FXのトレードルールを検証しよう!勝てる手法を見つけるためのステップ
今回はFX初心者に向けて、トレードルールを確立するコツ、トレードルールを検証する重要性や、検証するためのステップ、トレードルールの具体例などを解説します。
今回のポイント!
- トレードルールを確立するコツ
- トレードルールの検証方法・検証するためのステップ
- トレードルールの具体例
FXのトレードルールを確立するコツ
トレードルールというと、初心者トレーダーは売買シグナルばかり重視してしまう傾向があります。しかし、トレードルールは資金管理や定期的にチェックするべき情報、メンタル管理などを含めて総合的に整えなければなりません。ここでは、トレードルールを確立するためのコツを解説します。
FXのリスクを理解する
トレードルールを作る前にFXのリスクを理解する必要があります。FXの主なリスクは以下のとおりです。
為替変動リスク
為替相場の変動で保有しているポジションの価値が下がるリスクです。
金利変動リスク
各国の景気や物価の動向、政策金利の変更などによって金利が変動するリスクです。スワップポイントは各国の金利差によって発生するため、受け取れるスワップポイントが減る場合があります。また、マイナススワップポイントになって金利差分を支払わなければならないこともあります。
流動性リスク
取引相手がいないことから、希望価格で決済ができなくなるリスクです。新興国の通貨などマイナーな通貨は流動性リスクが高い傾向があり、逆にユーロ/米ドル、米ドル/円などのメジャーな通貨はリスクが低いことが特徴です。また、クリスマスや年末年始などのように、流動性リスクが高くなる時期もあります。
信用リスク
FX会社が倒産してしまうリスクです。日本のFX会社は信託保全で口座資金が守られますが、海外のFX会社ではこのシステムが採用されていないこともめずらしくありません。
システムリスク
FX会社の取引システムが正常に作動しないことにより、注文の発注、執行、確認、取消しなどが行えない可能性もあります。また、ネット回線に不具合による接続困難な場合も考慮しておく必要があります。
いずれせによ、システムトラブルで通常の取引ができない状況がシステムリスクです。特に相場急変時にこうしたトラブルが発生した場合には、損失を被ったり、対応そのものができなくなるリスクがありますので、複数のFX口座を作る、ネットへの複数のアクセス方法を持つ、過去のシステムトラブル履歴を調べるなど注意が必要です。
情報収集をする
トレードのリスクを軽減するためには情報収集が欠かせません。ニュースや新聞、ネットなど、信頼できる情報源から収集しましょう。
ロイターニュースは世界で最も信頼されているメディアの一つで、世界中から情報が集まっています。無料版でも経済状況の解説や各国の政策の特集記事などが日本語で閲覧できます。
また、日本人にとっては日経新聞がおなじみです。購読料はかかりますが、投資について基礎からわかりやすく解説する記事も多く、投資初心者のスキルアップにおすすめです。
無理なトレードをしない
トレードに自信がないとき、相場が読めないときなどは、無理なトレードをしないことが大切です。しかし、急騰・急落などによって、つい飛びついてしまうようなFX初心者は少なくありません。このようなときは損切ポイントが非常に遠いため、予想が外れたときはかなり手痛い損失になってしまいます。
個人投資家にはトレードしない自由もあるので、自信がない場合やリスク管理ができないほど相場が荒れているときは、無理せず様子見に徹しましょう。
自分のトレードルールを守る
自分で決めたトレードルールに一貫して従うことは、収益を安定させるために極めて重要です。損切りになることもしばしばですが、一貫性を持ってトレードを繰り返すことで、「大数の法則」が働き、本来の勝率やリスクリワードレシオ(平均利益÷平均損失)に収束していきます。
トレードルールを破ってしまう大きな要因になるのが感情です。稼ぎたい気持ちや負けを取り返したい気持ちからルールを逸脱したトレードを繰り返してしまうことがあります。また、トレードルールに自信がないことからエントリーを見送ってしまう人も少なくありません。トレードルールを守れないなら、まずは少額資金でトレードしてみましょう。そうすれば感情が入り込む余地が少なくなります。
