【FX初心者講座】第一章 FX入門編
FX初心者向けに書いた分かりやすい講座。FXを始めたい方はまずコチラから。
まずは正しい知識から。
- FXとは
- 円高・円安とは
- 為替差益とは
- ポジションの考え方
- スワップとは
- FXで利益を出す方法
- FXの良い点と悪い点
1.FXとは
為替取引: 2種類の通貨を交換すること
FX: 少額の証拠金で、為替取引をすること
為替取引とは
海外旅行に行く時など、日本円を米ドルにするために両替をします。 両替とは、2種類の通貨を交換することです。 そして、この交換(両替)のことを、為替取引(外国為替取引)といいます。
交換するときの交換比率(レート)を、為替レートと呼びます。
銀行などでは1日の為替レートを固定していることが多いですが、実際には、秒単位以下で、刻々と為替レートは変化しています。
「1 ドル 100 円」という表現は、100 円で1ドルが交換できるということです。 このことを、円を 100 円で売って1ドルを買うとも言います。
1ドル 100 円= 100 円で1ドルが交換できる
FXとは
FX(外国為替証拠品取引)とは、証拠金を預けることで為替取引をすることです。 例えば、1 ドル 100 円のときに、1 万ドルの米ドルを買うには、100 万円が必要です。 ところが、FX では 10 万円を証拠金にして、10 倍の 100 万円分のドルを売買することができます。
自己資金の何倍もの売買をすることを、テコの原理と同じと考えて、レバレッジと 呼びます。レバレッジはレバー(テコ)からきています。FX は、レバレッジを設定できるのが、大きな特徴です。
レバレッジ=持っているお金の何倍もの売買ができる
2.円高・円安とは
1ドル100円から、1ドル110円になると、10円の円安
1ドル100円から、1ドル90円になると、10円の円高
円高・円安とは
例えば、1ドル100円から1ドル110円になると、10円の円安です。
100円から110円になると、数字が大きくなるので、円高と思ってしまいそうですが、ちがいます。
ドルが100円から110円になると、以前は100円で1 ドルが買えたのに、110円必要になるため、円の価値が下がること、つまり円が安くなるということなので、円安と表現します。
反対に、1ドル100円から 1ドル90円になると、10円の円高です。
100円のジュースを買うのに、110円必要になったら、お金の価値が下がったと言えます。それと同じで、先月は100円だった1ドルを買うのに、今日は110円必要になったなら、ドルに対して円の価値が下がって、円安ということになります。
先月100円で買えた1ドルが、今日は110円必要 → 円安
「今日は円高です」というニュースが出ると・・・
ニュースで「今日は円高」というときは、通常、ドルに対して円の価値が上がったことを示します。つまり、「今日は円高」と報道されても、ドルが他の全ての通貨に対して安くなっただけ、つまり、単純にドル安(ドルの独歩安)ということもあります。
円高・円安と言われるときには、円が、ドルだけではなく、ドル以外の通貨に対しても円高なのか円安なのかも確認するようにしましょう。FX 会社のチャートでは、いろいろな通貨の組み合わせを確認できます。
3.為替差益とは
為替差益・為替差損: 為替変動で生じる損益
レバレッジをかけると、為替差益(為替差損)が大きくなる
為替差益・為替差損とは
(1)為替差益
1ドル100円のときにドルを買って、1ドル105円のときにドルを売った場合、 1ドルあたり5円の利益になり、これを為替差益と言います。
(2)為替差損
反対に、1ドル100円のときにドルを買って、1ドル95円のときにドルを売った場合、1ドルあたり5円の損失になり、これを為替差損と言います
為替差益とレバレッジの関係
例えば、1ドル100円のときに、100万円の証拠金を元に、1万ドル(100万円相当) を買います。(1買うのでレバレッジ1倍となります)
その後、1ドルが105円になったので、ドルを売りました。 為替差益は、105万円ー 100万=5万円となります。証拠金は、100万円から105万円に増えました。
それでは、レバレッジをかけてみましょう。
1ドル100円のときに、100万円の証拠金を元に、10万ドル(1000万円相当) を買ったとします。(10倍買うのでレバレッジ10倍となります)
その後、1ドルが105円になったときに、ドルを売りました。為替差益は、1050万円ー 1000万=50万円となります。証拠金は、100万円から150万円に増えました。
前者と後者は、同じ証拠金100万円ですが、レバレッジをかけることで、後者は証拠金が1.5倍になりました。
このようにレバレッジを上げた場合、うまくいくと大きく利益を出せますが、失敗すると損失も大きくなります。
4.ポジションの考え方
ドルを円で買う場合: ドル/円を買う
円をドルで買う場合: ドル/円を売る
ポジションの考え方
FXでは、日本円を売ってドルを買うかわりに、日本円を借りてきてドルを買って います。(正確に言えば、「日本円を借りてきて、市場で日本円を売り、市場からドル を買う」ということです。)
