年内のベア・マーケットラリーに注意
米国株は中期では下目線だが年内はベア・マーケットラリーに注意!
エフピーネットの松島社長の次の記事にあるように、
https://real-int.jp/articles/1784/
米国株は中長期では下目線ですが、10月から12月にかけての第4四半期は6月から8月に起きたようなベア・マーケットラリー(ベア・マーケットにおける一時的な上昇)に注意が必要のようです。
米国を代表する株価指数であるS&P500は2021年12月をピークとして2022年6月半ばにはピークから22%の下落となり定義上はベア・マーケット入りとなりました。
しかし、その後8月末にかけて2ヶ月以上も上昇、15%と3分の2もの戻しを達成しました。
ここまで長期間に渡る、大きなラリーを予想できた方はいなかったのではないでしょうか?
そして、10月も31日を残し殆ど終わりましたが、ダウ平均は約14%も上昇、1915年から数えても12番目の好成績だそうです。
戦後では1976年1月、1975年1月、1987年1月に続いて4番目です。
今年2回目のベア・マーケットラリーに入っているようです。
ITバブルと今回のバブルの類似点とナスダックがS&Pより打撃をうける理由とは?
今年のベア・マーケットは過去と比較してみると、2000年に起きたIT バブルの崩壊と類似点が多いです。
1. 10年にも渡るブル市場が続いていた
ITバブル時も今回も、金融緩和により10年にもわたりブル相場が続いていました。
ゆっくりと上昇するゴルディロックス(ぬるま湯)相場が続き、最終局面で行き場を失ったお金による急騰が起きてバブルとなったわけです。
英語では「イージー・マネー」というやつで、米国株を買っていれば誰でも儲かる簡単な相場だったわけです
2. 赤字企業でも上場できたIT バブル時とSPACが存在する今回のバブル
ITバブルの際は次の記事で紹介したように、
https://real-int.jp/articles/1703/
ナスダックは2000年3月のトップから2年半後の2002年9月で株価はほぼ4分の1となりました。
赤字企業でも上場できていたため、ボラティリティが高かったためです。
ナスダックと異なり、S&P500の下落率は2000年8月から2002年9月までにほぼ2分の1であり、ナスダックの半分にとどまっています。
今回のバブルではSPACというファンドが立ち上げた白紙小切手上場会社とベンチャー企業がまず合併をした後でベンチャー企業の名前で上場を果たすという手法で、正式な上場手続きを踏まずに多くの、本来なら上場できていない企業が多く上場を果たしています。
そのため、IT バブル同様にS&Pよりもナスダックの下落率が大きく、長期になると予想されます。
今回のバブルでのベア・マーケットラリーが長く、強い理由とは?
相違点もあります。
ITバブルではエンロン事件(世界最大級のエネルギー企業の倒産事件)に端を発してバブルが崩壊したわけですが、今回は新型コロナウイルスの流行がきっかけになるはずでした。
しかし、FEDによる2020年3月の緊急利下げにより過去に例のない世界的金融緩和が行われ、その後2021年12月まで1年9ヶ月に渡り株価が再度暴騰したのです。
特に上昇したのはGAFAMなどのビッグテックやハイグロ株と呼ばれる新興ハイテク企業です。
ハイグロ株ヘッジファンドの雄であるARKKインベストメントのキャシー・ウッドが「テスラが5年でテンバガー(株価が10倍になる)を実現する」と予想したのが、わずか3年で2020年末にテンバガーとなったのは、まさにこの異例のバブルがあったからにすぎません。
単なるラッキーだったのです。
そしてイーロン・マスクを知らない日本人は現在は少数派のようですが、2年前にイーロンを知っていた人は私の周囲にも少なかったのです。
日本人はすぐに慣れてしまうので、まるで昔から知っているかのように振る舞っていますが、本当に恐ろしい国民性ですよね。
このように新型コロナウイルス向けの過去に例のない金余りで資産家は2020年までの10年間の利益をわずか1年半で手に入れたのです。
その結果として、ARKKに対しての信頼も非常に大きいようです。
ARKKインベストメントは6月の底時点で50%以上の下落に直面していました。
ヘッジファンドとしては危機的状況であり、資金流出が起きるのが当然でしょう。
しかし、彼女はテスラやロクなどのメイン投資銘柄の押し目買いを行い、投資家は彼女を支持してファンドへの流入額は増加していたのです。
これが6月から8月にかけてのベア・マーケットラリーではなくブル相場に転じたのか?と錯覚を起こすほどの上昇の象徴的な出来事といえるでしょう。
金融機関だけでなく、投資家もブル相場に戻したいのです!
続く・・・
【全3部構成記事】
https://real-int.jp/articles/1848/
https://real-int.jp/articles/1850/
https://real-int.jp/articles/1852/