アルメニアとアゼルバイジャンの紛争激化
アルメニアとアゼルバイジャンの紛争が9月27日から激化しましたが、今後、世界を巻き込む大きな紛争に発展する可能性があります。アルメニアとアゼルバイジャン間にある「ナゴルノ・カラバフ共和国」は昔から紛争地でした。
ナゴルノ・カラバフ共和国は住民の約8割がアルメニア人でアルメニア領だった時代もありますが、旧ソ連時代はアゼルバイジャン共和国の自治州でした。ソ連崩壊直後の1991年、アルメニア人勢力がナゴルノ・カラバフ共和国の独立を一方的に宣言しました。
独立を認めないアゼルバイジャンとアルメニア間で「ナゴルノ・カラバフ戦争」となり1万7000人の死者と100万人以上の難民をだしたとされています。その後も紛争が続き、それが激化したのです。
アルメニアの背後にはロシア、アゼルバイジャンの背後にはトルコがいます。アルメニアとロシアがキリスト教、アゼルバイジャンとトルコがイスラム教信仰国であることも事態を複雑化させています。
アゼルバイジャンは旧ソ連時代から石油が豊富に産出してきました。世界最大の湖であるカスピ海の沿岸のアゼルバイジャンの首都バクーの近郊は世界で最初の油井があり、世界中の資本家たちが石油をめぐり覇権争いをしました。ペルシャ湾の油田が見つかるまでは世界の石油生産の大半を占めていたのです。
その後、産出量は減りましたが、カスピ海沖の石油ガス開発で急成長を遂げ、首都バクーはバブル景気となり第二のドバイともいわれました。大きな国であるものの石油が産出しないトルコはアゼルバイジャンから石油と天然ガスをパイプラインで輸入しているため、アルジェバイジャンを背後で支えています。
一方、アゼルバイジャンはイランの隣ですがイスラエル(ユダヤ)から武器を購入したり、石油を販売したり強い結びつきがあります。アゼルバイジャンがアルメニアを攻撃した時に使ったドローンはイスラエルのハロップという最新兵器です。神風ドローンと呼ばれ、小型でステルス性を備え23kgの爆薬を積んで目標に突入して自爆することができます。
イスラエルとアゼルバイジャンの関係が強いのは、もともと、この地域にユダヤ人の共同体があり遊牧国家であるハザール(カザール)王国がユダヤ教に改宗したからです。ユダヤ人には血統的なユダヤ人とユダヤ教に改宗した改宗組のユダヤ人の2種類が存在し、一般に金融等で有名な白人系のユダヤ人の多くがハザール系といわれています。
つまり、ハザール系ユダヤ人の故郷がアゼルバイジャンともいえ、カスピ海油田の資本にはユダヤ人がいます。現在、世界のパワーバランスが急激に大きく変化している中、今後の世界の紛争はイスラエル・トルコ・イラン・ロシアが中心になると判断しており、その動線がこの地に集結しているのです。