年末にかけてのベア・マーケットラリーに注意すべき理由
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https://real-int.jp/articles/1848/
年末にかけてのベア・マーケットラリーに注意すべき理由とは?
1.投資家の資金が潤沢であり、現金比率が高く、暴落リスクが低い
ARKKインベストメントへの資金の流入は9月になり再びベア・マーケット入りをしてからも続いていました。
年初から65%も下落していたにもかかわらずです!
10月の前半は流出に転じたというニュースを目にしましたが、後半の株式市場の上昇により再度流入に転じている可能性もあります。
投資家の現金化比率は今年最高レベルとなっているようです。
また、オプションも少額となっており、狼狽売りに換金売りが加わり暴落する確率は非常に低いようです。
投資家の資金が潤沢であり、現金化が進み、株式に投資をしたくてうずうずしているという心理は無視できないものです。
2.投資家のセンチメントが好材料に反応するが、悪材料には反応しない
10月になってからの投資家の動きを見ていると、悪材料にはあまり反応しなくなっています。
その典型的な例が13日木曜日のCPI(消費者物価指数)発表後から翌週月曜にかけての米国株式市場の動きでしょう。
CPIが予想を上回る伸びとなったので、株価は発表後大きく下落しました。
これが本来の動きです。
しかし、その後反発し、S&P500は2.6%高の3669.91まで上昇して引けました。
変動率は5%、下値からの上げ幅は1月末以来だったそうです。
翌日のミシガン大学消費者信頼感指数速報値で1年インフレ期待率が5.1%と前月の4.7%からの低下予想に反して高い結果となると、来年の利上げ減速への期待がしぼみ、反落します。
それがなんの理由もなく、翌取引日(月曜)には再度上昇したのです。
反面、28日に発表されたミシガン大学消費者信頼感指数1年インフレ期待率確定値が5.0%に5.1%からわずか0.1%下方修正されると、9月の4.7%よりは上昇しているにも関わらず、S&P500指数は2.46%も上昇しました。
これはこの週に発表されたGAFAMの決算がアップル以外は利益が予想を下回り大きく下落していたことも勘案すると、ありえない動きです。
ハイテク株中心のナスダックはもちろん、S&Pにおいても2021年での5社の時価総額のシェアは全体の約4分の1を占めています。
通常ならば、GAFAM決算が予想を下回ったことにより、その後S&Pは大きく下落していたことでしょう。
しかし、今週のS&P500指数は2.4%上昇して引けました。
反対に、好材料には過剰に反応します。
ブラック・アウト期間(FED政策決定会議開催前の2週間はメンバーは金融政策に関して発言できない)前の21日の2人のFED高官の発言(1人は投票権もなかった)と高名なFEDウォッチャーのリーク記事が重なると、12月の利上げ予想が0.75%から0.5%になったと解釈され、株価は上昇しました。
普段は重視されない消費者信頼感指数や住宅価格指数が予想より弱かった際も、同様です。
投資家は悪材料に飽き飽きしているそうです。
3.アノマリーは10月〜12月は株高
アノマリーでも、この時期は株高になる傾向があるようです。
ヘッジファンドの決算が11月末または12月末であり、45日ルールにより10月半ばまたは11月半ばに売りがある程度出尽くすからというのが理由の一つです。
10月後半に株価が上昇したのは値動きが軽くなった可能性もあるわけです。
これは12月半ば以降のクリスマスラリーに繋がります。
また、サンクスギビング翌日のブラックフライデーでの商戦での盛り上がりもあるのですが、今年は消費者の財布の紐が固くなっているので、これには期待できないかもしれないですね。
この3つの理由により、年内の追加での米国株価指数売りはあまりおすすめできないようです。
続く・・・
【全3部構成記事】
https://real-int.jp/articles/1848/
https://real-int.jp/articles/1850/
https://real-int.jp/articles/1852/