検証をかさねる
トレードルールを改善していくことも重要です。検証を重ねることで、より勝てる確率を高められます。まだトレードルールが固まっていないFX初心者の場合は、後ほど解説するように、デモトレードや検証ツールを活用するもよいでしょう。
トレードルールを守ったのに思うように利益が残らない場合は、トレード日誌の検証が重要です。たとえば、トレードルールが複雑で的確な判断ができていないなどの課題が見つかるかもしれません。トレードした通貨ペアや売買の日時などの基本情報はもちろん、相場分析やエントリーの理由、メンタル面のメモなどをトレード日誌に残すことは、トレードルールを改善するために重要です。
FXのトレードルールを検証する重要性
トレード手法を一通り学ぶと、すぐに実践でトレードをしたくなるものです。しかし、その前にトレードルールの検証が必要です。ここでは、検証の重要性や目的を紹介します。
トレードルールを確立するため
FXで継続的に稼ぐには、自分のトレードルールに従って淡々とトレードすることが大切です。臨機応変に相場に対応するというよりは、自分が得意とするパターンを待ってルールどおりにエントリーを繰り返して口座資金を増やしていきます。問題は、このルールをどうやって確立するかです。
多くの人は、投資本やWebサイトなどに載っているトレードルールを真似して、すぐにトレードしようとしてしまいます。しかし、たとえその情報がFXで検証済みと書いてあっても、実際のトレードで有効なのか、自分で確かめる必要があります。
具体的には、過去のチャートを見て、どのくらい利益が出そうなのか、勝率はどれぐらいか、最大損失はいくらになるのかなどを検証しなければなりません。もちろん、自分でトレードルールを探すなら、過去のチャートをなおさら深く研究することが必要です。
トレードルールを改善するため
トレードルールが決まっても、トレードを繰り返すなかで勝つこともあれば負けることもあります。その際、勝ち負けだけで終わらずに、そのプロセスや詳しい結果を記録して検証しましょう。勝ち負けの要因を把握することで、トレードルールを改善できるからです。
たとえば、連勝の後に連敗がやってきたとします。記録を付けていなければ、テクニカル指標の設定値を根拠なく変えたり、「相場感が鈍った」などの心理的な要因で片づけたりしてしまいがちです。
しかし、記録があれば、トレンド相場では成績がよかったのにレンジ相場では連敗が続いているなどの傾向がわかります。そこで、エントリーするためのルールを「トレンド相場に限ってシグナルを有効とする」などのように改善できるのです。
FXのトレードルールを確立するためのステップ
ここでは、FXのトレードルールを決めるところから、記録を検証して改善するまでの各ステップを紹介します。これらは、ビジネスでよく使われる「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」のPDCAサイクルとよく似ています。
ステップ1.トレードルールを決める
トレードルールを決める場合には、まずトレードスタイルから決めましょう。大別するとスキャルピング・デイトレード・スイングトレード・長期トレードの4つがあります。多くの人は仕事や家事をしながらトレードするため、ライフスタイルとのバランスも重要です。
たとえば、トレードできる時間帯が自宅に帰った後の21~24時ぐらいしかないなら、その時間をチャート分析の時間に当てて、スイングトレードや長期トレードに取り組むのもよいでしょう。逆に時間軸を短くしてスキャルピングやデイトレードに取り組むこともできます。
トレードルールを作成する場合には、資金管理のルールを決めることも重要です。トレードは保有期間が長くなるほど得られる利益が大きくなりますが、逆に損失も大きくなります。一般的には、1回のトレードで取ってもよいリスクは、口座資金の2%程度とされています。これを目安に失ってもよい最大損失額を出しましょう。それによって取引する通貨量を調整してトレードを行います。
トレードで使うテクニカル指標を決めることも欠かせません。投資初心者なら、真似したい手法を決めて同じ指標と設定値にするのが一般的です。そのような手法がないなら、最も一般的な移動平均線を選んでトレードルールを作り始めてもよいでしょう。
