公開日 2023年9月20日

汚染水海洋放出のプロセスを明かす!<上>

汚染水の海洋放出第1回目が終了した。貯蔵タンク10基分が放出されたという。重要なのは、この海洋放出が、どの様なプロセスで決まっていったのかにある。
汚染水海洋放出のプロセスを明かす!<上>

汚染水の海洋放出第1回目が終了した。貯蔵タンク10基分が放出されたという。

以降、報道・マスメディアは風評被害動向や中国の動向、福島や全国の漁業関係者への取材が柱となっていくことは目に見えている。

しかし、それよりもはるかに重要なのは、この海洋放出が、どの様なプロセスで決まっていったのかにある。

我が国の民主主義は崩壊寸前にあると言われて久しいが、その「崩壊寸前の社会・政治体制」に胡座をかいてきたのがマスコミ・報道なのである。

それを蔑ろにして「風評被害」や「中国の輸入禁止」をいかにも正義の見方的に取材しても、白々しいだけなのである。

経産省の20年2月報告

経産省資源エネルギー庁の通称ALPS小委員会は、2020年2月に「多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」(以下、基本方針)を決定、菅首相(当時)は2年後をめどに海洋放出を開始すると発表した。

福島第一原発では、自己で溶けた核燃料を冷却するために注入した水が、燃料に触れて高濃度の放射性物質に汚染され、建屋の地下に溜まっている。

ここに地下水や雨水が流れ込むことで放射性物質を高濃度で含む汚染水が増え続けた。

汚染水は本来、事故の起きた2011年中に減らし始めるのが目標だったが、増え続ける現実に合わせ、当時の野田政権は目標を「汚染水全体量の減少」から、「建屋内の汚染水が増えないこと」にすり替え、2011年12月に事故の「収束宣言」を出した。

この時点で汚染水問題は、福島第一原発の事故処理に向けた最大の壁になっていた。今回の海洋放出は、この問題に一気にケリをつけるものと言っていい。

20年2月の報告書や21年4月の基本方針には、その内容においても合理性に欠ける部分がある。基本方針が「大原則」としている「廃炉」との関係だ。

ALPS小委員会の報告書には次の記載がある。

大原則として、福島の復興と廃炉を両軸として進めていくことが重要であり、廃止措置が終了する際には、ALPS処理水についても、廃炉作業の一環として処分を終えていることが必要である。

したがって、貯蔵継続は廃止措置終了までの期間内で検討することが適当である、廃炉とセットだと言うが、原発事故の発生から12年半が過ぎた今になっても、「廃炉」が何を意味するのかが定義は示されておらず、議論も始まっていない。

東電は、福島第一原発の最終的な姿については地元関係者との話し合いが、必要という認識を示している。ただ、それは東電だけでできるものではないとも言う。

資源エネルギー庁も認識は同様だが、議論を始める時期については具体的な予定はない。別の問題もある。

東電と政府は福島第一原発の作業目標を記した「中長期ロードマップ」の中で、廃止措置までの期間を事故から30~40年と想定している。

しかし、この期間に根拠はなく、複数の関係者が「これ以上長いというのはイメージしにくい」という。漠とした印象論でしかないことを認めている。もちろん、技術的な裏付けがあるわけでもない。

本来は、「廃止措置」は法的に手続きが決まっており、最終的には核物質を敷地から出して処分する必要がある。

しかし、通常の原発で使用した使用済み核燃料の処分さえままならないのが現状だ。溶け落ちて何が混じっているのかわからない燃料デブリの持ち出しが可能なのか。

「廃止処理」が、できるか、わからないのであれば、トリチウム水の処分も急ぐ必要はないということになる。

さらに言えば、報告書には「処分の開始時期が遅ければ遅い方が、世の中の関心が小さくなり報道量も減り、風評への影響は少なくなる」と記されている。

政府が強調するように風評被害を防ぐのであれば、放出を急ぐ必要はなかったということだ。この点について、報告書がまとめられたあとの記者会見では次のやりとりがあった。

(記者)-
廃止措置は30~40年というが、委員の中には、(廃止措置終了時には)更地にするという共通認識があった。

一方で政府は更地にするか決めていない。なぜトリチウム水だけを先に処分しなければいけないのか、報告書には書かれていない。

(奥田・資源エルギー庁廃炉・汚染水対策官)-
廃炉措置終了時には、すべてが処分されていないといけないが、処分されている状態がどういうものか、これから検討しなければいけない。

処分しなければいけないのはすべて同じだが、処分のやり方や処分の方法を見定めることができるものは検討を進めるべきと思う。

とくに処理水の問題は、廃炉が終わるまでに全部を片付けるということかもしれないが、今後廃炉作業の進捗に影響してくる可能性もあるので、早く検討していると認識している

廃炉措置が完了したときに福島第一原発がどうなっているかは、福島県浜通りの将来像に大きな影響を及ぼすはずだ。その姿を先送りしながら、なぜトリチウム水の処分を急ぐかについて、説明はなかった。

ところで基本方針では、廃炉作業について・・・

続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2023/09/19の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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金森薫

金森薫

国際エコノミスト。元外為・債券・株先ディーラーという実践経験を生かした経済分析、マーケット分析。

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