初の女性首相と財務相誕生

自由民主党総裁の高市早苗氏が、正式に日本初の女性首相に就任しました。そして、財務大臣にはこれまた初の女性を指名しました。
政治やビジネスにおいてジェンダー平等の動きが海外と比べて遅い日本では、画期的な出来事だと言えるでしょう。
ここからの財政運営
新財務大臣の政策スタンスは、高市首相が国の財政をどのように運営するつもりなのかを示す重要なシグナルになります。
具体的な政策内容については、日本にいらっしゃる皆さんの方が詳しいでしょうが、自民党と維新との連立により、財政支出の拡大には一定の歯止めがかかると私は考えています。
というのも、維新は「小さな政府、規制緩和、構造改革」を重視しており、現金給付などよりも、産業を支える投資分野への的を絞った支出を支持しているのではないでしょうか?
私が住むロンドンのトレイダー達の間でも、先月あたりまでは高市氏は支出を増やし、日本銀行の利上げを遅らせるのではないかという懸念をベースに、円売り・長期金利上昇のトレードをしていました。
しかし、先週後半あたりから、そのポジションの解消を急ぎ、10月21日の首相就任が固まってからは、特にドル円では大きく動いていないようです。
私なりにいろいろな報道を読んでみた結果、片山財務相は一般的に拡張的な財政政策を支持しているようで、この方向性は財政健全化を目指す財務省のスタンスとは意見の対立が心配されます。
ただし正式な任命後、記者団に対し、「責任ある、しかし積極的な財政政策を提唱し、
国民からの強い信頼を得ました。そのようなビジョンの下、新政権の最優先事項は日本経済を強化するための成長戦略となるでしょう。」と述べています。
そして、「アベノミクスを2025年版として継続することは全く不自然ではない。」
とも付け加えました。
片山財務相、ここからの課題
連立相手の維新の意向も汲み、家計や企業を支援するための経済対策を中心に補正予算の編成となると考えています。
そしてもう一つの主要な任務には、インフレ要因となっている継続的な円安の取り扱いをどうするかではないでしょうか?
遅かれ早かれ、ベセント米財務長官と意見交換をするでしょうが、ドル円相場が150円を超える水準で上昇するなかで、輸入物価上昇によるインフレ圧力は再び高まっており、政権としても緩和維持を訴える余地は狭まっていると私は考えます。
その場合は高市政権が金融緩和的スタンスからの明確な転換を測る可能性もあるため、注意が必要でしょう。
金融政策は日銀主導
最近の日銀からの発言を聞いていると、日銀内ではすでに金融政策の正常化への機運が高まっているというセンチメントを感じます。
市場では12月利上げの織り込みが50%を超えていますが、ヘッジファンド勢の中には10月会合での予想外の利上げの可能性を50%以上と見ている人達もいるそうです。
これは、足もとの円安と3%近辺のインフレ率がその流れを後押ししている格好とも言えるでしょう。
実際の利上げ時期は誰にもわからないですが、日銀は政策正常化の路線を維持するとみられ、ひとまず新政権の誕生が金融政策に与える影響は小さいとの見方が強いです。
つまり、「日銀の利上げ」については、「もし」ではなく、「いつ」というタイミングが重要という事です。
ここからのドル円
私は今週に入り、ドル円はドル売り・円買い方向でポジションを取っています。
その背景には、ドル・インデックスが99台を上抜けできなかったことと、米長期金利(10年物国債利回り)が依然として4%を下回っていることが理由です。
ただし中期的には、米中関係やFOMCでの利下げの継続性など不安定要因も多く、決めうちは難しいと言わざるを得ません。
しばらくの間は、短期のポジションで勝負したいと思います。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2025/10/22の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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