トレードルール作成の段階では、主に過去チャートで優位性があるかどうかを調べながら進めていきます。トレードルールの詳しい作成方法は後で解説します。
ステップ2.トレードを実践する
トレードルールが決まったら、実際の相場で確かめてみます。とはいっても、いきなり資金を投入するのはリスクが高いので、最初はデモトレードでチェックしましょう。デモトレードは取引ツールの使い方や注文方法も学べるので、特に初心者におすすめです。
デモトレードで慣れてきたら、1,000通貨や1万通貨など上限を決めて少額資金での実戦トレードに移行します。トレードスタイルにもよりますが、1,000通貨単位なら最大数千円の損失で済むでしょう。それでも実際のお金が増減するので、緊張感を持って取り組めるのではないでしょうか。ただし、1,000通貨単位で取引できないFX会社もあります。
ステップ3.トレード記録をつける
デモトレードや少額投資でトレードした際には、トレード記録をつけましょう。最低限記録しておきたい項目は以下のとおりです。
- 取引日時
- 通貨ペア
- ロット(通貨量)
- 売買の方向(ロングかショートか)
- エントリーレート
- 決済レート
- 損益(pips数と金額)
- エントリー根拠:相場背景やチャートパターン、テクニカル指標のトリガー、支持抵抗帯など
- 評価:反省点や良かったところなど。チャート分析の振り返りだけでなく、心理面のメモ(「焦って利食いをしてしまった」など)も書いておくとよい。
- チャート:チャート分析に使った全てのチャートのキャプチャ画像。チャートにコメントを書き込むと後で復習しやすい。
- 注意しておきたいポイントは、勝敗やロット数に関係なく、毎回付けることです。負けトレードの後は記録を付ける気力が出ないこともあるかもしれませんが、失敗トレードのほうが検証で役立ちます。
ステップ4.改善点を見つける
次のステップは、トレード記録を振り返り、反省点や気付いた点を書き込む作業です。次の日や週末など少し時間を空けて冷静に分析すると、新たな発見もできるでしょう。
検証するポイントを絞り込んで、過去の記録をまとめて調べるのもおすすめです。エントリー手法や通貨ペア別などで収支をまとめてみると、改善点が浮かび上がってくるはずです。失敗パターンや得意なパターンにまで落とし込めば、トレードルールをよりシンプルに、実践的に改良できるでしょう。
ステップ5.改善点を反映させる
改善点が見つかったらルールに反映します。注意点としては、あまり一気に改善しないことです。明らかな間違えは修正してもかまいませんが、複数のルールを一度に変えると、改善効果がわからなくなることもあります。
また、改善点をみつけても、サンプル数が少ない場合はただちにルールを修正しないほうが無難です。過去の相場状況に合うように過剰に最適化してしまう「カーブフィッティング」に陥ってしまうリスクがあるからです。たとえば、直近のトレードで最適なシグナルが出るように指標の設定値を調整するようなことをすると、トータルの成績が大きく下がることがあるので気を付けましょう。
改善したトレードルールでトレードを開始したら、またトレード記録を付けて検証し、さらに改善していきます。「トレードルール作成(Plan)→ルールに沿ってトレード→(Do)→トレード記録の検証(Check)→改善(Action)」のようにPDCAサイクルを回していきましょう。
FXで検証すべきトレードルールのポイント
ここでは、トレードルールを確立、または改善するために検証すべきポイントを解説します。
勝率と損益率
勝率と損益率(リスクリワードレシオ)がわかれば、おおよそどのように資金が増えていくか、あるいは減っていくかがわかります。勝率と損益率の計算式は以下のとおりです。
- 勝率=勝ちトレードの回数÷負けトレードの回数
- 損益率=勝ちトレードの平均利益÷負けトレードの平均損失
精度の高い検証に必要なトレード回数は、統計学的に最低でも30トレード、できれば100トレード程度あったほうがよいとされています。
FXでは勝率を上げることも大事ですが、損益率も同じくらい大切です。仮に3回に1回しか勝てなくても、損益率が2なら負けることはないからです(※スプレッドやマイナススワップは除く)。
