アンダーウエイトの欧州に資金がシフト

欧州通貨の強さが際立つ上半期

添付したのは、今年前半の主要通貨の対米ドルの騰落率を示しています。
ドルは主要通貨に対して軒並み下落しており、その中で圧倒的な強さを見せたのが、最強通貨のスイスフランです。ユーロ、ポンドもそれに続いています。
一方、対米ドルで上昇が緩やかだったのは、豪ドル、ニュージーランドドル(キウイ)、そして日本円でした。つまり、米ドルの弱さが際立つ中で、特に強さを維持したのは欧州通貨だったと言えます。
最強通貨であるスイスフランは、金(Gold)の代替通貨としての人気も高く、その強さは際立っています。
本日もわずかに高値を更新し、スイスフラン円は、一時181.92円まで急騰しています。
では、同じ欧州通貨のユーロ円はどうか?
まずユーロドルに関しては、3月最初の週の配信でドイツの「ゲームチェンジ」により1.1200を目指すとしましたが、そのターゲットはあっさり超え、本稿執筆時点では一時1.1829まで急騰しています。
このユーロの強さは、もちろんドル安の影響もありますが、ドイツが数十年ぶりの財政拡大へと大転換し、欧州の再軍備化が新たなテーマになったことが大きなきっかけです。
ゴールドマン・サックスは、1年後のユーロドルは1.2500を目指すと顧客向けレポートで伝えているようです。
ドル全面安の展開の中、ドル円が下げ渋っている状況では、スイスフラン円同様にユーロ円も続伸。一時169.86円まで上昇しました。
同じ欧州通貨のスイスフラン円が史上最高値を更新する中、ユーロ円もまずは昨年の高値である175.43円を目指す展開となり、中期的には180円を目指す展開になるのではないかと想定しています。
トランプ関税の期限終了を間近に控えて、ベトナムは交渉完了。トランプ米大統領は貿易に関するディールを取りまとめたと発表。
内容は下記の通り。
ベトナムからの対米輸出品には20%の関税、ベトナムを経由した迂回(うかい)輸出と見なされる製品には40%の関税が適用されると、ソーシャルメディアへの投稿で明らかにした。ベトナムは米国からの輸入品に対して、全ての関税を撤廃することに同意したという。一方、中国企業を世界のサプライチェーンから切り離すような合意を各国と結ぼうとする米国の取り組みに、中国は懸念を深めている。 Bloomberg
このベトナムを経由した迂回(うかい)輸出と見なされる製品には40%の関税が適用されるというところがポイント。
このベトナムとの交渉完了という報道は、現在交渉中の各国にプレッシャーをかけるのが目的なんでしょうが、日本はトランプ大統領が関税を30%に引き上げるかもしれないと威嚇されている状況で交渉が難航しています。
石破さんは、国益という言葉をよく使われていますが、関税を上げられてしまうとそれは国益にはならないため、今後の政府の対応に期待したいところ。
ちょっと気になったのがFTの記事。
現在、ヘッジファンドやその他の投機的投資家の間で、ドル円のshort(ショート)は絶大な人気を得ています。
ただイスラエル紛争の時、スイスフランは上昇しましたが、円が反落したことで、円long(ロング)に対して少々懸念がでてきているようです。
ノムラ・インターナショナルのアナリスト、ドミニク・バニング氏の言う「たちの悪いスクイーズ」が起こった。同氏は顧客に対し、日本円の買い推奨を出していたが、これを撤回しかけたという。投資銀行に所属するご意見番として、これほど気まずいことはない。FT
7月初日にドル安が進み、ドル円も142年台後半まで円高が進みましたが、今回も142.00円を割り込めなかったことから8月の夏季休暇を控えて、マーケットの円long(ロング)がどう変化するのかに注目が集まっています。
西原宏一のシンプルトレードの一部を抜粋してお届けしています。
シンプルトレードでは、リアルタイムで相場観やポジションを配信しています。
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