利上げ織り込みの巻き戻し
ロシアからの資金流失
昨日は欧州時間に入り、ロシア中銀が政策金利を9.5%から20.0%へと大幅な引き上げを発表、インフレ抑制と共に通貨ルーブルを防衛する政策変更を決定しています。
英国資本で国際的な石油大手BPやシェルが相次いでロシア事業からの撤収を発表、ただこうした事業を買い取る資本筋はないとみられ、事業の不良債権化なども意識され始めています。
際立った信用収縮や現金化を急ぐ動きはまだ発生していませんが、ロシア関連の投資信託の売買注文停止、FX関連でもルーブルの新規売買停止と報じられています。
新興国投信を空売りする投資家はほぼ皆無、比較的金利の高いルーブルを売り建てる投資家はごく一部でしょうから、大半はルーブル(建て)・ロングでしょう。
この建玉がどの程度あるか正確な数字は開示されていないと思いますが、建玉がある以上、これは世界規模でみれば大きなロシア・ロングです。
ここにルーブル暴落が加わり、売買停止から決済不能、評価損の拡大を見守るしかないというとんでもない事態になってきました。
国際金融情勢に目を配っていれば、はるか昔に建玉を決済しておくことが可能だったわけで、こうしたところに金融リテラシーが広く問われる時代に突入してきました。
利上げ織り込みの急速な縮小
この先にロシア産の天然ガスや原油が行き渡らなくなりインフレが一段の加速、ただ、こうした混乱を前にここまで急速に織り込んだ各国、特に米国の利上げの織り込みの解消が進んでいます。
USDJPYが116.35の昨年来高値をつけた1/4には、米国では2024年単年で約1回弱の利上げを織り込んでいましたが、今や約0.50回の利下げを織り込んでいます。
パウエル議長が3/2-3の議会証言でどんな発言をするのか見ものですが、
ロシア情勢の混乱に直面したことで、市場はややこの先の金融引き締めが想定通り進まない、そんなシナリオを少しずつ描き始めているようです。
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