FXではトレンド判断が重要!初心者はトレンドに乗って利益を積み重ねよう
今回のポイント
- FX初心者におすすめの手法はトレンドフォロー
- トレンドに乗る方法は押し目買い・戻り売り、ブレイクアウト、転換の3つ
- トレンドを判断する方法と得意のテクニカル指標を身に付けよう
FXのチャートの動きにはトレンドがある
為替チャートを見ていると、右肩上がりまたは右肩下がりに一方向に動いていることがあります。このような動きをトレンドといいます。トレンドが発生しているときはエントリーのチャンスです。トレンド方向には追い風が吹いているので、その方向に仕掛ければ、少しタイミングを間違ったとしても、やがて含み益が出やすいからです。
当たり前のことですが、トレンドに乗るためには、トレンドが発生しているかどうかを見極めなければなりません。また、ある程度早くトレンド発生を察知することも重要です。誰もがトレンドだとわかるころは、上級者たちの利益確定の場所なので、天井・底になってしまう可能性が高まるからです。
相場の流れには主に3つの種類がある
相場状況は主に「上昇トレンド」「下降トレンド」「レンジ相場」の3つに分類できます。
上昇トレンド
上昇トレンドとは、高値と安値を繰り返しながらも上昇を続けている状態のことをいいます。上昇トレンドのときは価格が上がり続けているため、買いに徹するのが基本です。しかし、上がり続けている最中を買うのはリスクが高い場合が多いので気を付けましょう。
安定して利益を上げやすいのは、価格が一時的に下がった「押し目」を買うことです。押し目の候補は、前回の安値より上の支持帯(サポート)です。それより下がってしまうと上昇トレンドではなくなるので、買いは中止し、レンジ相場や下降トレンド転換への移行を警戒します。
下降トレンド
下落トレンドとは、高値と安値を切り下げながら価格が下降している状態です。上昇トレンドと同じく下降トレンドの場合も、一定期間、価格が下がり続ける傾向があるため、基本的に売りエントリーに絞りましょう。下落トレンドの場合は、一時的に価格が上昇するものの直近高値を超えることなく下落を再開するところが売りチャンスです。
FXでは株式の「空売り」にあたる、売りポジションを保有する「ショート」が可能なので、下降トレンドでも利益を狙えます。ただし、金利が世界最低水準の円の場合、円絡みの外貨を売ると大抵の場合、マイナススワップポイントという金利差を毎日支払うことになります。長期運用の場合は、バカにならない金額になることもあるので気を付けましょう。
レンジ相場(保ち合い)
レンジ相場とは、価格が一定の範囲で上昇したり下降したりしている状態のことをいいます。「高値切り上げ・安値切り下げ」「高値切り下げ・安値切り上げ」など、上昇・下降トレンドのいずれも満たさない状態になることが多い状態です。
仮に上昇トレンドが確定しても、その時点でレンジ上限に達していることが多く、押し目買いをしても損失になることが多いのが特徴です。そのため、相場が横ばいになってきたら、中長期的な視点で常にレンジを形成していないかチェックする習慣を付けましょう。
レンジ相場の場合、レンジ上下限から内側に戻る動きを狙う戦術が有効です。しかし、この反転の動きは早いことが多いうえ、獲れる値幅も少ないことから、的確にエントリーして利益確定しなければなりません。ですので、FX初心者は無理して狙わなくてもよいでしょう。レンジブレイクでトレンド相場になったあと、押し目を待ってエントリーするのが基本です。
トレンドの流れに乗ってトレードしよう!
ここでは、トレンドフォローとは何か、トレンドフォローのメリット・デメリットを解説します。
トレンドフォローとは
トレンドフォローとは、トレンドの流れに沿ってトレードする売買手法のことです。日本の相場用語では「順張り」と呼ばれています。ちなみに、トレンドフォローの反対はカウンタートレード(「逆張り」)です。
トレンドフォローは特に難しい手法ではありません。チャートが右肩上がりなら買い、右肩下がりなら売りということです。とはいえ、トレーダーたるもの、できるだけトレンドの初動に乗りたいものです。そのため、テクニカル指標やファンダメンタルズ分析を使って、トレンド発生を予測してエントリーしているトレーダーもたくさんいます。こうした人たちもトレンド方向にエントリーしようとすることは同じなので、広い意味ではトレンドフォロワーといえます。
トレンドフォローのメリット
