公開日 2022年2月2日

露 ウクライナ侵攻の可能性大

ロシアのウクライナ侵攻は、投資家としては、もはやリスクシナリオではなく、メインシナリオとして考えなければいけなくなっている。
露 ウクライナ侵攻の可能性大

「小規模なら制裁はない」とのバイデン発言は米政権の本音

日本国内では、ロシアのウクライナ侵攻は、外交的手段により回避できるのではないか、との期待がある。だが、実際には、ロシアがいつウクライナに侵攻してもおかしくない状況になっている。

1月19日に、バイデン大統領は「ロシアはウクライナの一部に侵攻するだろうが、侵攻がマイナー(小規模)なものであれば、西側からの制裁はない(muted)だろう」と述べた。

この発言に対し、ウクライナのゼレンスキー大統領が「小規模な侵攻などない」と反発したことなどから、バイデン大統領のこの発言は、失言として処理されている。

バイデン大統領は翌日、規模にかかわらず、ロシアは「経済制裁に直面する」と強調した。 だが、失言とされた19日のバイデン大統領の発言は、実は、米政権の本音なのではないかと思われる。

ロシアはエネルギー面での欧州のロシア依存など
西側の弱点を見透かしている

西側諸国は、ロシアが実際にウクライナに侵攻した場合の制裁措置として、ロシアの通貨交換能力に狙いを定めた国際銀行間通信協会(SWIFT)へのアクセス遮断措置、半導体輸出の禁輸など、ロシアへの経済制裁パッケージを準備している。

しかし、バイデン大統領にとっては、中間選挙を控えて、本格的にロシアと事を構えることについては慎重にならざるをえない。ロシアのウクライナ侵攻に対して、米国は少なくとも武力で応じることはない。経済制裁についても、制裁に対してロシア側の報復が予想されるため、イランに対して行われているような強力な経済制裁が行われるかどうかは疑問だ。

欧州、とくにドイツがロシアのエネルギーに依存していることが、西側の結束を難しくしている。ドイツは温室効果ガス削減のため石炭火力発電を減らしており、また、22年末までに原発を廃止することも決めている。

米国はドイツ新政権に対し、ロシアからのガスパイプラインであるノルドストリーム2(NS2)の承認を中止するよう働きかけている。NS2 は建設が終了しているものの、ドイツ政府および欧州委員会の承認を待っている段階だが、仮に、承認されなければ、天然ガス供給不足でさらなるエネルギー価格高騰につながることになりかねない。

このようにドイツはロシアの天然ガスに依存せざるをえない状況であり、これが西側諸国にとってのアキレス腱になっている。他方、ロシアからみると、西側諸国による経済制裁が実施されても、その影響は大きくないとみているようだ。

むしろ、西側の経済制裁への対抗措置として正当化される、ロシアの天然ガスや原油の輸出削減の結果として、エネルギー価格が上昇すれば、ロシア経済にとってプラス要因となる。

2014年のクリミア併合後、ロシアは世界的な制裁の対象となり、それが現在も続いている。このため、経済制裁に対しては、それなりの対処法を身につけてきている。クリミア併合時に、SWIFT切断が検討された際に、ロシアでは代替システムの開発がなされた。SWIFTへのアクセス遮断措置は、ロシアへの決定的な影響をもたらすものではないかもしれない。

さらに、ロシアがドル資金調達に問題が生ずるなどの問題に直面した場合、中国がロシアを支援するといったことも十分予想される。そうしたことでロシアと中国の同盟関係が強まることは、米国にとってもプラスにはならない。

ロシアはそうした西側の事情を見透かしていると考えられる。

ロシアのウクライナ侵攻の可能性は75%

こうした状況を受けて、カナダの独立系シンクタンクで、投資家向け情報サービスを行っている、Bank Credit Analyst(BCA)の地政学ストラテジーチームは、ロシアのウクライナ侵攻の可能性について、従来の50%から75%に上方修正した。

つまり、ロシアのウクライナ侵攻は、投資家としては、もはやリスクシナリオではなく、メインシナリオとして考えなければいけなくなっている。

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2022/01/31の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。

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エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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