勝率と損益率が出たらインターネットで「バルサラの破産確率表」を検索して、自分の成績が表のどこに位置するのか見てみましょう。たとえば、勝率60%・損益率1.8なら破産確率はゼロ、つまり、繰り返しトレードしていけば理論上は資金が増加していくことがわかります。
利確と損切りのポイント
利益確定と損切りのポイントは、資金管理をするうえで非常に重要です。特に損切りポイントを決めておらず、決済のタイミングを逃してしまえば、含み損が拡大して1回のトレードで積み上げてきた利益を吹き飛ばしてしまいかねません。
利益確定と損切りのレートは一律に決めることは難しいといえます。しかし、トータルで利益を上げるには、利益確定までの値幅が損切りまでの値幅の1倍以上、できれば2倍以上の場合だけエントリーするルールにしましょう。「利益÷損失」を1以上にすれば、勝率50%でも負けることはないので、初心者でも成績が大きく崩れにくいからです。
とはいえ、実際にエントリーすると、含み益が出たらすぐに利益確定したくなったり、逆に欲張ってしまい含み益を失ってしまったりすることもあるでしょう。そうした心理面の弱さが出ないためにもトレードルールが必要です。利益や損失が平均的にいくら出るか、損小利大が実現できているか、トータル収支はプラスかなどを検証することで、ルールに自信が持てます。
エントリーのタイミング
エントリーのタイミングについてのルール作りは、FXの勝敗を決める重要な要素の一つです。過去のチャートの検証や実際のトレードを繰り返すなかで、優位性の高いエントリーのトリガーを決めていきます。
具体的には、たとえば移動平均線の「グランビルの法則」や「ゴールデンクロス/デットクロス」などがよく知られた手法です。MACDがシグナルラインとクロスするのをシグナルにする人や、オシレーター系の指標を使って売られすぎ・買われすぎゾーンから抜けてきたときをトリガーにする人もいます。一言でいえば人それぞれなので、エントリーのタイミングが正しいのかどうか検証しながら、自分のルールを確立する必要があります。
分析に使った指標
FXではトレンド系やオシレーター系の指標を組み合わせて分析を行い、エントリーのタイミングを見極める必要があります。しかし、どのテクニカル指標も一長一短あり、どの相場でも機能するような万能ツールはありません。
そのため、まずは自分のトレードスタイルの軸となるテクニカル指標を一定期間試してみて、指標の特徴や癖を見極める必要があります。そのうえで、どのような相場環境のときに使えるのか理解する必要があります。
たとえば、移動平均線はトレンド相場では役に立ちますが、レンジ相場ではほとんど使えません。逆にオシレーター系はトレンド相場では間違ったシグナルが発生しやすい傾向がありますが、レンジ相場ではよく機能します。テクニカル指標単体ではなく、相場環境も含めて検証することが重要です。
FXのトレードルールをデモトレードで検証しよう!
FX初心者の場合は、デモトレードを活用して、自分のトレードルールを検証するのがおすすめです。「トレードルールは作ったけれど、自信がない」「注文を間違えないか心配」といった人も利用してみてはどうでしょうか。
デモトレードとは
デモトレードとは、FX会社が提供する体験シミュレーションのことです。FX会社は口座を開いてもらいたいために、このようなサービスを提供しています。そのため、通常、FX会社が提供しているチャート・注文ソフトとほぼ同じ機能を利用可能です。利用申請も簡単で、フリーメールを取得するのと似たような簡単な登録で、デモトレード専用アカウントとソフトを取得できます。
デモトレードを活用するメリットは次の4つです。
- 仮想の資金でトレードできるため、損失を気にすることなく、さまざまな検証が可能
- 注文方法やチャート設定などの操作方法の練習ができる
- 実践と同じ環境でエントリータイミングを図ったり、利益確定や損切り注文を出したりできる
- FX会社の比較検討材料になる(ツールの使いやすさやサポートなど)
一方、デメリットもあります。
- 実際にお金を使っていないので、いい加減にトレードしてしまう
- スプレッドの開きやスリッページ(注文価格と約定価格の差)が反映されず、注文価格と約定価格が同じになる
