原油高はバブルの最終局面か?
1~3月の原油需給は供給超過に転換したが、
投機的な原油買いが続く
1月19日に発表されたIEA(国際エネルギー機関)の1月オイルマーケットレポートによれば、世界の原油需要は21年7~9月日量9,780万バレル、10~12月9,900万バレルと増加した模様だ。
一方、世界の原油生産は7~9月9,640万バレル、10~12月9,830万バレルと抑えられ、20年7~9月以降、需要が生産を上回る需要超過状態が続いた。
しかし、IEAによれば、世界の原油需要は22年1~3月に9,780万バレルに減少する見込みだ。季節的に1~3月が不需要期であることが原因だ。
これに対して、IEAは22年1~3月の非OPECの原油生産を6,540万バレルと見込んでいる。
OPECの原油生産が、21年10~12月の3,300万バレルのあと1月まで月40万バレルずつ増産(協調減産規模が縮小)されていることを計算に入れると、22年1~3月は約3,370万バレルになる計算だ。
OPEC、非OPECを合計した1~3月の世界の原油生産は9,910万バレルに増加すると見込まれる。
結果として、1~3月の原油需給は130万バレルの供給超過に転ずることになる(図1参照)。
米国など6か国による原油備蓄放出、計6,387万バレルが1~3月中に放出されるとすると、日量約70万バレルの供給増となり、供給超過幅は約200万バレルに拡大する。
日量200万バレルの供給超過は、3か月間で世界の原油在庫を1.8億バレル(200万×90日)増加させる。そして、1.8億バレルの在庫増加は原油価格を約21ドル下落させるという関係がある。
本来なら原油価格は50~60ドル程度まで下落してもおかしくなかったが、中東、ウクライナなどの地政学リスクを買い材料として、原油価格は高騰している。
いろいろと要因は指摘されているが、明らかに投機と言っていいだろう。FRBの腰の入っていない中途半端なタカ派姿勢のために、市場のインフレ懸念が再燃したことが、商品への投機が強まっていることの一番の要因だろう。
最近の株式市場の変調は、FRBがタカ派姿勢に転換したことが原因との解釈があるが、そうではない。むしろ逆で、中途半端な姿勢が市場のインフレ懸念が再燃させたと考えられる。
FRBは3月にテーパリングを終了し、利上げも3月に開始するというスケジュールを示した。
早めの利上げはタカ派的との解釈ができなくないが、見方を変えれば、少なくとも3月まではインフレを放置し、今の超緩和状態を続けることを意味する。
原油市場はこうしたFRBの悠長な姿勢の問題を見透したのではないか。だとすれば、原油価格は少なくとも3月までは上昇し続けることになる。
2007~08年にもバブルの最終局面で
投機的な買いにより原油価格は145ドルに上昇
2007~08年にも投機的な原油高が続いた。2007年1月の50ドルを底に上向き、08年2月には100ドルを超え、08年7月に145ドルまで上昇した。
当時の原油市場の動きをみると、原油需要は、少なくとも2008年前半までサブプライム問題などから世界経済は減速しながらも拡大基調を続けているとの見方が強かった。
だが、実際には、2007年10月に米国株はピークアウトし、同12月に米国経済は後退局面入りした。日本の景気も08年2月をピークに後退局面入りし、実際には、世界経済後退局面での原油価格急騰だったということになる。
一方で、供給面での制約などが原油の買い材料にされた。
具体的には、
①OPECの生産余力が限界に近づいている
②ロシアの生産は外国資本の流入が停滞し、頭打ちになっている
③精製能力が不足している
④多くの生産国では地政学リスクから供給不安が根強い
などの供給制約問題が指摘されていた。
ただ、こうした供給制約要因も、投機の材料に過ぎなかったように思われる。通常、バブルは、金融緩和政策が引き金となり、まず、債券価格が高騰(金利が低下)、次に、株価が高騰、最後に、モノが高騰という順で、広がっていく。
つまり、債券バブル→株価バブル→インフレとなり、インフレに対して、金融引き締めがなされて、バブルは崩壊する。
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2022/01/24の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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