中国はゼロコロナ政策を変えられない
上海のロックダウンが解除へ
中国上海市政府は6月1日、2か月に及んだロックダウンを解除した。上海市のロックダウンは3月28日に開始されたが、当時の新規感染者数は4,651人だった。
新規感染者数は4月中旬まで増え続け、ピーク時には約2.7万人に上ったが、5月後半には1,000人未満となり、31日には15人と3月初旬以来の少なさとなった。
この2か月間、上海の2,500万人の市民は、自由な外出が出きず、十分な食料と医療の確保に奔走した。感染が判明すれば家族は引き離され、数十万人が集中隔離施設に強制的に収容された。
今回のロックダウン解除により、低リスクと見なされる地域の住民が住宅区画を自由に出入りすることが許可された。タクシーと配車サービスが再開され、低リスク地域の道路で車の通行も許可された。バスと地下鉄、フェリーの運航も同日から秩序立った形で再開された。ただ、なお警戒は続いている。
公共の場ではマスクを着用し、人の集まる場所を避けなければならない。レストランでの食事は依然として禁止され、商業施設の収容人員は上限の75%程度に規制されている。スポーツジムはまだ再開されていない。
公共交通機関の利用などには72時間ごとに検査を受ける必要がある。検査で陽性と判定された人や濃厚接触者には厳しい隔離措置が課せられる。
消費を中心に経済活動が落ち込む
上海は中国最大の経済都市であるだけに、ロックダウンの期間中、中国経済は大きく落ち込んだ。とくに、小売売上高は1~2月の前年比6.7%増から、3月3.5%減、4月11.1%減と落ち込んだ。
減少幅は武漢でロックダウンが実施された20年1~2月時(同20.5%減)の半分程度だが、大幅な落ち込みとなった。鉱工業生産は1~2月の前年比7.5%増から3月5.0%増、6月2.9%減と減少に転じた。上海は自動車産業が集積する地域であるため、自動車の生産は前年比4割強の減少となり、大きく落ち込んだ。
ただ、武漢ロックダウン時の20年1~2月の鉱工業生産は同13.5%減で、それに比べると鉱工業生産の落ち込みはさほどではない。
また、固定資産投資は1~2月前年比12.2%増、1~3月9.3%増、1~4月6.8%増と伸びは鈍化しているが、大きく落ち込むことはなかった。4月単月だけで計算しても増加傾向は続いている。
20年初めの武漢のロックダウン時に比べると、今回の上海ロックダウンでは、消費の落ち込みはかなり大きかったが、生産・投資活動の落ち込みはさほど大きくなかったことがわかる。上海港は世界第1位のコンテナ取扱量を誇るというだけあって、国際的な物流も制限され、貿易も低迷した。
ドル建て輸出は1~2月前年比16.3%増、3月14.6%増から4月は3.9%増と伸びが鈍化した。
同輸入は1~2月前年比15.8%増のあと、3月、4月はそれぞれ前年比横ばいにとどまった。
国際的な資源・食糧価格が急騰しているなかで、ドル建て輸入金額が前年比横ばいにとどまっていることは、価格変化を考慮した実質輸入でみると減少していることを意味する。
港湾業務が止まったことに加えて、消費などの内需の落ち込みにより、輸入の落ち込みが輸出より大きくなったのではないかと思われる。
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2022/06/06の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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