シカゴ通貨先物市場残高、ドル円150円回復の可能性は?

米国時間に入り発表された2月の小売売上高は、+0.2%(予想+0.6%、前回は速報値の-0.9%から-1.2%へ下方修正)と反動増となったものの、市場予想を下回りました。
その後に発表された3月のNY連銀製造業景気指数も、-20(予想-1.9、前回+5.7)とこちらも市場予想を大幅に下回り、関税とインフレの再燃を懸念し、指数は急降下しています。
為替市場の反応はドル売り、しかし、USDJPYでは小売売上高の後に昨日安値149.28まで反落しただけで、その後はゆるやかに反発をみせています。
米株3指数が続伸と全般的にリスク資産が買い戻され、リスクセンチメントは改善に至らずとも先週までの悲観的な見方にはやや修正が入りつつあります。
NZD、AUD、CADなどの資源国通貨が買い戻され、クロス円が上伸、昨日1日ではJPYのみが下落通貨となり、USDJPYが149円台に乗せて引けています。
トレードポイント
本日から2日間の日程で日銀金融政策決定会合とFOMCが開催予定、前者が明日、後者は日本時間では3/20の朝に金融政策の結果が判明します。
どちらも据え置きがほぼ確実、昨日の日経電子版も「日銀、金利据え置きへ、明日から決定会合、米関税の影響注視」と伝えています。
今週の展望でも書きましたが、これまで日銀植田総裁は金融政策を据え置いた場合、詳細にその理由を説明してきたことで、ハト派ととらえられがちだった経緯があります。
こうした点を踏まえると、明日も同じようなことになる可能性があります。
先週、米国ではCPI(消費者物価指数)等の物価関連指標が発表されましたが、鈍化を示す結果にもドル売りは続かず、先週のUSDJPYは陽線でした。
今週も週明けに小売売上高、NY連銀製造業景気指数とどちらも市場予想を下回っていますが、引き続きドルは下げ切らずにUSDJPYが149円台乗せで取引を終えています。
こうしたなかで、シカゴ通貨先物市場の建玉残高に目を転じると、先週3/11の時点で、円買いの残高が133902枚(前週133651枚)と高水準で推移しています。
多額の投機的な資金を運用するヘッジファンドは、受け皿が小さ過ぎること、直接金融機関と取引してレバレッジを確保(融資から)することから、シカゴ通貨先物市場では取引をしません。
取引1枚は0.125億円、133902枚は約1.67兆円、為替市場1日の出来高7.5兆ドルと比較すると小さな建玉ですが、市場の投機的なポジションの「縮図」ではあります。
先週来、弱い米経済指標でもドル売りが短期で収束している背景には、お腹一杯ではないものの、ある程度円買いのポジションが積みあがっている可能性は十分にあります。
こうした背景に加え、今週この後に日銀がハト派、FOMCがタカ派で終わると、USDJPYが150円台に乗せてくる展開を視野に入れる必要があります。
こちらは有料メルマガより一部抜粋、時間をおいて配信しています。
こうした流れを加味したポジションの組み換え、市場参加者から伝わる裏事情、金融機関のレポートの概略等はSmartLogicFXのなかで展開していきます。
関連記事
https://real-int.jp/articles/2788/
https://real-int.jp/articles/2789/