誰も言っていない?ロシア通貨ルーブル高・円安の理由
ルーブル/円が急騰
チャートを御覧ください。縦線はロシアがウクライナに侵攻した時です。
上:ロシアルーブル/円
中:ロシアルーブル/ドル
下:ドル/円
縦線はロシアがウクライナに侵攻した2022年2月24日です。
ロシア通貨ルーブルはウクライナ侵攻から急落したものの、現在、侵攻前より上昇しています。
ドルベースではたいした上昇ではありませんが、日本円ベースでは大きな上昇です。
そして、日本円は急落しています。(ドル/円上昇)
今迄は戦争などのリスクオフの時は円高になるはずが今回のウクライナ侵攻直後から日本円は大きく独歩安となりました。
戦争当事国でもないのに、日本円は主要国の中で一番下げているのです。
つまり、ルーブル/円が大きく上昇したわけですが、その理由は3つあります。
1 ロシアが政策金利を上げた
2月末、ロシアが政策金利を9.5%から20%に大幅に引き上げたことがルーブル上昇の一番の原因です。
これによって、現在ルーブルはドルに対しても少しですが上昇しました。
その後、4月8日にロシアの政策金利は20%から17%に引き下げています。
金利の高い通貨は上昇します。
お金は金利の低いところから高いところに移動するからです。
ロシアが政策金利を9.5%から20%に上げたこと抜きに解説されることが多いことで、混乱に陥ります。
金利を高くすると景気を冷やすことになるのでロシアは景気悪化の方向です。
但し、ロシアは、原油・天然ガス・食料が自給できるだけではなく輸出できる資源国なので、あまり心配しなくても良いといえます。
それは、お金が地から沸いてくるという意味だからです。
特に、現在、世界はインフレ傾向なので資源国の通貨は強くなります。
2 日本が量的緩和を継続している
日本は金融緩和(量的緩和)を継続し、通貨を大量発行して国債や株を購入し、通貨の価値を下げています。
そして世界各国の政策金利が上昇する中、日本は政策金利を下げたままです。
世界的にインフレで各国の金利が上昇している中、日本円だけが低金利なので通貨安になります。
お金は金利の低いところから高いところに移動するからです。
日本が低金利政策を継続する理由として考えられることは、日本は国債発行高が大きく、金利上昇すると国債の利払いが増加するため、それを避けるためと推測されます。
また、インフレになることは景気が良いことだと誤認している日銀筋の発言も多いです。
景気が悪い中でのインフレはスタグフレーションといい、無策だったり、政策を間違えるととハイパーインフレになる可能性があります。通貨の暴落です。
3 資源国通貨高・日本は資源がない
現在、世界的にインフレで資源高になっているので、資源国通貨は上昇し、資源がない国の通貨は下落となります。
ロシアは資源国であり通貨高の方向です。
オーストラリアドルなどの資源国通貨も上昇しました。
日本は資源がない国とされているので通貨安の方向です。
戦争の間もロシアは天然ガスをパイプラインでEU諸国に販売して戦費を調達しています。
侵攻前より量も単価も増えているようです。
余談ですが、ロシアと日本の天然ガスのパイプラインを引く構想もありますが、今回の戦争で影響を受けそうです。
過去にない相場展開は続く
今回の為替の動きが過去にない動きになった理由は、この3つが組み合わさったからです。
別々に考えないと何が起きているのかが分かりません。
また、現在、世界的に金融が不安定な中、ロシアルーブルを安定させるために新・金本位制(新金本位制)の導入を検討していますので注目です。
今後も過去にないような相場展開が続くと予測されます。
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