ロンドンフィクシングとは何?トレードにどう活かすのか?
香港上海銀行(HSBC)でチーフディーラーを務めた経験からの、相場をみるうえで重要なファンダメンタルズの知識を解説!
相場の世界でプロと一緒の土俵で取引をするには、やはり相場の知識が必要です。香港上海銀行( HSBC)で10年以上に渡りチーフディーラーを務め、プロも教育をしてきた筆者が、相場の知識をひとつひとつ解説していきます。
ロンドンフィクシング(ロンドンフィキシング)とは?
ロンドンフィクシングの正式名称は、WMR(Wolrd Markets Reuters )フィクシングといい、この会社よりロンドンフィクシングの正式な仲値が、大手金融機関などに発表されています。
日本語だと、通称「ロンドン午後4時の仲値」といいます。
東京の午前9時55分の仲値は、「対顧客電信相場」と呼ばれますように、実需や内外の大手銀行の本支店向けの決済に用いられるものですので、ロンドンフィクシングと本質的に異なります。
仲値(値決め)が注目を集める理由
過去をさかのぼると、1990年3月最終営業日に途上国向け債権の一括償却が持ち込まれて、東京仲値の直前5分だけでドル円が3円急上昇するという事態がありました。
仲値が注目されるのは、直前に需給バランスが大きく傾くという背景からです。
この1990年3月最終営業日の時も、直前に3円上昇したものの、需給バランスが均衡した途端、大口の売りを浴び、3円急落して再び元の価格に戻っています。
このような動きがあることから、仲値が注目を集めるわけですが、ロンドンフィクシングは、月末に日本と米国、欧州と米国など、地域間の格差を埋めるために大口の売買が持ち込まれます。
そこに持ち込まれるのは、グローバルの機関投資家のリバランス、つまり資金を移動するという流れから行われています。
ロンドンフィクシングはほぼ月末の2営業日だけ
一番重要なことは、ロンドンフィクシングで世界の機関投資家から大口の売買が持ち込まれるのは、ほぼ月末の2営業日だけということです。
つまり、リバランスは毎日は発生しないということです。
「今日はロンドンフィクシングで、こういうふうに動いた。」と発言している人を見かけますが、それは別の資金フローによるものであって、ロンドンフィクシングによる資金フローではないと思います。
また、月末以外でロンドンフィクシングが使われることは、ほとんどありません。
トレードにどう活かすのか?
ロンドンフィクシングを為替(FX)トレードにどう活かすのかご説明します。
月初から米株が特に大きく上昇した場合・・・
これは、米ドル建ての米株の時価総額が大きく上昇しているということです。これをリバランスするためには、米ドルを売って、他の地域を買ってあげなければなりません。
イメージとしては、全体を平らにするイメージですから、為替市場では、ロンドンフィクシングにかけて、米ドル売りが持ち込まれる可能性が高くなります。
月初から欧州株だけが特に大きく上昇した場合・・・
これは、米ドル建ての米株の時価総額が伸び悩んでいるということです。
伸び悩んだ分を埋めなければなりませんので、為替市場では米ドル買い/ユーロ売りが持ち込まれる可能性が高くなります。
月初から、株は動かず、米ドル/円が大きく売られた場合・・・
米ドル建ての米株の時価総額が減少しているということです。
減少した時価総額を戻してあげないといけませんので、為替市場では米ドル買い円売りが持ち込まれる可能性が高くなります。
ロンドンフィクシングの動きを予想したポジション戦略
こうした月初からの動きをみると、ロンドンフィクシングに向けて出てくる資金フローがある程度予想できます。
動きそうな方向に直前にポジションを取る、あるいは伸び切ったところで逆張り的にポジションを取るという活かし方ができます。
特に月末の2営業日は、ぜひ、ロンドンフィクシングの動きに注目してみてください。
特に株式市場や為替市場で大きな変動がその月に起きた場合、持ち込まれるリバランスの資金フローもそれだけ大きくなるはずです。
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