トレンドフォローをする大きなメリットのひとつは、利益を伸ばしやすいことです。チャートを見ていると忘れがちですが、FXをしているのはマーケットという抽象的な存在ではなく、血と肉の通った相場参加者たちです。いったん流れや場の空気ができると、一定時間それが継続するのは、スポーツの試合や対人関係などとあまり変わりません。
特に主要な支持帯・抵抗帯を突破した後は、誰が見ても流れが明らかなので、逆張りトレーダーも少なくスイスイ価格が動くことも少なくありません。これは、至る所に支持・抵抗が待ち構え、都度反発がある逆張りトレードとの大きな違いです。
トレード時期を限定できるのもメリットです。相場はレンジ相場が7割以上なので、ほとんどの時間が待ち時間です。何度もトレードする必要がないため、忙しいビジネスパーソンでもメリハリがつけやすい面があります。また、スプレッドによるコストも抑えられます。
トレンドフォローのデメリット
エントリーを絞り込めるということは、逆にいえば退屈ということでもあります。相場の7~8割はレンジ相場なので、トレンドフォローだけでは売買チャンスが少ないと感じる人もいるでしょう。レンジブレイク・トレンド発生をひたすら待つため、トレンドフォローで稼ぐには忍耐強いことが欠かせません。
ただ、通貨ペアを選べるFXではトレンドが発生しているチャートを選ぶ方法もあります。また、ある程度技術が上がれば、時間軸を落とすことも可能です。たとえば、4時間足レベルのレンジ相場なら、その上限・下限に移動中、5分足や15分足レベルではトレンド相場になります。ですので、あまり手法を変えずにトレンドフォローでエントリーできるでしょう。
トレンドに乗ってエントリーするタイミング
トレンドが発生しているからといって、いつでも飛び乗りしてよいわけではありません。ここでは、トレンドに乗りやすいエントリータイミングについて解説します。
押し目買い・戻り売り
トレンドフォローの基本は、短期的にトレンドに逆行する調整の動きが生じた後、押し目買いや戻り売りを付けるのを待ってからエントリーすることです。調整の動きによって、上昇トレンドなら直近の安値、下降トレンドなら直近の高値を超えない場合、トレンドが再開される可能性が高いからです。
押し目買いとは、上昇トレンドのときに一時的に価格が下がったタイミングで買いエントリーすることです。戻り売りとは、下降トレンドのときに一時的に価格が上がったタイミングで売りエントリーすることです。
一概にはいえませんが、通常、トレンド波動(上昇トレンドなら直近の安値から高値まで)に対して、3分の1~3分の2ぐらい調整した価格が押し目買い・戻り売りの候補です。これ以下では調整が不十分で、これ以上だと調整が深すぎてトレンド継続が疑わしいからです。非常に単純ですが、半値(2分の1)もよく機能するのでチェックしておきましょう。
トレンドの転換点
トレンドの転換点とは、継続していたトレンドが逆の方向へ向かうタイミングのことです。上昇トレンドから下降トレンドへ、下降トレンドから上昇トレンドへ変わるポイントのことです。FXでは買いも売りもできるので、積極的なトレーダーなら保有していたポジションを決済するだけでなく、逆方向へ新たなエントリーをする(※「ドテン」と呼びます)こともできます。
特に、トレンド転換が発生したチャートより長期の時間軸のトレンドと同じなら積極的にドテンエントリーできるポイントといえます。逆に、長期の時間軸のトレンドの逆なら、新たなエントリーは慎重にすべき局面です。なぜなら、新たに発生したトレンドは長期的にみれば単なる調整であり、トレンドが長続きせず、逆襲に遭うリスクが高いからです。または、短期派と長期派で意見が分かれ、レンジ相場に移行する可能性が高い局面といえます。
ブレイクアウトが発生したとき
ブレイクアウトとは、相場の重要なラインを抜けて、抜けた方向に大きく動くことをいいます。長いレンジ相場の後にブレイクアウトが発生すると、ブレイクした方向にトレンドが発生することが多いのが特徴です。つまり、ブレイクアウトエントリーとは、トレンド発生直後のタイミングでエントリーする方法です。
ただし、ブレイクした方向の逆に動く「だまし」も発生しやすいため、気を付ける必要があります。トレンドが継続しやすいのと同じく、レンジも継続しやすいのです。そのため、ブレイクアウトを確認した後、最初の押し目・戻り目を待って抜けた方向にエントリーするほうが安全です。基本的にブレイクアウトは勝率が低いので、ここぞというときだけ使う攻撃的な手法と考えておきましょう。
トレンドの発生を判断するための方法とは?
