金利の市場 日銀の政策修正を織り込む動き

日銀植田総裁へのインタビュー記事の余波から進んだ円買いですが、USDJPYでは一旦昨日安値145.91の後は急速に買い戻され、146.98の戻り高値をつけています。
NY連銀が月に一度公開する8月の期待インフレ率は、1年先が+3.63%と7月から小幅上昇、5か月ぶりに反発しています。
3年先は+2.79%(前月、+2.91%)へと3か月連続で低下、5年先も低下と消費者の期待インフレ率は中長期でみれば小幅ながら着実に低下しています。
PBOC(中国人民銀行、中央銀行)が人民元売りの投機的な取引を強くけん制したこともあり、USDCNY(ドル/オンショア人民元)が2005年以来の高値から大きく反落。
この影響もあり、USDJPYも戻り高値から緩やかに反落、ただ、その後は今週に控える米CPI、PPI、小売売上高の発表を前に146円台半ば付近で小動きとなり、そのまま引けています。
トレードポイント
来週のFOMCを前に、FOMCメンバーらはすでにブラックアウト期間に入っており、政策の見通しに関して追加の手がかりはありませんが…。
WSJ紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス氏が「インフレの急低下を理由にFRBは追加利上げに関し、一層慎重になる」との記事をだしています。
さて、政策変更の期待が急浮上した日銀ですが、審議委員の間でも物価見通しに関し、講演などで基調は強いと判断しているメンバーが複数ではじめています。
田村直樹審議委員が「はっきり視界に捉えられる状況」と述べ、高田創審議委員は「芽がようやく見えてきた」と表現(朝日新聞デジタル)。
今回浮上した「条件次第でのマイナス金利の解除」は、YCC(イールドカーブ・コントロール)の微修正程度ではなく、立派な利上げ、つまり金融引き締めです。
長期にわたり、マイナス圏、またはプラスマイナスゼロ付近で推移していた日本の2年債金利も0.040%と2015年以来の水準に上昇、政策変更を織り込み始めています。
昨年来の円安の前提は日本の金融緩和継続が1つの背景だったわけで、そこに修正ではなく、引き締め観測が浮上した以上、市場の円売りが進んでもゆっくりとなる可能性があります。
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