ゴールドの代替にならないプラチナや銀
ゴールド プラチナ 銀 ダイヤモンドの価値
ゴールド(金)、プラチナ(白金)、シルバー(銀)、そしてダイヤモンドの価値について解説します。
ゴールドに比べてプラチナや銀は出遅れ感がありますが、出遅れるには理由があります。
価値と価格という視点で見ることで、理解が進むと思います。
前の記事の続きです。
https://real-int.jp/articles/2097/
金(ゴールド)の価値
金(ゴールド)には次のような価値があります。
①宝飾品としての価値(希少性・腐食しない・美しさ)
②工業原料としての価値(腐食しない・伝導率が高い)
③無国籍通貨としての価値(皆が通貨替わりに価値を認める)
人類が今までに掘り出したゴールドの総量は約18万トン、オリンピックサイズ・プールで4杯ほどの量しか存在しないといわれ、希少価値があります。
腐食せずに、普遍的に魅力的な特有のゴールド色を放つことから、古代から宝飾品としても使われてきました。
また、金属の中では延性や導電性に優れています。
薄くすると1万分の1ミリの金箔にすることができ、金閣寺は金箔を張っています。
引き延ばすと1グラムの金で約3,000メートルの糸(金線)にすることも可能です。
伝導性が良いことからIC内の配線や、コネクターに金メッキをして防錆します。
アート・伝統工芸品・電子部品の製造でも貴重な素材です。
そして、古代から世界中でその価値を認めていることから通貨という要素も認められています。
普通のお金は、国が価値を担保していますが、ゴールドはそのもの自体に価値があるという位置づけです。
今、世界の中央銀行が量的緩和により、通貨を大量発行していることから通貨価値を下げています。
相対的に、大量発行ができないゴールドの価値は上昇することになります。
ゴールド/ドル 月足Tradingview
プラチナの価値
プラチナには次のような価値があります。
①宝飾品としての価値(希少性・腐食しない・美しさ)
②工業原料としての価値(腐食しない・排ガス触媒として活用)
日本では、プラチナのシルバー色は、それなりに美しいとされていますが海外では、シルバー色は不人気です。
耐腐食性は極めて高いので、電極などに使われます。
耐腐食性が高く、ゴールドより希少性は高いのですが、通貨としての価値は認められていません。
昔はプラチナの希少性に価値があるとされ、ゴールドより高額でしたが、現在は、ゴールドより安価です。
通貨の大量発行により無国籍通貨としてのゴールドの価値が上昇したもののプラチナは通貨の範疇ではないので、相対的にプラチナ価格は下落したといってもよいでしょう。
プラチナは排ガス規制をクリアするための触媒という工業素材としての価値がメインだったということになります。
脱炭素でガソリン自動車が衰退方向となると、プラチナの価格は下落方向ですが、燃料電池車(FCV)では電極にプラチナを使うので価格は上昇方向です。
価値と価格は、経済状況や時代のニーズによって変化することを意味します。
プラチナ市場は流動性が薄く(出来高が少なく)投機的に乱高下しやすいので、一般投資家の投資対象には向きません。
プラチナ買いポジションとゴールド売りポジションを同時に両方持つという取引も危険です。
プラチナは下落し、ゴールドは上昇するというケースも十分考えらえるからです。
プラチナ/ドル月足 Tradingview
シルバーの価値
シルバーの価値は次のようになります。
①宝飾品としての価値(多少の希少性・美しさ)
②工業原料としての価値
希少性は高くなく、ゴールドやプラチナと比べると腐食しやすいので、ゴールドやプラチナより価値は二桁も低いです。
換金できるところも限られています。
また、買う時の価格と売る時の価格の差(スプレッド)がゴールドやプラチナより大きいので、投資には向きません。
ゴールドやシルバーは純度が高いほど価値がありますが、シルバーの場合、そうとも言えません。
シルバーの純度が高いと金属として弱すぎるので、純度92.5%などと純度を落として使用することが一般的です。シルバーの量は多いですが、市場が小さいため、投機的な資金が入って急騰することもありますが、しばらくすると元に戻ります。
1979年からハント兄弟による買い占めで銀は5倍以上急騰し、暴落した事件が有名です。
シルバー投資を勧める人もいますが、投資としてのメリットは過去ありませんでした。
有事の時に、大量のゴールドを持って逃げるのは大変ですが、シルバーだとその何十倍もの量になるので、現物を持って逃げるのは現実的ではありません。
これは通貨代わりにはならないということを意味します。
銀/ドル月足 Tradingview
ダイヤモンドの価値
ダイヤモンドについても解説します。
ダイヤモンドには次のような価値があります。
①宝飾品としての価値(高い屈折率による輝き)
②工業原料としての価値(高い硬度があるのでヤスリやドリルなどに使用)
一般にダイヤモンドに限らず、宝石は、10万円で買っても売る時には1万円ということは多いです。
買値と売値の差(スプレッド)が小さいものでないと投資には向きません。
ダイヤモンドの場合、一般の宝石店の店頭では買値と売値の差(スプレッド)が小さいものは売っていませんが、一部のルートでは約30万円以上のクラスから、売値と買値がほとんど変わらない品質のダイヤモンド・ルース(裸石)が買えます。
掘り出されたままのダイヤモンドを原石と呼び、原石をカット・研磨しただけのものをルース・裸石と呼びます。
映画007の「ダイ・アナザー・デイ」では、ジェームズボンドがダイヤモンド商人に成りすまして小型アタッシュケースにダイヤモンドルースを大量に入れて持ち込むシーンがあります。
United Artists Corporation and Danjaq, LLC.
買値と売値の差(スプレッド)がない一定以上の価値を持つ高品質のダイヤモンドルースは小さいですが価値があるので高額な資金の運搬に便利です。
換金性が高く資産保全になるので、お金持ちの資産分散先として活用されています。
現在、技術が進んできたことから、人工ダイヤモンドが安価に作製できるようになってきました。
100円ショップでも、人工ダイヤモンド(ダイヤ屑)を使ったヤスリが売られています。
人工ダイヤより天然ダイヤの方が価格は高いのですが、人工ダイヤと天然ダイヤの違いは、気泡など内部の傷がないか、あるかの違いです。
人工ダイヤの方が内部の傷が少ないのです。
つまり、天然ダイヤモンドも人工ダイヤモンドも価値の差はほとんどありません。
同じ美しさを持ちます。
一方、価格では、天然ダイヤモンドの半分と言われています。
興味深いことにダイヤモンドの価値と価格は一致していないといえます。
今後、天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドの価格差がどうなるかに注目しています。
一点注意点としては、ダイヤモンドは炭素なので、燃えるため、火には注意が必要です。
パール・真珠の価値
蛇足ですが、パール・真珠は投資対象には一番向きません。
真珠は金属や石と違って有機物であるため痛みやすく、高価買取が難しいからです。
金融危機静かに進行中
現在、金融危機が静かに進行中だと判断していますので、次の記事も合わせてお読みください。
日本のゴールデンウィーク時には、株が急落することが多く、そのように株が急落する時はゴールドも下げる良い買い場となる可能性があります。
https://real-int.jp/articles/2088/
https://real-int.jp/articles/2090/
ゴールド 重要記事まとめ
https://real-int.jp/articles/2219/
金融危機、グレートリセット時にはゴールドが重要です。