50年ぶり円安水準
BOEが驚きのハト派の政策発表
BOE(イングランド銀行)は市場予想通り、政策金利を25bp(0.25%)引き上げて0.75%とする政策変更を発表しています。
ただ、政策決定が全会一致ではなく、なんとカンリフ副総裁が据え置きに票を転じ、8対1での決定、事前に50bpの利上げを40%程度織り込んでいたために、ややサプライズとなっています。
直近でもベイリー総裁が利上げ支持、利上げが100%織り込まれるなかで、昨年11月には政策金利を据え置きと、情報発信の不一致がみられるのがBOEでした。過去に目を転じれば、前任のカーニー総裁の時代から、「移り気なボーイフレンド」と揶揄されてきたように、政策の見通しに一貫性がありませんでした。
こうしたなかで、欧州でも金融正常化が視野に入るなか、オランダ中銀のクノット総裁から「(ECBの)利上げはデータ次第」、「今年2回の利上げを排除しない」との発言がありました。
ロシアのウクライナ侵攻後の急激なユーロの戻し、おそらく今年前半の息の長いテーマだと思います。
円の実質実効為替レートは50年ぶり円安水準
本日は日銀金融政策決定会合が2日間の日程を終え金融政策を発表、その後、15:30から日銀の黒田総裁が会見にのぞみます。
当然、政策変更等はなしですが、論点は以下、
日本の経常収支が赤字に転じ、海外企業の合併買収などの対外直接投資が続くなか、円の売り切り玉(当面反対売買が持ち込まれない)は当面高水準で推移する可能性があります。
こうしたなかで、昨日BIS(国際決済銀行)から発表された円の実質実効為替レートは66.54と約50年ぶりの水準に下落、国内の低迷する物価、海外のインフレ高進が背景です。
国際的にみて円の購買力の低下が引き続いており、海外の投資家、特にヘッジファンドなどにとって、円を売るというオペレーションが非常に分かり易いのだと思います。
円安けん制発言に注意
ただ、かつて2015年6月、日銀の黒田総裁が国会の答弁にのぞみ、「実質実効為替レートで円がこれより円安になる可能性は低い」と発言、USDJPYが124円台から急反落となりました。
ちなみに今の円の水準は実質実効為替レートでは、この2015年より一段の円安水準、可能性は少ないと思いますが、120円を大きく超えてくるようだとけん制が入る可能性もあります。
日銀内の力学の変化
すでに政府は、日銀審議委員に、7月に任期をむかえる金融緩和に積極的な片岡剛士氏の代わりに、岡三証券の高田創氏を提示する人事案を発表しています。
2013年の異次元緩和以降、審議員の任期満了には概してリフレ派の論客の指名が多かったのですが」、岸田政権になり少し潮の流れが変わってきたように見受けられます。
黒田総裁はこれまで「2%の物価目標の達成のために金融緩和を粘り強く続ける」といってきましたが、2期目の任期が2023年4月に迫り、それ以降はどう発言しても発信力はありません。
高田氏は金融緩和に懐疑的であり、自身の書籍のなかでも持論を展開しており、今回の審議委員入りに関し、黒田総裁の会見では質問がでるでしょうから、要注目です。
こうした日銀内の力学の変化、審議委員の勢力図、後任総裁の人事等はファンド勢が一番好むトレードネタですので、情報収集に余念がないと聞こえてきます。
有料メルマガ「Smart LogicFX」の内容を一部抜粋してお届けしています。
詳しいポジションはSmart LogicFXにて配信しています。
【関連記事】
https://real-int.jp/articles/1164/