スプレッドとスリッページについては、スキャルピングやデイトレードでは要注意です。スプレッドやスリッページの占める割合が利益に対して大きいトレードスタイルの場合、デモトレードでは好成績なのに本番では利益が出ないことがよくあります。
デモトレードの選び方
デモトレードを選ぶときにチェックしたいのは以下の3項目です。
- 本物のシステムや機能を使って、実際のトレードに近い環境でシミュレーションできるか
- スマホアプリでデモトレードできるか(実際のトレードでもスマホを使いたい場合)
- デモトレードが長期間使えるか
本物のシステムや機能を使えるかどうかは、デモトレードを利用しているFX会社で実践トレードに移行したい場合に重要です。スマホアプリについては、「注文の設定方法や画面切り替えなどの操作仕様」「画面の使いやすさ」「動作が軽快か」などを確かめましょう。
デモトレードが利用できる期間に関しては、期限がきても再登録で利用を再開できるようになっているのが一般的です。しかし、手間がかかるうえ資金増減の記録が付けにくいなどのデメリットがあるので、できるだけ期間が長いほうが便利です。
デモトレードで検証したいこと
デモトレードでまず検証したいのは、FX会社のシステムやチャートソフト、取引ソフトの使い勝手です。IFD注文やOCO注文、IFO注文など、複数の注文方法を試してみましょう。また、数多くのチャート画面を同時に開いてみて動作が軽快かどうか確認したり、自分が使いたいテクニカル指標と設定項目があるかチェックしたりします。
トレードスタイルが決まっていない場合には、スキャルピング・デイトレード・スイングトレード・長期トレードなどを試し、自分に合ったスタイルを決めるためにも利用できます。たとえば、家事や育児をしながらデイトレードができるかどうかは、デモトレードをやってみるとわかるかもしれません。
また、含み損・含み益が出たときの心の揺れや、利益確定・損切りをするまでのストレスなども、ある程度、疑似体験できます。それらが、自分に合ったトレードスタイルを決めるのに役立つはずです。
さまざまなテクニカル指標を試し、優位性を検証するのにもデモトレードは役立ちます。ただし、これはすでに過去チャートにおける検証である程度優位性を確認している場合だけです。デモトレードはリアルタイムと同じ時間で進むので、本格的な検証作業には効率的ではありません。
過去の相場でFXのトレードルールを検証するには?
さまざまな状況に対応するためには、過去の相場でFXのトレードルールを検証することが不可欠です。ゴルディロックス(ぬるま湯)相場もあれば、リーマン・ショック級の急落、「異次元の金融緩和」などによる急上昇もあります。勝ち続けるトレーダーになるために、過去チャートでトレードルールを検証しましょう。
チャートソフトを利用する
チャートソフトでは、過去の相場でトレードルールの優位性を確認できます。チャートソフトには数多くの種類があり機能もさまざまですが、検証に利用するなら、無料で高機能、数年以上過去にさかのぼれるものがおすすめです。
このような目的では、MetaTrader(メタトレーダー )という為替取引のオープンソースのソフト(MT4やMT5)を利用するのが一般的です。そして、このソフトにヒストリカルデータ(過去の相場データ)を入れて検証します。メタトレーダ―用の信頼できるヒストリカルデータを提供しているFX会社を比較検討して、検証データが多いところを選びましょう。ただし、パソコン操作などに詳しくない人の場合、MetaTraderのインストールやデータの入力などを難しいと感じるかもしれません。
チャートを確認する
チャートソフトでも、後ほど紹介するバックテストソフトでも、検証する内容はほとんど変わりません。まず、過去のある時点のチャートを見て、エントリーポイントと利益確定、損切りポイントを決めます。そこから時間を進めて、利益が出たのか、あるいは損失になったのか確認します。それらのデータを集めて集計しましょう。
トレードのサンプル数は多いに越したことはありませんが、統計学的には最低30トレードが目安です。デイトレードであれば1日1~2回のエントリーポイントを見つけて1カ月程度の収支を計算することで、自分の手法が正しいかどうか最低限の検証ができます。
