9月の大幅利下げで米インフレが再燃
経済が過熱気味になるなかでの大幅利下げは軟着陸を難しくした
9月18日FOMCでの大幅利下げは、結果的に問題含みの決定になった。
米国でリセッション懸念が高まったのは7月頃で、7月の失業率4.3%がサームルールでリセッションを示唆するものとされた。この7月の雇用統計を受けて、米国株は一時、急落した。大幅利下げはそうしたリセッション懸念に対応するものだった。
しかし、8月には米国の経済活動は回復し、9月になると米国経済の活動はより活発化し、過熱気味に拡大した。9月18日の大幅利下げは、9月の経済統計がほとんど発表されていない状況での利下げだったが、結果的に、米国経済が過熱気味に拡大するなかでの決定だった。
通常、利下げは経済活動を押し上げる。だとすれば、大幅利下げによって、米国経済の過熱感はより強まるだろう。軟着陸はおろか、そもそも着陸は想定できない。
米国経済は着陸とは正反対の動きになってきた。
雇用増により賃金上昇テンポが加速
10月4日に発表された9月の雇用統計では、非農業雇用者数が前月比25.4万人増加した。非農業雇用者数の前月比増加幅は、6月11.8万人増から、7月14.4万人増、8月15.9万人増、9月25.4万人増と増加幅が拡大した。
米国景気は確かに危うい状況にあったが、多くの企業はレイオフに走ることはなかった。
9月の雇用統計をみると、教養・医療や娯楽産業などを中心に、企業は雇用活動を積極化する動きさえみられる。失業率は7月の4.3%から8月4.2%、9月4.1%と低下した。
7月の失業率4.3%は、サームルールによれば確かにリセッションを示唆するものとされたが、実際にはこのシグナルは間違っていた。
昨年からの失業率の上昇は移民の増加を反映した労働力人口増加によるもので、レイオフなどによる就業者の減少が原因ではなかった。
8月、9月の失業率低下は、労働需給が再び逼迫し出したことを示す。そして、労働需給逼迫のため、賃金は再び上昇し始めた。平均時給は7月の前月比0.2%増から8月0.5%増、9月0.4%増と増加ペースが一気に加速した。
図1は、平均時給とコア消費者物価について、「前年比」に比べて、直近の動きを反映しやすい「3か月前比年率増加(上昇)率」の動きを示している。
平均時給については、22年後半から23年前半までの同増加率が4~5%だったが、23年後半以降の同増加率は3~5%となり、最近の増加率は下振れ気味になった。
24年4月の同増加率は2.8%と一時3%割れとなったが、これは24年1~3月のGDP成長率が年率1.6%と鈍化し、リセッション懸念から企業の雇用姿勢が衰えたことが原因だったと考えられる。
だが、4~6月のGDP成長率は年率3.0%と、米国の潜在成長率とされる1.8~2.0%を再び大きく上回った。
そして、日々発表される経済指標からGDP成長率を推計するアトランタ連銀のGDPナウによれば、続く7~9月のGDP成長率は同3.2%と推計されている。
図1にみられる平均賃金の3か月前比年率増加率が、4月の2.8%をボトムに上向き、直近9月に4.3%と高まっているのは、4~6月、7~9月の潜在成長力を上回る高成長を反映した動きとみられる。
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2024/10/15の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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