FRBウォラー理事の変身
昨日はFRB高官のなかではタカ派の筆頭であるウォラー理事とボウマン理事がそれぞれ別の場所で講演にのぞみました。
まず、後者のボウマン理事は「追加の利上げが必要」と従来からの見解を崩しませんでした。
一方、前者のウォラー理事ですが、「金融政策が好位置にあると確信」、「インフレ率の低下を理由に利下げを開始できる」とこれまでの自身の見解を180度変えてみせました。
ウォラー理事はFRBのなかではタカ派の筆頭で、かつて2021年暮れには、「FRBのバランスシート(以下B/S)をGDPの20%まで削減する必要」(注)にまで言及したことがあります。
(注)FRBはリーマンショック後の景気の悪化に対応するために、米国債などを大量に買い入れる量的緩和を実施、市中に多額の資金供給、FRBのB/S、つまり総資産が膨張しました。
2010年代に一旦減額したものの、コロナショックを経てその額は約9兆ドル弱まで拡大、それを2021年当時のGDP(約22兆ドル)の20%(4.4兆ドル)まで減らすのがふさわしいとの発言。
B/Sが膨らんだままですと緩和効果を残しますので、現在は利上げともに毎月約950億ドルを目途に削減中(量的引き締め)。
ウォラー理事の発言はやや驚きで、来年2024年以降の利下げを織り込み金利は長短にわたり低下、為替市場ではドルが全面安、USDJPYで昨日安値147.33を示現しています。
米国時間の午後に7年債の入札が実施され、かなり不調な結果に終わっていますが、金利の上昇は一時的、ウォラー理事の発言の余波が現状大きくなっています。
トレードポイント
このウォラー理事の発言が起死回生の一打となり、年末までのドル売りにキックオフか?FRBパウエル議長の講演が今週12/1にありますので、大きな風呂敷は広げませんが…。
(ただ、パウエル議長の講演はスペルマン大学でのディスカッションですので、金融政策に議論が及ぶかは微妙)
しかし、前回安値147.16(11/21)が目前に迫り、日足一目均衡表の雲の下限が147.38付近に位置しています。
この日足一目均衡表の雲の下限を下回っていたのは今年3-4月、シリコンバレー・バンクが破綻してリスク回避的な動きが欧州に波及、クレディスイスグループがUBSに買収され時です。
この雲の下限は、7月の下旬に日銀の政策修正への思惑が急速に台頭して、137.24まで急反落した時にもサポートされています。
つまり、4月以降の円売りのラリーのなかでは、一度も割れたことのない下限で、日足の引値ベースでここを下回ることで、一定のセンチメントの変化をもたらします。
既存のポジションは今のところ減額の予定はなし。
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