トレードで「予想」は必要なく「予測」だけで充分
過去36年のトレード経験に基づいた、独自のチャート分析手法やトレード論を解説!
独自のチャート分析手法(「スパンモデル®」「スーパーボリンジャー®」「アクティベート時間分析®」等)による相場分析方法。過去36年に及ぶトレード経験に基づいた、メンタル面からのトレード論も公開しています。Twitter https://twitter.com/murphyFX
「予想と予測」というタイトルを見て、ピンとこられている方も多いかもしれません。何故なら、私は事あるごとに、同様のことを申し上げているからです。ここでは、言葉の本来の意味についてお話するのではありません。
相場をやる、トレードを行う上での、私なりの「予想」と「予測」の意味の違いに関して知っておいて頂きたい点をお話します。
結論から申し上げると、「予想はNG」「予測はOK」ということです。
尚、ここで言う「予想」とは、経済指標やイベント等のニュース、つまりは、相場材料に従って相場の今後の動きを推測することです。
「予測」とは、「スーパーボリンジャー」「スパンモデル」「アクティベート時間分析」という私の3本柱からなる相場分析、トレード判断ツールにしたがって、価格がどう変化すれば、時間がどう変化すれば、その後の相場がどう変化していく等々について推測することです。
したがいまして、国語辞典などによる「予想」と「予測」についての解釈や定義などとは一線を画したお話である点、ご了承ください。
さて、一般的に言って、相場、FXの世界に入ってくる人の多くに見られる傾向ですが、相場とは、「予想」するのが前提という先入観をお持ちのようです。
そして、FX会社等が提供しているマーケット情報の中のコメントを読みつつ、とりわけ、「今後の相場予想」を熱心に探しておられる方も多い印象があります。
しかし、残念ながら、これらのマーケット情報、相場予測をいくら読んだり聞いたりしたところで、ご自身のトレードに役立つことはあまりないことがすぐにお分かり頂けると思います。
ただ1つ、今現在、世の中で何が話題となっているのか、何が注目されている「材料」でありニュースなのかということは分かります。確かに、それらを知っておくことに越したことはありません。市場参加者の大多数が今現在注目している「相場材料」を自分も知っておくことで、相場の反応度合をチェック出来るからです。
しかしながら、このことのメリットは思うほど大きくはないです。むしろ、逆効果として、自分のトレードを行うに際して、売買の判断をする際の迷いの原因となってしまうこともあります。
そもそも、相場の世界に流れている「常識」は、私の社会で通用している常識のレベルとは少々異なるようです。
私達が普通に思うことは、「相場とは、買い材料があるから上がる、もしくは、売り材料があるから下がる」ということです。確かに、そう考えるのが理路整然としていて納得もいくものです。私自身、相場の世界に入った頃は、ずっとそう思っていました。
しかしながら、実際にトレードしていると、買い材料でも上がらない、売り材料でも下がらない相場を何度も経験するのに、さほど時間は掛りませんでした。恐らく、この点は、皆様の多くもご経験あるかと思います。
さらには、買い材料が出ても下がる、売り材料が出ても上がる相場も見るようになり、いったいこれは何が起こっているのかと不思議に思ったことが何度もあるのです。
よく「相場に織り込み済み」という表現を見たり読んだりすることもあります。実際のところ、この表現は実に便利な言葉であり、相場解説を行う際には重宝なものです。
誰もが注目していた「買い材料」が出たにもかかわらず相場が上がらず、むしろ、下落した時など、待っていましたとばかりに、「相場に織り込まれていた」という表現の出番となります。というわけで、ただ単に、マーケットの動きの解説やコメントをする立場としては、この極めて便利な表現に助けられるコメンテーターも多いと思われます。
もっとも、それは、あくまで、マーケットコメントをする際の話であって、実際にトレードしている人にとっては、これほど無責任な言葉はないというのが実感です。
その為、長年、実際にトレードを主たる仕事とする立場にあった私としては、正直なところ、忌み嫌う言葉の1つにもなったのが、この「織り込み済み」という表現でした。
結局のところ、終わった相場に対して、如何に理路整然と後講釈をしても、自分にとっては、何ら納得のいくものにはならなかったわけです。