10 万円しか持っていなくても、10 万円を証拠金として預けて、日本円で 100 万 円を借りてきて 1 万ドルを買う、と考えると分かりやすいです。(1 ドル 100 円の場合)
FXでは、ドルを円で買った場合、ドル/円を買うと言います。これは、円を借りてドルを買っている状態(ポジション)で、ドル/円の買いポジ ションを持つとも言います。分母が売る通貨で、分子が買う通貨です。
反対に、円をドルで買うことは、ドル/円を売ると言います。 ドル/円というポジションを、買いで持つか、売りで持つかのちがいです。
ドル/円を、買うか売るかのちがい
ポジションを持つのをやめる時は、「ポジションを閉じる」「決済する」「手仕舞い する」「反対売買する」「(売ポジションは)買い戻す・(買ポジションは)売る」とい う表現をしますが、どれも同じ意味です。
ドル/円の買いポジションを閉じる時には、ドルを売って、借りていた日本円を返すことになります。
ドル/円1万通貨を 100 円で買って 120 円で売った場合、120 万円を受け取り 借りていた 100 万円を返します。すると、120 万円- 100 万円の 20 万円の利益を受け取れます(為替差益)。
5.スワップとは
スワップ: 借りた通貨ー預けた通貨の金利差
例えば、豪ドル/円を買うと、毎日スワップがもらえる
スワップとは
例えば、FXで、豪ドル/円の買いポジションを持つと、豪ドルと円の金利の差額を、毎日受け取ることができます。
つまり、借り入れ金利(この場合、豪ドル)と預け入れ金利(円)の金利差がプラ
スなら、毎日金利を受け取り、マイナスなら、毎日金利を支払います。
この金利差を、スワップといいます。(FX 会社によって、スワップ金利・スワップポイントなど呼び方がちがいます。)
日本円は、現在ほぼ金利ゼロ(年 0.1%)で借りられるので、例えば、買った通貨 が豪ドル(仮に年 4.1%の金利とする)なら、差額の年 4.0%(= 4.1% – 4.0%) の金利を受け取ることができます。
4% というのは1年間ポジションを持っていた場合ですが、実際には、1 日ごとに 清算しますので、毎日 4%/ 365 日程度の金利を受け取ります(金利の額は FX 会社ごとに異なります。)
スワップがプラスなら、毎日スワップがもらえる
ちなみに、スワップは受け取るだけではありません。
例えば、豪ドル/円の売りポジションを持っている場合には、ポジションを持っている間は、スワップを毎日支払わなければなりません。借り入れ金利(円)と預け入れ金利(豪ドル)の差が、マイナスだからです。
そのため、長期で豪ドル/円の売りポジションを持つことは、毎日金利を支払うため、好ましくありません。
スワップがマイナスなら、毎日スワップを支払う
オーストラリアのように、金利が高い国はインフレ(物の価格が上昇している)、 日本のように、金利が低い国はデフレ(物の価格が下落している)という傾向があります。
物価の上昇は、通貨価値の下落を伴うため、インフレ国の通貨は、デフレ国の通貨に比べて、年々安くなっていくことが原則となります。今の相場は金利相場と呼ばれ、金利が高い通貨が買われる傾向があります。
ただし、金融危機などがあると、大きな調整(大きな下落)となります これは、高金利通貨を買っていた大きなファンドなどが手仕舞いするからです。
なお、仮に今後、日本円の金利が上がるとすれば、相手国との金利差が小さくなりますので、スワップは下がります。
スワップは、銀行の金利とは根本的に異なるため単純な比較はできませんが、銀行の外貨定期預金の金利よりも高い金利になっています。
スワップが、普通の金利と一番ちがう点は、毎日金利が発生することです。1年定期預金は 1 年後に利息を受け取りますが、スワップ金利は毎日受け取れま すので、満期まで持つという概念がありません。いわば、1日定期という概念です。
6.FXで利益を出す方法
FXで利益を出す方法
為替取引で利益を出す方法は2種類あります。
(1)為替差益
例えば、ドルを円高のときに買って、円安のときに売った為替差益です。
つまり、為替変動による差益を狙うことです。これは、どの通貨の組み合わせでも良く、利益が出しやすい通貨とタイミングを選びます。
(2)スワップ
豪ドルなどの高金利通貨を低金利の円などで買う(豪ドル/円の買いポジションを持つ)と、毎日、金利を受け取ることができます。
つまり、為替差益+スワップの合計が、FXの利益となります。
FX 会社によっては、スプレッド(売値と買値の差)や手数料がかかります。
そのため、例えば、豪ドル/円を 100 円で買って1年後に 100 円で売った場合、 為替差益がゼロとしても、スワップが利益となります。
さらに、1 年間で 4%の円高で為替差損があっても、スワップが 4%であれば、ト ントンになります。
ですが、為替差益の方が変動幅が大きいため、すごく利益を出せる時もあれば、反対に大きく損失を出してしまう時もあります。
豪ドル/円の買いポジションなどで、安定的にスワップをもらっていても、急な円高で、スワップ分の利益が吹き飛んでしまうことも日常茶飯事です。