ここでは、トレンド発生を判断するために使われている代表的な方法を紹介します。
トレンドライン
トレンドラインは、高値切り上げ・安値切り上げの上昇トレンドにおいて、安値同士を結んで引くことができる線です。高値切り下げ・安値切り下げの下降トレンドにおいては高値同士を結んで引けます。このとき、トレンドラインの傾きが急なほど強いトレンドで、横ばいに近いほど弱いトレンドです。
トレンド判定を抜きにして、単純に目立つ高値同士、安値同士を結ぶことにも意味があります。なぜなら、高値同士を結んだ線はレジスタンスライン(抵抗線)、安値同士を結んだ線はサポートライン(支持線)として機能しやすいからです。
レンジ相場の場合は、サポートラインとレジスタンスラインが横ばいとなり、これらの間を上下することになります。そして、何度も行ったり来たりしているうちに、多くの参加者が注目するラインになり、そこをブレイクアウトするとトレンド発生につながることが多いのです。
移動平均線
移動平均線とは、一定期間の価格(終値)の平均値をプロットするテクニカル指標です。一般的には、ある期間の終値を足して割っただけの単純移動平均線(SMA)が使われます。しかし、直近の終値に重みを付けた加重移動平均線(WMA)や指数平滑移動平均線(EMA)を愛用する人もいます。
いずれの平均線を使う場合も、基本的な見方は以下のようにシンプルです。
- 上昇トレンド発生中は、移動平均線が上向き。価格は移動平均線よりも上にある。
- 下降トレンド発生中は、移動平均線は下向き。価格は移動平均線よりも下にある。
トレーダーのなかには、短期と長期の2本の移動平均を使い、方向が揃ったときだけトレンド発生とする人もいます。また、トレンド発生のタイミングを短期と長期のクロス(ゴールデンクロス・デットクロス)で判断する方法も一般的です。
ダウ理論
ダウ理論では、為替変動に影響する要因はすべてチャートに現れると仮定して相場を分析します。このダウ理論のなかのひとつに「一度トレンドが発生すると、明確な転換のシグナルが出るまでは継続する」という法則があります。
つまり、上昇トレンドにおいては「高値切り上げ・安値切り上げ」が維持されている間は、どんな動きをしていても上昇トレンド継続です。また、下落トレンドにおいては「高値切り下げ・安値切り下げ」である限り下降トレンド継続とします。
トレンド発生のタイミングは、直近の高値や安値を更新して、上記のトレンドの条件を満たしたときです。ただ、このタイミングで即エントリーするかどうかは状況次第です。トレンド発生確定後の押し目・戻り目を待っても遅くはありません。
トレンドフォローに活用したいテクニカル分析
ここではトレンドフォローに活用できるテクニカル分析を3つ紹介します。
MACD(マックディー)
MACD(マックディー)は「Moving Average Convergence/Divergence」の略で「移動平均の収束・拡散」のテクニカルといった意味です。MACDでは単純移動平均線(SMA)の反応速度を速めノイズを減らした 指数平滑移動平均線(EMA)を用います。そして、「MACD=短期EMA―長期EMA」の計算によって収束と拡散、つまりレンジ相場(調整)からトレンドという動きを捉えようとします。
MACDが優れているのは「シグナル=MACDの単純移動平均(SMA)」というMACDの長期線に相当するラインを作り、MACDとのクロスで収束・拡散のシグナルを取り、精度を高めたことです。シグナルは以下のとおりです。
- 買いシグナル:MACDラインがシグナルを下から上に抜いたとき
- 売りシグナル:MACDラインがシグナルを上から下に抜いたとき
ツールによっては「ヒストグラム=MACD-シグナル」という線を表示できるため、ヒストグラムが0を超えたときに買い、0を割った時に売りとすることもできます。
「これだけ平均化を重ねれば反応が遅いだろう」と考える人もいるのではないでしょうか。しかし、レートとMACDの動きが相違する現象もよく起きます。これは「ダイバージェンス」というシグナルであり、いち早くトレンドの開始または終わりを察知することもできるのです。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、移動平均線の上下に統計学の標準偏差をプロットしたテクニカル指標です。標準偏差とはデータのバラつき具合を表した指標です。移動平均線の期間におけるデータのバラつき具合を数値化し、ある確率で上下のバンド内で収まるであろう価格の範囲を描いています。1σは約68%、2σは約95%、3σは約99%の確率で現在値が収まる範囲を示します。
標準偏差は平均値から離れたデータが増えるにつれて大きな値になるので、バンドが拡大(「エクスパンション」と呼びます)するのが特徴です。「普通でないことが起きた=トレンドが発生した」ことを視覚的に判断できるのは、ボリンジャーバンドの大きなメリットといえるでしょう。
トレンドフォローはバンド拡大後に移動平均線の傾きの方向に仕掛けます。特にバンドに張り付くように価格が推移する「バンドウォーク」が出たときは、強いトレンドが発生しているサインです。この場合も流れに沿って仕掛けましょう。
平均足
平均足は「始値」「終値」「高値」「安値」という4本値で表すことはローソク足と同じですが、始値と終値を次のように計算する点が違います。
- 始値:一つ前の平均足の始値と終値の平均値(そのため、前のローソク足の真ん中が次の足の初値になる)。
- 終値:4本値の平均
このような加工をする狙いは、視覚的に上昇トレンドと下降トレンドを認識しやすくするためです。平均足はローソク足に比べて、
- 上昇トレンド中は陽線が連続しやすい
- 下降トレンド中は陰線が連続しやすい
という特徴があります。タイムラグが生じるデメリットはありますが、今現在の状況を把握しやすくしてトレンドフォローするのに役立つテクニカルツールです。
FXではトレンドを把握することが重要!
FXではトレンドを味方に付けることで大きく利益を得られる可能性があります。FX初心者にも向いている方法なので、自分のトレードスタイルに取り入れてみてはいかがでしょうか。
トレンドフォローをするには、相場環境の分類方法やエントリーポイントの絞り込み方、テクニカル指標を用いた売買シグナルなどが必要です。FX初心者が投資本でこれらを一から学び、自分なりのルールを確立するのは、多くの手間と時間がかかってしまうでしょう。これらを実践的なパッケージにして教えてくれる投資スクールやセミナーなどを利用するのもおすすめです。