注意をしたいのは、相場状況に偏りがないかということです。たとえば、オシレーター系のテクニカル指標はレンジ相場ではよく機能しますが、トレンド相場では連敗する傾向があります。ですので、なるべく多くのトレードサンプルを集めるか、検証期間をランダムに選ぶ必要があります。トレードスタイル別の検証期間の目安は以下の表のとおりです。
バックテストソフトで検証する
先の表を見て、長期間検証しなければならないことに驚いた人もいるのではないでしょうか。利用しているチャートソフトでは検証できない人もいるでしょう。トレード手法を過去の相場に当てはめて検証するバックテストでは、専用ソフトを使うのが便利です。バックテスト用ソフトでは、有償ですが過去約20年まで過去のチャートを検証できる「フォレックステスター」が定番です。
フォレックステスターのメリットを以下に挙げます。
- 無料のデモ口座とは違い、トレード記録やトータル収支の計算、勝率や損益率の算出を自動で行ってくれる
- 動画の早送り再生のようにリアルタイムの動きを再現できるシミュレーション機能が搭載されている
- 異なる時間軸(日足・4時間・15分など)を特定の時間で切り替えられる
要するに、実際のトレードと同じような環境で、かつ検証をサポートする機能が充実しているということです。テクニカル指標もよほどこだわらない限り十分といえるでしょう。
マーフィー(柾木利彦)さんのスパンモデル、スーパーボリンジャーを学ばれている方は、トレーディングテスターという練習用ツールが使いやすくおすすめです。
トレーディングテスター
https://www.xfine.info/tt/
具体的なトレードルールの例を公開!
どのようなトレードルールを作ればよいのか、イメージがわかないFX初心者もいるのではないでしょうか。ここでは具体例として、レンジ相場に特化したルールと損益比率を固定したルールを紹介します。
レンジ相場に特化したトレードルールで稼ぐ
相場全体の期間ではレンジ相場が7割、トレンド相場が3割といわれています。この意味ではレンジを制する者は相場を制するともいえるでしょう。ただ、レンジ相場はレンジの上下限に達すると素早く反転することが多いため、タイミングがつかみにくい傾向があります。また、反転の動きを確認してからでは十分な利幅を確保しにくいことも特徴です。
これに対応したトレードルールとして、計画的なナンピンを行い、リスクを軽減しながら反転を狙う方法があります。計画的なナンピンとは、たとえばレンジ下限からの上昇を狙う場合、レンジ下限付近で何回かに分けて買いポジションを持つ方法です。
仮に上昇せずに下がればナンピン買い(下値で買い増し)をして平均取得価格を下げていきます。つまり、タイミングがつかみにくいことを分割エントリーすることで回避しながら、反転の動きを確認せずに下落中に買うことで利幅を確保する戦略です。
スキャルピングでコツコツ稼ぐ
スキャルピングは数秒から数分単位で売買を完了させるトレードスタイルです。1回のトレードで得られる利幅は大きくありませんが、損失が小さく抑えられます。トレードルールのポイントを以下に示します。
- 通貨ペアは米ドル/円のみ
スキャルピングは取引回数が多くなるため、スプレッドが狭い通貨ペアを選びます。 - 買いのみでエントリー
大きな流れが上昇トレンドという日だけを選び、買いに徹します。 - 利益確定は基本的に5銭、損切りは10銭として、損益比率を2に固定
「損小利大」になるようにトレードルールを決めてしまいます。
買いを検討する場所は、1時間足レベルで確認できるもみ合い、サポートライン近くに下げてきたところです。ここで1分足に切り替えて、移動平均線を使った押し目買いなどの手法でエントリーします。上昇トレンドが強いときは、1時間足レベルの直近高値をブレイクアウトしたときもチャンスです。
自分のトレードルールを確立するには検証が必要!
FXで勝つためには優位性の高いトレードルールを確立する必要があります。そのためには、検証を繰り返すことが必要です。デモトレードや過去の相場を検証できるチャートソフトも活用しながら、ルールを構築していきましょう。
デモトレードや実践トレードではトレード記録を付け、改善のためのデータを集めることも必要です。トレードルールを改良し、少し精度を高めるだけでも、その後のトレードから得られる利益は大きく変わります。