中国恒大集団危機は乗り越えるが…
★★★上級者向け記事
中国版リーマン・ショック?
9月20日の香港、欧米株式市場が中国大手デベロッパー(不動産開発業者)恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念・破綻リスクから幅広く、大きく下落した。
「9月下旬以降、社債の利払い日が集中する。年内の利払い額は社債だけで700億円を超す。取引先への未払い分などを含めた恒大の負債総額は1兆9665億元(約33兆4000億円)と、中国の名目GDPの約2%に相当する。処理に失敗すれば中国経済や金融システムに大きな打撃を与えかねない」(日経9月20日)
同社への抗議行動は中国全土に及んでいる。
極めて深刻な資金難に陥っている同社の資産運用商品(理財商品)を購入した7万人を超える投資家が損失や償還遅延に見舞われており、各地の同社オフィス前では抗議行動が連日繰り広げられている。
恒大が関与する住宅の建設も止まりつつあり、100万人余りの購入者は途方に暮れるばかり。恒大危機のあおりを受け、ただでさえ不安定だった不動産市場では投げ売りも見られ、同社以外のデベロッパーも苦境に立たされている。その影響は中国GDPの25%超を占めるサプライチェーン全体へと波及しつつある。
コロナ禍の中で消費者の買い控えが強まり、習近平主席が国民生活の再向上を目指す政治的にも微妙な移行期に国民の不満が高まるリスクが強まってきたのであるから、党中央が何らかの着地策を打ち出すしかないとの見方も出ているが、現段階では動きはない。
金融当局は恒大創業者の許家印氏に対し債務問題の解決を迫ったが、当局はまだ政府が大型債務再編ないし破綻を容認するかどうかについて詳しく説明していない。
また中国政府は必要なら民間企業を管理下に置くことを否定もしていない。実際、2019年5月には包商銀行を人民銀行・銀保監会が公的管理に踏み切っている。
習近平主席は来年11月の党大会で名実ともに「習思想による偉大な国家」への宣言を構えているだけに、少なくとも「中国版リーマン・ショック」への道は回避するしかなかろう。
ただ、乗り切ったとしても、いわゆる「リスク・オフ」市場の下手人として、今後も中国こそがリマークされることは間違いあるまい。「第二の文化大革命」が中国の全分野で始まったわけであるから当然であろう。
もちろん、世界経済全体へのリスク・オフであるがゆえ、外為市場では「ドル高・円高」となるし、株式市場も動揺しやすくなる。
サプライチェーンへの回復の期待も裏切られる可能性がある…
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(この記事は 2021年9月22日に書かれたものです)