大衆心理と同調してばかりでは勝てないこともわかります。大衆心理を意識できるようになれば、より優位性の高いトレードに一歩近づくことは明らかでしょう。
大衆心理を理解するための考え方
ここでは具体的にどんな場面で、どんな心理が大衆に働きやすいかを見ていきましょう。ここで紹介する一つひとつは個人に働く理論ですが、多くの人が本能的にこのように行動しやすいことで、結果として大衆心理を形成しやすくなるので、参考にしてみてください。
損しないことを重要視する
プロスペクト理論とは行動経済学の理論です。プロスペクト理論によると同じ期待値でも「人は目の前の利益がなくなることを恐れて確実に手に入れようとするが、損失を目の前にすると損失を避けようとしてしまう」という行動パターンをとります。プロスペクト理論は人間の一般的な意思決定のパターンを解き明かしたものですが、トレードにもその理論がぴったりと当てはまります。
前回の高値や安値で価格が反転しやすいのは、利益を確実に手に入れたい人々がそこで利益確定してしまうためです。これがチャート上に現れるといつも同じ場所で価格が反転する抵抗線になり、より大衆に意識されるようになります。損切りも同じで、先延ばしにしていた損切りに徐々に耐えられなくなり、多くの人がポジションを投げ始めると、一気に価格が反転します。
自分の行動を正当化してしまう
認知的不協和理論とは自分の行動と考えが一致しない時に、考えの方をゆがめて行動と一致させ正当化してしまう傾向を指します。
トレードをしていて、持っているポジションが明らかに損失を出しているのにもかかわらず、希望をもてるようなニュースだけを集めてきて自分を納得させる、という経験はありませんか?これがまさに認知的不協和が働いている状態です。
多くの人はこのような心理状態に陥り、ポジションを塩漬けしてしまいますが、これを続けていては負け組に入ってしまいます。冷静に自分の間違いを認められるだけでも、勝ち組に一歩近づくことができます。
最初に提示された情報に影響されやすい
人には最初に見せられた数字や情報を基準にして、無意識に比較してしまう習性があります。これはアンカリング効果と呼ばれるもので、トレードにも影響があります。
例えば、相場が急に下がってきたときに値ごろ感があると思って、思わず買ってしまいたくなるのは、このアンカリング効果によるものです。実際には下げがどこまでいくかわからないのにも関わらず、値ごろ感を感じてしまうのが怖いところです。
他にも相場には安値覚え、高値覚えという言葉もあり、意識されやすい価格では多くの人がアンカリングを発動させて、大衆心理が働きやすくなります。
自分の経験にもとづいた判断をしやすい
トレードでは深く考えているつもりでも、無意識的に直感や経験に基づいた判断をしやすい傾向があります。この傾向はヒューリスティックや直感的推論と呼ばれるもので、時に集団の心理にも影響を与えることがあるのです。
例えば、指標発表の時に数回連続で価格が上昇したとしましょう。そうすると、人は「指標発表の時は価格が上がるものだ」と先入観で判断してしまう傾向があります。
ほかにも、トレードではキリ番とよばれる「0」のつく価格が意識されることがあります。これも直観的に扱いやすい数字であるために、多くの人が利益確定や損切りポイントに設定してしまうからです。
トレードでは自分がこのような非合理的な判断をしていないかを冷静に考えるとともに、他の人がやってしまいそうな判断を想定しておくのもポイントになります。
大衆心理を把握したうえでトレードに勝つコツ
大衆心理を理解した上で、トレードに勝てるようになるためには、市場参加者のいろいろな思惑を冷静に俯瞰し、対応することです。そのために必要なコツを紹介していきます。
予想とは反対に動くことを想定する
チャートでわかりやすいエントリーポイントがあって、売買サインが出たとしても、それはもしかしたら多くの人が注目しているポイントかもしれません。
このようなポイントは大衆心理を逆手に取る動きをする人にとっては、絶好の仕掛け場所になる場合があります。実際に、ロンドン市場がオープンする時間帯は大衆心理を逆手にとった動きがよく見られます。
大衆心理を理解すると同時に、それを逆に利用しようとする人たちがいるのを冷静に観察し、予想とは反対に動くことを常に想定してトレードするようにしましょう。そのためにはエントリー時には焦らず、冷静に動きを確認し、思惑と逆の方向に行ったときは損切りも必要です。
相場では予想よりも対応力が求められます。常にあらゆる事態を想定してトレードするようにしましょう。
メンタルコントロールをする
上でも紹介した通り、大衆心理は人間が陥りやすい心理パターンが集合化して形成されるものです。自分もその渦中に飲み込まれてしまうと、同じような行動をとってしまいます。そうならないために必要なのが、メンタルコントロールです。
メンタルコントロールというと難しく聞こえますが、ポイントは冷静にトレードできる状態や環境を作ることと考えるといいでしょう。例えば、以下のような方法があります。
- トレードする前にきちん戦略を立てる
- 予想とは違う方向に行くことも受け入れる
- 負けてイライラしていたらトレードをしない
- 戦略が立てにくい時はトレードを休む
感情的になると自分がまさに大衆心理を形成する一人になってしまいます。大衆心理を俯瞰できる側に立つためには、まず自分のメンタルコントロールから始めましょう。
徹底したリスク管理をする
メンタルコントロールの土台となるのがリスク管理です。リスク管理をしっかりしていると、さらに安定した精神状態でトレードできるようになり、規律も守りやすくなります。
当たり前ですが、FXトレードでは全戦全勝はできません。常に負けを想定して、一度のトレードで大きなダメージを受けないようにしておく必要があります。これがリスク管理と言われるものです。
まずは、一回のトレードで許容できる損失額をあらかじめ決めることから始めましょう。損失額を決めたら、トレードの時には逆指値注文、IFD注文 、OCO注文などを使って確実に損切りを執行しましょう。
リスクを適切にコントロールすることは自分の身を守ることです。この感覚が得られればより一回一回のトレードに冷静に向き合えるようになるでしょう。
大衆心理を利用した機関投資家の操作に注意!
大衆心理を語る上で、避けて通ることができないのが機関投資家の存在です。機関投資家とはヘッジファンドや銀行や生命保険会社などの金融機関の大口の投資家を指します。
個人投資家と違い、機関投資家は巨大な資金力を背景に相場を動かすことも可能です。そのため、機関投資家が巧みに大衆心理の裏を突くような売買を仕掛けてくることがあります。
例えば、皆が「このラインをブレイクしたらトレンドが発生する」と注目しているポイントがあるとします。機関投資家はポイントをブレイクさせるために大量に売買し、皆が乗ってきたところで、すかさず反対売買をして自分たちの利益は確保する、といったトレードもやってのけます。こういった場合、ブレイクは結局だましとなります。
機関投資家の動きを予想することは困難ですが、機関投資家が大衆心理を利用することもあるという事実を知っておくことはトレードにおいて非常に重要です。だましになるか、ならないかは結果でしかわかりませんので、必ず損切り注文を入れてトレードするようにしましょう。
FXトレードに大衆心理をうまく活用しよう!
大衆心理は誰もが取ってしまいがちな、いわば本能的なパターンです。意識しなければ自分も大衆側の心理パターンや行動パターンに陥ってしまいます。逆に、大衆心理のメカニズムを理解すれば、その中に無意識に巻き込まれるのではなく、一歩離れた距離から冷静に観察できます。柔軟な対応力を身につけ、優位性のあるトレードに活かしていきましょう。