相場の動きに注意 米国の株価上昇は「隠れQE」効果だった
隠れQEとはFRB(連邦準備制度理事会)が現在、月600億ドルの国債購入をしており、少なくとも2020年の第2四半期まで継続するというものです。
QEとはQuantitative Easingの略で量的緩和のことです。
量的緩和は各国の中央銀行が市場に大量に資金を供給することで、デフレの脱却や景気を刺激することを目的として行うものです。
隠れQEは実際には普通のQEですが、FRBがQEではないと主張しているために隠れQEと呼ばれています。
QEと言ってしまうと、QEをやらなくてはいけないほど景気が悪いのかと思われてしまいます。相場に悪影響を与えたくないという配慮でしょう。
最近、ヘッジファンドなどが来年の景気は下落の可能性が高いという予測から、反対の「景気下落の可能性が低い」という予測に修正してきたところが多いようです。
ですが、これは米国の隠れQEによる資金供給により、株が上昇していることが原因といえます。
リーマン・ショック後の暴落の底から上昇してきたのは「不景気の株高」であり、このような時には特に予想外の相場の動きを見て「市場は間違っている」と言う人がいます。
しかし、市場は常に正しく、そのように考えないと相場の本質を見失うことになります。
ところで、大物投資家であるジョージ・ソロスの名言に、「市場は常に間違っている」というのがあります。
原文は「I believe the market prices are always wrong in the sense that they present a biased view of the future.」。
つまり、市場(相場)は常にバイアスがかかっているということです。
「市場は常に間違っている」と「市場は常に正しい」は実は同じことを言っており、市場はいつもバイアスがかかっているので、適正価格から外れているのは当たり前、その状態で正しいということです。
予想外の相場の動きに注意
市場(相場)は自分の相場観と異なる方向に行く時が多いわけですが、その時に市場(相場)が間違っていると考えることはとても危険です。
なぜなら市場(相場)を主体として見るのではなく、自分中心的に見ているからです。
自己中心的な視点は間違ったマインドセットであり、大衆心理に陥り投資では損失の原因です。
大きな動きと小さな動きは全く異なることも多いですが、市場のバイアスはいつか修正されていくので投資の妙味があります。
市場にどのようなバイアスがあるかを認識することが大切です。
現在、日本株・米国株の短期投資は押し目買い、中期投資は高値を売りとなります。
ストップロスは必須です。
日刊ゲンダイWEB版にも掲載