それより、どうして、買い材料が出たにもかかわらず上昇しなかったのかとか、売り材料が出たにもかかわらず下落しなかったのかを検証し、研究することに多くの時間を割くようになったのです。
そうしてあれこれ試していくうちに、得られた結論として、「相場とは、買い材料があるから上がる、もしくは、売り材料があるから下がる」のではなく、「上昇している時に、買い材料がクローズアップされ、下落している時に、売り材料がクローズアップされる。」ということが相場の根底にあるという考えに至ったのです。
つまり、確かに、買い材料があると相場は上がりやすく、売り材料があると相場は下がりやすいのは事実ですが、それより以前に、相場の根底に流れている本質的な力が相場の方向性に影響を与えているのではないかとの仮説を得たのです。
そして、その後の私は、相場の本質な動きの要因を探ることにまい進しました。
「買い材料」や「売り材料」は、相場の根源的な動きに影響を与えるのは確かではあるけれど、あくまで副次的なものだということ、そして、相場の根源的な動きは相場材料とは別の次元で流れている、動いているという考えに至りました。
結論から言うと、私が時々「相場力学」を申し上げているのが、この相場の根源的な動きの原動力だということです。そして、この「相場力学」を計測するには、手段(ツール)が必要となりました。それが、「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」「アクティベート時間分析」というわけです。
相場の要素には、「価格」と「時間」があります。あたかも、座標軸において、価格が縦軸、時間が横軸というものです。
一般的には、相場が上がるか下がるかにばかり関心が向かいがちですが、時間という要素は、とても重要です。
そして、価格分析を行うには、「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」が有効であり、時間分析を行うには、「アクティベート時間分析」が有効です。
尚、「スパンモデル」にも「スーパーボリンジャー」にも、遅行スパンという大変重要なラインがありますが、この遅行スパンを活用することで、時間分析を行うことも出来ます。
毎日、私の掲示板には、主要7通貨ペアについての相場解説を載せていますが、大きく分けて、60分足と日足に分けています。
60分足は、主にデイトレードの大局観の把握、そして、スイングトレードの売買の判断に用います。日足は、主に、スイングトレードやデイトレードの大局観、そして、ポジショントレードの売買の判断に用います。
60分足、日足、いずれについても、スパンモデル、スーパーボリンジャーに基づいた分析を掲載しています。
そして、何と言っても大事なことは、それぞれの分析は、相場解説を掲載した時間における「予測」ということです。決して「予想」はしないこと、そして、それぞれの時点での「予測」を行っているところが大事なポイントです。
「予測」ですから、たとえば、「60分足終値がプラス1シグマラインを上回り続ける限りは、本格上昇トレンド」という風に、価格がどの水準にいれば、トレンドがあるとか、調整局面入りするといった風に、刻々と変化する相場に対しての、その瞬間における判断をご紹介しています。
当然のことながら、相場は刻々と変化していくわけですから、変化していく相場に対して、その都度、再度、スパンモデル、スーパーボリンジャーに基づいて判断していく必要があります。
トレードで肝心なことは、相場と共に歩むことです。相場と歩みながら、相場の動きに合わせて、自分のポジションを動かしていくことがトレードです。相場のぞれぞれの局面の判断は、基本的に、終値確定時点で決定されます。
言うなれば、どの時間軸のチャートを見ていても、それぞれのローソク足の終値確定時点で、1つの判断が下されるわけです。それは、1分足の世界でも、5分足の世界でも、60分足でも、日足でも、週足でも、全て同様です。
皆様各人のトレードスタイルに合わせて、どの時間軸の組み合わせでチェックするかは決まっていますが、要するに、終値時点で、確認して、知るだけのことです。何ら難しい判断は必要ないわけです。見て、知る、ということに集約されていると思って頂いて良いということです。
そして、先行き、相場がどう展開していくかについて考えるという、「予想」を行う必要はありません。見て、知る、という行動で、「予測」が完成するからです。あとは思う存分、相場を楽しんで頂くだけです。