為替差益+スワップー(スプレッド+手数料)=利益
7.FXの良い点と悪い点
欲に任せてレバレッジをかけないことに気をつければ、 FXは、外貨預金よりもメリットが多い
FXの良い点と悪い点
「外貨預金はよいがFXは危険」とよく思われがちですが、FX には、良い点と悪い 点があり、外貨預金より優れている点ももちろんあります。
FXの良い点
(1)手数料が安い
(2)金利が高い
(3)金利を毎日受け取ることができる
(4)平日24時間いつでも取引できる
(5)簡単に手仕舞いできる
(6)信託保全されている
FXの悪い点
(1)レバレッジをかけた取引をして資産を無くす人がいる
(2)危ないFX会社がある
(3)金利を固定できない
FXの良い点
(1)手数料が安い
外貨預金は、買う時と売る時の価格差(手数料を含めたスプレッド)が、大手都市 銀行だと豪ドルで 2 円くらいになります。1年間で金利が 4%ついたとしても、売って買ってで 4 円のコストがかかるため、 手数料で消えてしまいます。
FXだと、会社によって大分ちがいますが、スプレッドは 0.03 円~ 0.05 円程度で、 一桁以上安くなります。ただし、あまりにもスプレッドが小さい会社は、会社の安全 性に疑問があるので避けた方が良いでしょう。
FX会社によっては、例えば、円を両替してドルの現金で手にすることもできます。 旅行時など、銀行よりもFX会社で両替する方が手数料が安く済むケースがあります。
(2)金利が高い
2013 年現在、大手都市銀行では、豪ドルの外貨預金の金利は、定期預金でも 2% 台程度です。(預け入れ金額と期間で変わります)
FXでは、豪ドル/円の買いポジションを持つと、金利差(スワップ)は 4%台と なります。
(3)金利を毎日受け取ることができる
FXでは、豪ドル/円の買いポジションを持っている場合、毎日金利を受け取ることができます。ポジションを 10 日持っていれば、10 日分の金利を受け取れます。
(4)平日 24 時間いつでも取引できる
為替は、月曜の朝から土曜の朝まで、24 時間連続して市場(しじょう)が開いて いますので、FXの取引は平日 24 時間、パソコンや携帯電話から簡単にオーダーが 出せ、指値での取引も設定できます。
年間何回か、金融収縮等で円高に一瞬大きく振れることがありますが、FX なら、 この時に指値を入れておけば、その値段で買えます。
特に、美味しい買い時である大きな円高は、一般の金融機関の営業時間外である早 朝にあることも多く、営業時間になると、比較的大きく上昇していることも多いです。
となると、一般の金融機関では、円高のピークで外貨預金に両替することは難しい 一方、FX会社は、平日 24 時間稼動しているため、早朝に買ったり指値で買ったり することが可能です。
(5)簡単に手仕舞いできる
FXの場合、急激な相場変動があっても、ストップロス・オーダーという注文を入れておくことで、ポジションを簡単に手仕舞いできます。
平日 24 時間連続しているマーケットだからできることです。激動の時代には、いざという時のことを考えて、ストップロス・オーダー等で、簡単に手仕舞いして逃げられるようにしておいた方がよいでしょう。
(6)信託保全されている
基本的に、外貨預金はペイオフの対象外です。銀行が破綻した場合、預金額のうち一行一人 1000 万円まで預金保障機構が保障 する仕組みがありますが、外貨預金はこの対象外なので、銀行が破綻した場合、外貨 預金は 1000 万円以下であっても全額戻ってこない可能性があります。
しかし、FXでは、信託保全されているので、全額が守られることになります。ただし、信託保全スキームは会社によって異なるので、危ないFX会社の場合、この信託保全スキームが機能しない可能性はあります。そのため、堅実なFX会社を選ぶようにしましょう。
FXの悪い点
(1)レバレッジをかけた取引をして資産を無くす人がいる
ストップロスを入れないで、レバレッジを上げたり、ギャンブル的に短期売買を繰り返して、資金を無くす人が少なくありません。これは、FXが悪いのではなく、そのような取引をすることが悪いとも言えます。
ちなみに、レバレッジは自由に設定できるため、1倍以下の 0.2 倍や 0.5 倍にす ることもできます。運用次第では、外貨預金以下のリスクに抑えることも可能です。
(2)危ない FX 会社がある
現在はかなり減っていますが、FX 会社の中には悪徳業者も存在します。 2-2.FX口座の開設に、FX 会社の選び方を載せておりますので、参考にして下さい。
(3)金利を固定できない
FXは、日々の金利がほぼリアルタイムに反映されますので、買い通貨の金利が下がったり売り通貨の金利が上がったりすると、スワップは下がります。
FXは金利を固定できませんが、激動の時代においては、金利の固定よりも、すぐに資金移動できることを優先した方がよいでしょう。
このように、ギャンブル的な取引をしないよう注意をしたり、FX 会社の選び方に 気をつければ、FX がもたらすメリットは大きいと言っていいでしょう。
メリットを活かして、FX を活用していきましょう。