金価格を左右する要因
金価格は通常、インフレ、実質金利、ドル相場の動きに左右される
金価格はロシアによるウクライナ侵攻の知らせを受け、リスク回避志向の高まりから2月24日に一時1976ドル/オンスに上昇した。
しかし、翌25日には、米EUの経済制裁が「ロシア産原油を対象にしない」との報道を受けて、リスク回避志向が和らぎ、1887ドルに下落した。
このように、このところの金価格は、逃避資金の受け皿として、株式などのリスク資産と逆相関で推移しているが、金価格を上昇・下落させる要因はロシア・ウクライナ問題だけではない。
金価格は昨年末を底に上昇し始めており、この上昇はロシア・ウクライナ問題によるものではないと考えられる。金価格の動きを説明する要因として、通常挙げられるのが、①インフレ、②実質金利、③ドル相場だ。
① インフレ
金はインフレヘッジ商品としての代表格であるということもあり、物価上昇率が高ければ金価格も上昇する。
② 実質金利
金利が高水準であれば、資金は金利が付かない金から債券などの利付金融商品に向かい、金利が高ければ高いほど金価格は安くなる。
ただし、例えば、金利が2%で利付金融商品が2%の利益しか生まないのに対し、予想物価上昇率が年率5%と高く、金が物価全体と同程度の5%の値上がり益が見込まれるのであれば、金利が付かなくとも、資金は債券ではなく金に向かう。
つまり、名目金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利の動きが金価格を左右する。
③ ドル相場
金はドル建てで取引され、ドルとの交換で値段がつくため、ドルが強ければドル建て金価は下落する。
このような3つの要因以外も、以下のような金価格を変化させる要因がある。コロナショック以降に金価格が上昇したことについては、中央銀行通貨の信用が低下したこと一因と考えられる。
金本位制の下では各国通貨の価値は金に裏づけられたものだったが、管理通貨体制での現在のドル、ユーロ、円などの通貨は各国政府や中央銀行への信用に裏づけられている。
このため、信用に値しない金融・通貨政策が実施されるような場合は、通貨の信用が失墜し、金価格が上昇する。
このところのビットコインなど暗号資産に対する人気の高まりも、中央銀行への信用が低下したことによるものと考えられる。
さらに、今回のように、リスク回避志向が極まった場合にも、資金は他のリスク資産から究極のリスク回避資産とされる金へ流れ、金価格が上昇する。
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2022/03/01の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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